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風にそよぐ墓標

2011-01-25 23:51:14 | 書評


以前、「にあんちゃん」という本をここで紹介しましたが、2回目の書評です。



この数年、仕事関係以外の本を読む時間が無く、雑誌すら読まない日々なのだが、ふと手に取った本がこれです。

「風にそよぐ墓標-父と息子の日航機墜落事故-」 門田 隆将 (著)




今から25年前に御巣鷹山に墜落した日航機事故で家族を失い壮絶な人生を歩まれた方々のルポルタージュ。

最愛の人を失う悲劇と絶望は想像を絶する。

文章を追いながら、何度なみだをぬぐったであろうか。
この辛さ悲しみを思うと胸が張りさせそうになった。

家族の生存に一縷の望みを託しながら、絶望へと叩き落され、事故を期にその後の人生を翻弄される。



この本は、私に多くの示唆と教訓を与えてくれた。
その中でも、特に子を持つ親としてハッとさせられた事は、普通でいられる事に感謝し、幸せを認識せねばならないという事。




本書から一部抜粋

 今、慎太郎は、幸せというものをしみじみ感じている。家族がいること - それが慎太郎にとって、最高の幸せなのだ。子どもと公園に行って遊び、毎日、寝顔を見ているだけでも幸せだし、子どもの写真を撮って、それを見ていても、幸せだと感じる。

「毎日思うんですよ。こんな幸せないなって、毎日。嫁さんにも、よく言うんですよ、幸せやなあって。あんなことを経験しなかったら、僕もこの幸せがわからんかったと思うんですよ。
だから今、人並みっていうか、普通に幸せっていうのが、最高なんですよ。・・・・

私も今、すごく幸せです、と妙子が言う。(奥様)

「パパも毎日、“幸せよう”って言ってくれるんですよ、ふいに。よく子どもの様子をニコって笑って見てて、私が“パパ、いま幸せなん?”って聞くと、“もう、すごい幸せよう”って言ってくれるんです。子どもが喧嘩して、ガチャガチャしてても、笑顔でにこにこ笑って見てて “かわいいわぁ。ほんま幸せやなあ”って言うのは、ほんと、毎日のように言うてくれるんですよ。それを聞く私の方も、そう言ってもらえたら、ほんま幸せですよね。・・・





普段、我々はほんの些細な事に不満を感じ、また境遇を嘆いている事もあるだろう。
しかし、よく見てみれば、幸せの種はそこらじゅうにあるのです。
それに気づくか気付かないかで人生の豊かさも変わってくるかもしれない。

私自身も、子どもが兄弟げんかしたり、部屋を散らかしっぱなしにしたり、勉強しなかったりで頭にきて怒鳴ったりしてたけど、心に余裕がなかったと気付いた。
心に余裕が無い状態でく怒っていたって、伝わらないし、良い影響を与えられるはずもない。

愛する家族がいるだけで幸せなのです。
親が変われば子も変わる。これは他の人間関係にも言えると思います。



あれから25年も経過してしまったが、決して風化させてはいけない事故です。
また犠牲者を出さない為にも、この教訓を忘れてはいけない。

重いテーマだが、是非、多くの人に読んでもらいたい。
普通の幸せに感謝し、前向きに生きるヒントを与えてくれると思います。






    「風にそよぐ墓標-父と息子の日航機墜落事故-」

    門田 隆将 (著)

    単行本: 312ページ
    出版社: 集英社 (2010/8/5)
    ISBN-10: 408780576X
    ISBN-13: 978-4087805765