※ NY/フリック・コレクション編 (5) ‐ DC&NYの美術館にみる泰西名画選 (18)
17世紀スペインバロック期に最も活躍した画家となればディエゴ・ベラスケス(1599-1660 )。
前回の<エル・グレコ>(1541-1614/マニエリスム)、そして<ゴヤ>(1746-1828/ロマン主義)とともに<スペイン三大巨匠>と呼ばれている。
スペイン国王フェリペ4世(1605-1665)付の画家となり、以後、生涯の大半を宮廷画家として首都マドリードで過ごしたベラスケス。
そのベラスケスの 「フラガのフェリペ4世」(1644年)が今回の作品。
彼、座付き?画家として<世界三大集団肖像画>のひとつ、傑作 「ラス・メニーナス ‐ 女官たち」(1656-57年/プラド美術館蔵)など、フェリペ4世とその家族の肖像画を描きまくっている。
ちなみに 「<女官たち>」、後の鏡の中に4世夫妻を描いている。
話しがそれた序に、その傑作の主役、4世が溺愛した娘<皇女マルガリータ>の成長を追って何作も描いている。
話しを戻す、性格は穏やかで国民に愛されたというフェリペ4世だが、政治家としては凡庸だったようだ。
その反面、芸術的造詣は深く、彼やルーベンス(1577-1640)など多くの画家を保護、傑作を数多く描かせ、その優れた美術蒐集は後のプラド美術館の礎となったという。
本作は、1640年カタルーニャで起きた収穫人戦争で同地のフラガに遠征したフェリペ4世、その4世に同行した画家に描かせたとされている。
剣を吊るし軍旗のポールらしきものを握っているが、4世の表情は柔らかく、この戦争によって敵国フランスにカタルーニャ領の一部を割譲させられたのも理解(わから)なくもない。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1280
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