ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

フェルメール 「兵士と笑う女」

2017年03月29日 |  ∟アメリカの美術館

 ※ NY/フリック・コレクション編 (8) ‐ DC&NYの美術館にみる泰西名画選 (21)

 17世紀オランダ絵画黄金期に最も傑出した画家のひとりヨハネス・フェルメール(1632-1675)。

 その彼の作品、当コレクションが三点所蔵、制作年順に 「兵士と笑う女」(1658年頃/51×46cm)から。

 ふたりの人物が描かれた本作、兵士の姿は大きく、そして影に溶け込んでいる。
 反して女は小さく、その顔は窓から差し込む光に照らされて白く耀き、その対照が際立っている。

 その光の効果に、女はまだあどけなさが残る少女のようにも見え、その不釣り合いさが影の中の兵士を不穏な者に見せてている。
 さらにそれは、本作を見る者も兵士の背後にいるかのように思わせ、聊か落ち着かない心持にさせる。

 それはこの風俗画を前にした者が、構図は全く異なるが彼の 「<娼婦 ‐ 取り持ち女>」(1656年/ドレスデン国立絵画館蔵)と印象が重なることに気付かされるからでもある。

 その原因は、打ち解けた様子で兵士を見つめる女の仕草にある。
 白いヴェール、右手のワイングラス、さりげなく掌を上向けたテーブルの左手などにそれが窺える。

 それらのことから 「娼婦 ‐ 取り持ち女」ほどあからさまではないが、女が兵士にお金を求める場面と取れなくもない。

 当時のオランダでは 「売春宿の絵」と判るようなものが流行ったのだという。
 それは通常、家庭の居間などにも掛けられるよう道徳的な配慮が加えられたのだそうだが、その意味で本作もまた、半開きの窓からの光に男を影に隠すことや背景に架る地図で、その要求に応えていると言える。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1284


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