■ 原油価格が値下がりしている ■
つい先日まで、日本でも原油価格の上昇を反映してガソリン価格が値上がりして庶民のサイフを圧迫していました。しかし、10月以降、原油価格は値下がりを始め、10月初めの75ドル近辺から、一気に50ドルになりました。
原油の価格変動の要因には需給バランスや、需要見込み、中東情勢や産油国の生産調整など、様々な要因が有ります。さらに、原油市場は投機マネーにも翻弄されます。
トランプ就任後の2017年7月頃から原油価格は値上がりを続けていましたが、これはトランプ政権の誕生に戦々恐々としていた株式市場などが、ゴルディーロックス(適温相場)と呼ばれてジリジリと上昇を始めた時期から少し遅れています。
これは、トランプ政権の誕生で委縮していたマネーが株式市場から流入し始め、さらに原油市場に流れ込んだと私は見ています。原油価格は先に書いた様に、様々な市場環境に左右されますから、予測が難しい。結果的に株式などよりリスクの高い投資となるのでしょう。だから、資金の流入のタイミングが遅れる。
一方で、リスクに敏感なので、資金が流出し始めると、一気に価格が下落します。今回も30%以上の値下がりが2か月間で起きています。トランプの対中貿易戦争で需要が減るという予測が、下落に拍車を掛けています。
■ 原油の損を株で補填? ■
原油価格の下落は、インフレ圧力を低減させるので、FRBの利上げペースを緩和する効果も有ります。ですから、一概に株価下落の要因とは言えません。
しかし、原油先物市場で損失を出した投資家は、高値になていた株を売る事で損失の穴埋めを迫られます。ダウ平均株価は9月にピークアウトした後に、10月末に値を戻し始めましたが、その後又下落に転じています。
こちらも米中貿易戦争が理由とされてはいますが、よりリアルな所では、原油先物市場で損失を出した投資家が株を売っている影響も無視できません。
■ FRBの利上げがジリジリと市場の首を絞める ■
少し前までは「米景気は堅調だ」という記事や意見が溢れていましたが、これは相場の変調を察知した投資家達の「自己暗示」だと私は妄想しています。今は原油や株価が下がり始めているけれど、相場はマダマダ回復する。米経済の実力はこんなものでは無い・・・そう、自分に言い聞かせて強気を維持していた。
しかし、相場がジリジリと下落を続けると、流石に「自己暗示」で相場を支える事は出来なくなります。そうなると、皆が下落の要因を探る様になります。お決まりなのは「米中貿易摩擦」ですが、これも「自己暗示」の一種です。
ほとんどの投資家はFRBの利上げや日欧の緩和縮小が、市場環境の変化の要因で、金融緩和バブルがそろそろ終わる事に気付いていますが、これを口にしたくは無い。
■ 最期に喰われるのは逃げ足の遅い資金 ■
市場からの資金逃避は今年の初め頃には既に始まっており、金持ち相手のファンドか解散するなど、逃げ足の速いマネーは既に市場から逃げ出していました。
現在市場を支えているのは、個人が購入した金融商品や投資ファンド、年金などを通じて運用されている資金です。これらは運用を続けざるを得ない「逃げ足の遅い」資金です。日銀マネーやGPIFの資金に至っては、相場を下支えする「しんがり」になっています。
これらの「逃げ足の遅いマネー」と、下落相場で一儲けしようと山っ気を出した投資家の資金を生贄にして、市場は最後の饗宴を演じる事でしょう。
■ 崩壊の規模は、プチか、ミニか、大崩壊か? ■
リーマンショックから10年近くが経過し、金融緩和バブルがいずれ終焉を迎える事はほとんどの投資家の共通に認識です。
問題は次なる金融危機が、プチ崩壊なのか、ミニ崩壊なのか、それとも危機的な大規模崩壊になるのかという点です。
多くの専門家は、「リーマンショックはヘッジファンドを始めとする、レバレッジを大きく掛けた投資が招いた危機だけれど、今はそれ程リスクを大きく取っていない。だから次のバブル崩壊はリーマンショック程は深刻では無い」と予測しています。
しかし、デリバティブ市場に規模は、リーマンショック前を遥かに凌ぐものとなっています。当時程の加熱感は有りませんが、リスクの総量は、金融緩和によって確実に拡大しています。
ダムを例に取るならば、リーマンショックは高低差のあるダムの決壊。一方、現在のダムは貯水量は大きいけれど、高低差は小さいダム。決壊した時に流れ出る水の量はリーマンショックを凌ぐならば、下流の被害はどちらが大きいか、素人でも予測が付きます。
ダムの高さだけを観てプチだとか、ミニだとか予測する事が果たして正しいでしょうか?
リーマンショック後の各国中央銀行の狂った様な金融緩和の結末を、もうすぐ私達は目撃する事
なるのでしょう。「東京オリンピック」や「大阪万博」で浮かれている場合では無い・・・。いや、これは不景気対策なのかな・・・。
携帯通信・端末料、分離義務付けとは