ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

フラゴナール 「連作 ‐ 恋の成り行き」

2017年03月24日 |  ∟アメリカの美術館

 ※ NY/フリック・コレクション編 (6) ‐ DC&NYの美術館にみる泰西名画選 (19)

 18世紀ロココ美術を代表するフランスの画家ジャン・オノレ・フラゴナール(1732-1806)。

 彼の作品、美術案内には、“ 不道徳性の中に甘美性や官能性を感じさせる独自の風俗的、寓意的主題に天武の才能が示されている ” とある。

 その才を遺憾なく発揮した彼の四枚の作品、それも縦318cm、横216~244cmと矢鱈でかい。からなる 「連作 ‐ 恋の成り行き」(1771-72年)、その物語の前半 「逢い引き」と 「追跡」が今回の作品。

 このコレクション、“ 鉄鋼王フリック氏が財力に飽かせて集めたものでなく、高い鑑識眼が評価されている “ と旅の案内書 「地球の歩き方」にあるので優れた作品なのだろう、多分。

 本作、貧民階級層の出身乍らルイ15世の愛妾(公妾)となり、宮廷内で絶大な権力を得ていたデュ・バリー夫人の依頼によって、妾宅ルーヴシエンヌの館の装飾画として描かれたとか。

 これによく似た話、どこかで投稿したような、と検索したらあった。
 時も所も同じとなればお相手も同じのルイ15世、フラゴナールの師でもあるフランソワ・ブーシェ(1703-1770)描くところの 「<ポンパドゥール夫人の肖像>」(1756年/アルテ・ピナコテーク蔵)だつた。

 作品に戻れば、連作中で最初の場面、第一場面を表すとされるのが 「逢い引き」(上)。

 城館の庭園の若い女のもとへ梯子を上って逢いに来た青年、誰かに見つかりそうになって慌てて逃げようとしているのかも知れないが、そんな場面を描いている。

 第二の場面とされるのが 「追跡」(下)。

 英語はからきしだが、原題は 「The Pursuit」とあって、邦題 「追跡」も頷けなくもないが、「追いかけっこ」辺りがテキトーじゃないかと思う。

 これらの作品、ロココ様式独特の優美であり乍ら世俗的で軽薄な雰囲気に満ちている。

 最愛王とも呼ばれた女好きルイ15世の治世に、大きな影響を与えたポンパドゥール夫人(1721-1764)が東の筆頭なら、西のそれはデュ・バリー夫人(1743-1793)。
 その彼女のサロンを飾るに相応しい少女雑誌風、と言えば鑑識眼高きフリック氏にお叱りを受けるか?

 それはとも角として、黒雲と見紛うような大きな樹が各編に登場するのを 「はて?」と首を捻る誰かさんをほっといて、さっさと次の部屋に行っちまったカタリナ、慌てて追いかけたのは言うまでもない。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1282


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