焦点 南シナ海進出の中国漁船、人工衛星と政府支援で「縦横無尽」 (抜粋記事)
ロイター 2014年 07月 29日 17:32 JST
(John Ruwitch記者 翻訳:宮井伸明 編集:伊藤典子)
前文省略
国家主席の後ろ盾
中国は、習近平氏が国家主席に就任した昨年3月以降、南シナ海で力の誇示を強めている。南シナ海は約350万平方キロメートルに及ぶが、中国はその90%に領有権があると主張。フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾と領有権をめぐって衝突している。
中国海軍は2013年11月には唯一の空母「遼寧」を初めて南シナ海に派遣。中国やフィリピンが領有権を争う南沙諸島(英語名:スプラトリー)では、中国艦船がフィリピン海軍の補給船を妨害しようとした。
ベトナム沖での石油リグ設置などの中国の行動に対しては、米国政府からも批判の声が上がっているが、中国側は自国領海内での通常の活動だと一蹴している。
習氏は国家主席就任から数週間後には海南島を訪問し、係争中の海域で操業する漁船に対する保護を政府として強めると語っていた。
ロイターが取材した複数の漁師たちは、海南島から南に約1100キロ離れた南沙諸島付近まで出向いて操業することも現地当局から奨励されていると明かした。
船長の1人は匿名を条件に、漁船の定期修理が終わり次第、南沙諸島付近に航行する予定だと語った。また別の漁師によると、同海域への航行には政府から燃料補助金が支給され、船のエンジンが500馬力の場合は、1日当たり2000─3000元(約3万2000─4万9000円)が船長に払われるという。
現地では「当局が南シナ海での漁業を守るのは中国の主権を守るためだ」との声も聞かれた。ただ、それ以外の理由もある。国家海洋局は2012年10月に発表した報告書で、中国沿岸での水産資源は減少していると指摘していた。
シンガポールの南洋理工大学S・ラジャラトナム国際研究院で上級研究員を務める張宏洲氏は「今現在、中国と周辺国の緊張の主因は漁業資源をめぐる競争だと思う」と語った。
木造船とトロール船
係争中の海域では、中国の大手漁業会社の少なくとも1社が操業しており、政府からの支援を受けている。上海株式市場に上場している山東好当家海洋発展股フン有限公司(600467.SS: 株価, 企業情報, レポート)は今年2月、全長55メートルのトロール船8隻を海南島東方市から進水させると発表。水産品の年間売上高が1億5000万ドルの同社は、ウェブサイトで「政府による南シナ海の開発と国家主権の保護の呼びかけに応えるもの」だとしていた。
同サイトによると、発表から6週間後、東方市当局から同社に対して、船1隻につき200万元(約3280万円)の「修繕」助成金が支給されることが決まったという。
東方市当局者からのコメントは得られていない。
今年5月、ベトナム政府は、中国のトロール船が石油掘削装置の近くでベトナムの小さな木造漁船に体当たりし、沈没させたと非難。衝突の模様はビデオに撮影されていたが、中国側は、ベトナム漁船が攻撃的だったと主張した。
5月26日付で撮影されたビデオを見る限り、中国のトロール船に書かれた番号までは肉眼では確認できない。ただ、ベトナム沿岸警備当局は、船には「11209号」と書かれていたとしている。また、救助された沈没船の船長はロイターの取材に対し、「11202号」という数字を確かめたと語った。
東方市のウェブサイトには、山東好当家の新船舶8隻として、「11209号」と「11202号」、その他の6隻が掲載されている
以下省略
ロイター 2014年 07月 29日 17:32 JST
(John Ruwitch記者 翻訳:宮井伸明 編集:伊藤典子)
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国家主席の後ろ盾
中国は、習近平氏が国家主席に就任した昨年3月以降、南シナ海で力の誇示を強めている。南シナ海は約350万平方キロメートルに及ぶが、中国はその90%に領有権があると主張。フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾と領有権をめぐって衝突している。
中国海軍は2013年11月には唯一の空母「遼寧」を初めて南シナ海に派遣。中国やフィリピンが領有権を争う南沙諸島(英語名:スプラトリー)では、中国艦船がフィリピン海軍の補給船を妨害しようとした。
ベトナム沖での石油リグ設置などの中国の行動に対しては、米国政府からも批判の声が上がっているが、中国側は自国領海内での通常の活動だと一蹴している。
習氏は国家主席就任から数週間後には海南島を訪問し、係争中の海域で操業する漁船に対する保護を政府として強めると語っていた。
ロイターが取材した複数の漁師たちは、海南島から南に約1100キロ離れた南沙諸島付近まで出向いて操業することも現地当局から奨励されていると明かした。
船長の1人は匿名を条件に、漁船の定期修理が終わり次第、南沙諸島付近に航行する予定だと語った。また別の漁師によると、同海域への航行には政府から燃料補助金が支給され、船のエンジンが500馬力の場合は、1日当たり2000─3000元(約3万2000─4万9000円)が船長に払われるという。
現地では「当局が南シナ海での漁業を守るのは中国の主権を守るためだ」との声も聞かれた。ただ、それ以外の理由もある。国家海洋局は2012年10月に発表した報告書で、中国沿岸での水産資源は減少していると指摘していた。
シンガポールの南洋理工大学S・ラジャラトナム国際研究院で上級研究員を務める張宏洲氏は「今現在、中国と周辺国の緊張の主因は漁業資源をめぐる競争だと思う」と語った。
木造船とトロール船
係争中の海域では、中国の大手漁業会社の少なくとも1社が操業しており、政府からの支援を受けている。上海株式市場に上場している山東好当家海洋発展股フン有限公司(600467.SS: 株価, 企業情報, レポート)は今年2月、全長55メートルのトロール船8隻を海南島東方市から進水させると発表。水産品の年間売上高が1億5000万ドルの同社は、ウェブサイトで「政府による南シナ海の開発と国家主権の保護の呼びかけに応えるもの」だとしていた。
同サイトによると、発表から6週間後、東方市当局から同社に対して、船1隻につき200万元(約3280万円)の「修繕」助成金が支給されることが決まったという。
東方市当局者からのコメントは得られていない。
今年5月、ベトナム政府は、中国のトロール船が石油掘削装置の近くでベトナムの小さな木造漁船に体当たりし、沈没させたと非難。衝突の模様はビデオに撮影されていたが、中国側は、ベトナム漁船が攻撃的だったと主張した。
5月26日付で撮影されたビデオを見る限り、中国のトロール船に書かれた番号までは肉眼では確認できない。ただ、ベトナム沿岸警備当局は、船には「11209号」と書かれていたとしている。また、救助された沈没船の船長はロイターの取材に対し、「11202号」という数字を確かめたと語った。
東方市のウェブサイトには、山東好当家の新船舶8隻として、「11209号」と「11202号」、その他の6隻が掲載されている
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