※ NY/フリック・コレクション編 (7) ‐ DC&NYの美術館にみる泰西名画選 (20)
ふた昔もみ昔も前、少女雑誌の表紙をめくると、こんな絵が載っていたように思うのだが、勿論、確信がある訳ではない。
その絵の作者とは、小編、初登場、検索したがヒットしないので。の、フランス・ロココ美術の巨匠ジャン・オノレ・フラゴナール(1732-1806)。
繰り返しになるが、“ 不道徳性の中に甘美性や官能性を感じさせる独自の風俗的、寓意的主題に天武の才能が示されている ” 彼の 「連作 ‐ 恋の成り行き」(1771-72年)。
第一と第二場面の 「逢い引き」と 「追跡」に続いて、第三の 「冠を受ける恋人」、そして、第四場面の 「付け文(恋と友情)」が今回の作品。
ただ、第三と第四を入れ替えた方が、話の筋が通じるとする説を唱える研究者もいるらしい。
それはとも角、後半も舞台は前半と同じく、どこかの城館の庭園を思わせる美しい樹々と花の園。
それは、この連作を注文した最愛王ルイ15世の公妾デュ・バリー夫人が、ルイ15世におねだりして建てさせたルーヴシエンヌの館の庭園だったかのかも知れない。
で、「冠を受ける恋人(恋人の戴冠)」(上)が、第三の場面。
秘かに逢ったリ鬼ごっこしたり、おませなのか無邪気なのか掴みどころのない娘が、若者との恋が成就したのか、成熟を意味するらしき花輪を被せようとしているところで、スケッチをする画家自身らしき男も。
そして場面は 「付け文(恋と友情)」(下)へと移る。
原題は 「Love Letters」、どうしてこんな副題が付いたのか判んないけれど、確かに第三と第四を入れ替えた方がしっくりするようにも。
ところで 「連作 ‐ 恋の成り行き」、面白いのはこの絵の成り行きだ。
なんと我儘デュ・バリー夫人、インテリアを装飾的・官能的なロココ様式から、古典芸術を規範とした荘重な新古典様式に改装しちまった。
でもって、「あなたの絵、理知的で格調高いルーヴシエンヌの館にちっとも似合わないわ」とか何とか言っちゃって、制作間もない1773年にまとめて画家に返しちまったんだと。
その彼、自棄か腹いせか知らないけれど、フランス革命勃発後に 「<棄てられて(物思い)>」(1790年/フリック・コレクション蔵)という第五の場面を描いたらしいんだけれど、それって、わかんなくもないよなあ。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1283
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます