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中国、石油リグを紛争海域外に移動 ベトナムとの緊張緩和へ ( ウォールストリートジャーナル)

2014年07月27日 | ASEAN諸国ニュース
 中国、石油リグを紛争海域外に移動―ベトナムとの緊張緩和へ
 ウォールストリートジャーナル 2014 年 7 月 26 日 10:28 JST 更新

中国とベトナムが領有権を争う南シナ海の海域に設置され、両国間の対立激化を招いた中国の石油掘削装置(リグ)が中国・海南島方面に移動されていたことがわかった。

 中国海事局は24日、ホームページ上で声明を発表し、深海掘削リグ「HYSY 981」が海南省の南東約70カイリの位置にあることを確認した。声明によると、リグは9月末までこの海域で操業する予定。

 HYSY 981を操業しているのは中国海洋石油総公司(CNOOC)傘下の中海油田服務。今年5月、中国とベトナムが領有権を主張するパラセル諸島(西沙諸島)にこのリグが設置されたことから、ベトナムが反発。両国の公船が衝突したり、ベトナム国内で中国に抗議する激しいデモが起きたりするなど、両国は2カ月にわたって対立を続けていた。今月に入り、関係企業はリグを対立する海域から撤収すると発表していた。

 リグが問題の海域から移動されたことで、中国とベトナムの緊張が緩和に向かう可能性がある。また、中国のリグ設置を「挑発的」な行動と批判していた米国と中国の緊張関係も改善するかもしれない。

 ベトナム外務省にリグの移動についてコメントを要請したが、今のところ回答は得られていない。中海油田服務はこれまでに、リグの移動先について、ベトナムと対立する海域ではないことを明らかにしていた。

 中国のリグ撤収について、安全保障の専門家は有益との見方を示したが、中国とベトナムの緊張緩和は一時的なものにとどまる可能性があると話す。

 東南アジアの専門家グレゴリー・ポーリング氏は所属する米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)のホームページ上で「結局のところ、中国政府は(他の海域の領有権をめぐって対立している)フィリピンやベトナムとの緊張緩和を期待する素振りは見せておらず、国際法に基づいて主張を明確にすることや強制力の行使を控えることを求める国際社会の声を受け入れるという姿勢も示していない」との見方を示した。