ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

夏の点前

2011年07月15日 | 宗幸雑記

 夏の暑い時期だけする点前がある。
 冷房が効いた部屋では、お客に涼を感じて頂くための工夫など、風情を味わって貰う楽しみ、残念ながら少ないだろうなと思う。

 昔、習っていた先生のお宅では、夏になると葭戸に換わるものの、釜の湯を沸かす炭は燃えていて、そんな中で正座をしていると、「心頭滅却すれば火もまた・・」なんて言われても暑い。

1_6 そんな日に、大きな平らな水指の蓋を取ると一杯に張った水が見え、それだけで、心なしか部屋の温度が下がったように感じたものだった。

 井戸水を汲む釣瓶が、釣瓶水指として使われることもある。
 熱い釜の横にしっとりと濡れた釣瓶水指を置く、これだけの演出に涼を感じほっとする。
 この水指、利休の師武野紹鴎が、水屋道具として木地で使い出したのが始まりと伝えられている。
 これを利休は、茶室で水指として使った。裏方の道具が表舞台に出てきた訳だ。

 3_844_3釣瓶水指に注連飾りを廻し、名水を張り名水点(だて)をすることもある。
 美味しい水を味わってから、この名水で点てたお茶を喫するのだが、わ                                                                            が老師はこのとき水指に氷の塊を入れて下さった。
 暑い席でひんやりとした水の味が格別で、ほのかに檜の香りがすることもあった。

 若い方は釣瓶を見たことが無い人も多く、「炭火で」と言うと「バーベキュ―ですか?の時代だ。茶道具の時代背景を説明し、文化の変化をお話しすることも多くなった。

 今回は、高槻の稽古仲間の Ny さんがお持ち下さった “ 赤芽柏の葉 ” を水指の蓋にして、葉蓋点前を勉強した。これも夏の点前。

Photo_3 裏千家11代玄々斎の創案で、七夕の趣向の茶会に末広籠花入れの受け筒を水指として使われ、梶の葉を蓋にされた。
 蓋にする葉は大きなものであればよいが、匂いがきついものや汁が出るようなものは使えない。

 蓮の葉を使う時には、葉に水滴を落とし露の風情を演出する。こうした涼の取り方もあり、話が尽きない。

 慣れた方は、葉蓋点前で洗い茶巾の扱いを楽しんでいる。
 浅い平茶碗に水を7文目くらい入れ、二つ折の茶巾を入れ茶筅を乗せ茶杓も乗る。

 これも客に目で涼を感じて貰う工夫、暑い夏も、このような点前でお茶を楽しんでいる。
 葉蓋点前の写真、高槻の T さんに撮って頂き、目にも涼しい白桔梗は高槻の Na さんから頂いた。(
 Peter & Catherine’s Travel Tour No.352

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