おととしの夏のこと。
朝日新聞が短い期間だったが 「対決・巨匠たちの日本美術」を東京国立博物館で催した。
企画の面白さと名作が揃うこともあって、混むであろう旧盆を避け、その三日ほど前に出かけた。
上野駅の公園口から吐き出された人が、交番の前から真っ直ぐに行く組と右に曲がる組のふた手に分かれていた。
時を同じくして 「フェルメール展」が、東京都美術館で開催されていた。
とにかく暑い日だった。
夏の暑さだけは多分何処にも負けない大阪、幾分かは涼しいのではという期待もあったが、コンクリートの街は何処も同じと思い知らされた。 ()
その翌日、朝早く出かけた 「フェルメール展」。
すんでのところで入場制限は免れたものの、彼の作品の多くが一堂に並び巡回展がないこともあって会場は人の山、小柄な私には脚立か梯子でもないと 「見れないよ~」。
覚悟はしていたものの、流れに添って展示順に見ていては何時のことやら、大阪弁でいういらち、気が短いペテロ、早くも帰ろうかという素振り。
ここはひとつ、大阪のおばちゃんにへんし~ん? 他の画家やこれまでに見た作品を飛ばし、
- 窓辺でリュートを弾く女 (ニユーヨーク・メトロポリタン美術館)
- マリアとマルタの家のキリスト (スコットランド国立美術館)
- ワイングラスを持つ女 (ヘルツォーク・アントン・ウルリヒ美術館)
- 手紙を書く女と召使 (アイルランド・ナショナル・ギャラリー)
を、しっかりと見届け早々に退散、ロビーでは入場制限の長い列ができていた。
不忍通りの近く、組紐の 「道明」で並べられた帯締めを前にあれこれと迷い、その足で水上音楽堂辺りから眺めた不忍池の蓮が、それは、見事なピンクの花を咲かせていました。
ただ、うだるような都心の昼下がり。
余りの暑さに 「花より水」とばかり思っていたような。 ()
だらだらと綴った。
要は、フェルメールとの出会いについて、少し触れてみたい、ということを言いたかったのだ。 ()