7月の末、大切な友が訪ねてくれた。
火曜と木曜はサッカー教室とスイミングスクールがあり、「結構忙しいので日曜には帰る」と言っていたのだが、三夜泊まって日曜の夕方「帰りたくない」とベソをつくりながら迎えの車で帰っていった。
3年前だった、その頃彼は山陰の商都・米子に住んでいたが、「遊びにおいで」と誘うと、けなげにも両親と離れ四日ほど拙宅で過ごしたことがあった。
勿論迎えに行ったのだが、その頃のアルバムを紐解くとやはり笑顔が少なく、3歳なりに緊張していたことが伺えるのだ。
その後も何度かひとりで泊まったし、東京まで遠出をしたこともあった。
今年は、時の内閣が夏休みに選挙期間をおく愚挙を決めこんだので、報道に携わり夏期休暇に恵まれない父には頼めないと彼なりに聞き分け、「遊びに連れてって」と催促してきたのだ。
その一日をユニバーサル・スタジオにあて、暑い盛りを避け夕方からのマジカル・スター・ライト・パレードを見に行った。
始まるまで時間があったので、スパイダーマンなるものを体験することにしたのだが、これが果たしてという結果を残してしまった。
余り伸びない身長に彼なりに悩んでいるようだが、入り口で厳密な身長測定を受けかろうじてパス。
ここまでは得意満面だったのだが、いざマシーンに腰を落ち着け固定バーを下ろし出発するともういけない。
打ち続く轟音、激しい揺れ、時折に噴き出す火と煙、飛び出す怪物達?に彼ならずとも驚いてしまった。
何より彼が驚いたのは、マシーンの同乗者が絶え間なく発する黄色い悲鳴、絶叫だったようだ。
無事スパイダーマンに救出?され明るい屋外に出た時、少し涙を浮かべ た彼から、「どうしてあんなところへ連れて行くの!」と猛烈な抗議を受けてしまった。
自己責任とは言え、暴力じみたあの見世物空間は就学前の子供と老境の身には耐え難く、絶叫マシーンという遊びの社会文化について考えさせられてしまった。
ただ、夕刻、陽が落ちた頃に始まったパレードを彼は十分に楽しんだようで、ホストとしてのおもてなしは果たせたようだ。
遅れた梅雨明けでいきなりの炎暑の8月が始まった。
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