ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

デルフトの小路

2010年02月22日 |  ∟ベネルクスの美術館

 改装中のアムステルダム国立美術館、レイクス・ミュージアム。
 本館に併設されたフィリップス棟の上階にマスターピースが並ぶ。

  最初の作品は、大ブリューゲルと間違えてしまった、ヘンドリック・アーヴェルカンプ「スケーターのいる冬景色」(写真上)。

 Photoレンブラントの弟子達の作品に続き、レンブラント晩年の傑作「聖パウロに扮した自画像」「ユダヤの花嫁」、ヤン・ステーン「聖ニコラウスの休日」、印象派のマネやゴッホなどに影響を与えたとされるフランス・ハルスなど、オランダ絵画黄金期を彩った作品が並ぶ。

 フェルメールの前に、同時代に風俗画家として名をなしたヤン・ステーンについて少し。

 ヤン・ステーンは、諺や金言を画題に市民生活を皮肉な視線で描き、その画風は怪奇と幻想の画家ヒエロニムス・ボスから農民画家とも評される大ブリューゲルを経て彼へと繋がる。

 Photo_8話は少しそれたが、バロック美術は光と影の対比や劇的なまでの感情表現など、カラバジョに始まりレンブラントによって完成したとされる。

 そんな時代に、対象を静かに見つめ、柔らかい光と優しい色彩を用いたひとりの画家がいた。
 その名は、ヨハネス・フェルメール。

  フェルメールの「デルフトの小路」が、落ち着いた雰囲気の展示室の一角にあった(写真中)。

 開け放たれた扉の向こうで針仕事、それともレース編みにいそしむ女性。
 食卓のようなものが見えるものの、それ以上は暗くてよく見えない。

 中庭では、洗濯桶らしきものの前で屈む女性と傍らに立てかけられた帚、タイル張りの歩道で遊びに夢中の少年と少女(写真下:部分)。

 Photo_9この小さな絵には、屈み込んで表情が見えない四人の人物が粗く描かれているが、この絵の主役は、彼が生まれ育ったデルフトの、そこ此処にある普通の光景。
 それを、煉瓦と汚れた漆喰の壁で、見事にキャンパスに切り取っている。

 彼の風景画は、この絵と「デルフトの眺望」(マウリッツハイス美術館蔵)だけだが、どちらも優しい静けさ包まれていて気持ちが和む。

  の美術館、彼の「牛乳を注ぐ女」「青衣の女」「恋文」も所蔵、デン・ハーグのマウリッツハイスと合わせ七つの作品を所蔵、「デルフトの眺望」や「青いターバンの少女」などその質も高い。

 残念なことに「恋文」は、レンブラントの「青年期の自画像」とともに、当時、日本に出かけていたらしい。

コメント
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