二輪車の販売動向
ホンダのニューモデル、CB1100とPCXの販売が好調らしい。
久しぶりに明るいニュースであります。
が、ここで問題提起というか、私が思った事を書かせていただきます。
個人的な意見ですが、この2機種の販売好調が示している事は、単純に二輪車離れで販売不振に陥っている訳では無いという事を示しているような気がします。
ニーズはあるのです。
つまり、メーカーがユーザーの期待に答えてこなかった。
あるいは、ニーズを掴み切れなかったから、販売がここまで低迷する要因となったのではないでしょうか。
もちろん、大きなトレンドとして、若者が2輪車に興味を示さなくなった。
あるいは、経済問題や駐車環境問題など様々なマイナス要因が重なって、現状に至ったのでしょう。
私のまわりでも欲しいバイクは何かという話題をよくするが、結局、外国車が良いという話になることが多い。
残念ながら、国産車には魅力的なバイクが無いのである。
何故か。
マーケティングを誤った?
それもあるだろう。
需要創出の努力を怠った?
例えば、私のところには毎月のようにハーレーやドカティから、イベントや商品案内のDMが届く。
ハーレーは、新規需要を掘り起こそうと、初心者向けの企画を頻繁に行っている。
この様にまめなアプローチがあれば、何らかのきっかけで新規顧客になってしまう可能性もあるだろう。
国産車メーカーは、ユーザーに近づく努力をしていない訳ではないでしょうが、少ないしよく見えてこない。
イベントや企画を打つ体力が無いのは理解している。
特に売上高が下降トレンドの中では、費用ねん出は難しいのだろう。
しかし、このままでは機会の喪失が著しい。
ホンダの新製品が示すように、ニーズは存在する。
日本メーカーは、新しいニーズを創出し、魅力ある製品開発する必要がある。
私の主観ではあるが、日本メーカーは、既存の発想から脱却できずに時代の波を掴み切れていない。
海外のメディアが選ぶベスト車両は、今やBMWを筆頭に軒並み海外勢が独占している。
国産車は、海外メーカーの後塵を拝している。
このまま海外勢に押されて没落することだけは避けて欲しい。
日本メーカーの奮起を促したい。
疲れた頭で書いたので乱文かもしれませんが、2輪車を愛好するひとりとして問題提起してみました。
私はメーカーの中の人に関係者が多いので、大変な状況を良く聞いています。
2輪部門から4輪部門に多くの人が移動になりました。
ここにいくら現実を示した所で、時代の流れに逆らうことは困難で、個人で状況を変えるのも不可能かもしれません。
しかし、2輪車を愛するひとりとして、現状を知っておく事も大切かも知れません。
ホンダ CB1100
CB1100は、発売開始から1ヶ月半で2700台以上を受注し、年間販売計画の7割にも及ぶとの事。
この件に関しホンダ広報は、次のように発表している。
30歳代から50歳代の男性を中心に高い評価を得た。テレビCMをはじめとした宣伝・PR展開に加え、二輪販売店においても積極的に試乗会を開催してきた。造形美や扱いやすさも追求した空冷4気筒エンジンや、コンパクトな車体サイズによる足着き性と取り回しやすさなどで、幅広い年代から好評を得ている。
■購入ポイント・購入層
<購入ポイント>
・ 造形美を追求した新開発の空冷・直列4気筒エンジン
・ 大排気量車ながら、100万円を切るお求めやすい価格設定
(スタンダードタイプの税込メーカー希望小売価格は、997,500円)
・ 味わいのある走りを実現した、トルクフルで扱いやすいエンジンと、安定感のある車体
・ 750cc並みの車両重量を実現したコンパクトな車体による、優れた足着き性と取り回し性能
・ 伝統と先進性を融合した美しく端正なスタイリング
<購入層>
30歳代から50歳代の幅広い年齢層の男性に支持されている。また、他のスポーツモデルに比べ、ABSタイプを選択するユーザーが多い。(CB1300 SUPER FOURは、ABSタイプの比率は約15%)
■タイプ別構成比
スタンダードタイプ 66%
ABSタイプ 34%
■車体色別構成比
パールミルキーホワイト 38%
キャンディーグローリーレッド 35%
ダークネスブラックメタリック 27%
ホンダ PCX
また、ホンダ PCXも発売3週間で7400台を受注し年間計画8000台の9割を達成するヒット商品となろうとしている。
PCXは、125ccの原付二種市場でワンランク上の次世代125ccスクーターとして開発され、一時停止の際に自動的にエンジンが停止するアイドリングストップ・システムをこのクラスでは国内初採用するとともに、動力性能と環境性能を両立する水冷エンジンを搭載している。
■購入ポイント・購入層
<購入ポイント>
・ 国内ではクラス初となるアイドリングストップ・システムの搭載により、さらなる低燃費を追求した新開発の水冷・単気筒エンジン
・ 前・後14インチのアルミ製ホイールの採用による、優れた走行安定性と快適な乗り心地
・ 後輪ブレーキ(左レバー)を操作するだけで、前輪にも制動力が配分され、効率のよいブレーキングを可能としたHonda独自のコンビブレーキ(前・後輪連動ブレーキ)を標準装備
・ 細部までデザイン性を追求した先進スタイリング
・ シート下に、フルフェイスヘルメットやグローブなどを収納できる25Lのスペースを確保
<購入層>
20歳代のエントリーユーザーから、30歳代の男性を中心に幅広い年齢層のお客様に支持されている。
■車体色別構成比
パールヒマラヤズホワイト 47%
アステロイドブラックメタリック 35%
キャンディーロージーレッド 18%
PCX、タイのタイホンダで生産されており低価格化を実現している。
■メーカー希望小売価格 ¥299,250
と、久しぶりに二輪車市場において明るい話題であるが、喜ぶのはまだ早い。
次に示すのは、日本自動車工業会がリリースした広報資料であるが、二輪車を取り巻く環境はかなり深刻だ。
参考までのご覧ください。
日本自動車工業会が先日、「
2009年度二輪車市場動向調査について」を発表している。
詳細に関しては、リンク先を参照して頂くとして、要旨を抜き出してみよう。
二輪車新車購入者のデータ
○若者の二輪車離れが進み、特に女性の構成比が大幅に減少。
○二輪購入者は買い替えが中心で、新規需要が減少。
二輪車に関する意識
○購入動機として「燃費のよさ」「維持費の安さ」「移動時間の短縮」といった経済性・実用性を重視した動機が多い。
○二輪車の環境性が優れている点を評価。
○大都市圏で二輪駐車場所で困っている。
販売店に関する意識
○ユーザーと販売店の重視するポイントについて、一致するポイントもあるが、ユーザーは品揃えや試乗車の有無などを重視。
他にも今後の市場動向を見通したレポートをそのまま抜粋させていただく。
2009年度二輪車市場動向調査の概要
2010年度(平成22年度)自動車国内需要見通し
II.二輪車
1.二輪車総需要の動向
国内の二輪車市場は、若年人口の減少や消費志向の変化により長期的な減少が続いている。更に、世界的な規模での経済悪化による景気低迷からまだ本格的には脱却できず、加えて排出ガス規制対応による車両価格の上昇や、都市部における慢性的な駐車場不足などのマイナス要因は早期に解消されないことが影響しており、2010年度も引き続き減少傾向が続くものと予測される。
このような背景のもと、
2009年度の二輪車国内総需要は411千台・前年度比75.0%と見込まれる。
これは、全ての排気量帯で前年度を下回ったことによる。
2010年度については、原付第二種の需要が若干回復するものの、市場の半分以上を占める原付第一種の需要の回復が期待できず、二輪車国内総需要としては384千台・前年度比93.4%にとどまると見込まれる。
2.原付第一種
2009年度の原付第一種の需要は、230千台・前年度比78.5%と見込まれる。
これは、経済環境の悪化による買い控え、ならびに代替サイクルの長期化により、需要が減少した。
2010年度については、景気低迷に歯止めがかかりつつあるが、2009年度に見られた買い控え等の傾向が継続するとみられることから需要は減少し、210千台・前年度比91.3%と見込まれる。
3.原付第二種
2009年度の原付第二種の需要は、76千台・前年度比69.1%と見込まれる。
これは、ここ1,2年で原付第二種における維持費の経済性が見直されたことや、排出ガス規制対応による車両価格上昇前の駆け込み需要等が生じ、それによる反動が2009年に顕在化した。
その結果、2009年度の需要台数は大きく減少した。
2010年度については、ニューモデル投入によるモデル数増加や、他排気量帯からの流入等の影響により、全排気量帯で唯一の需要増となる79千台・前年度比103.9%と見込まれる。
4.軽二輪車
2009年度の軽二輪車の需要は、45千台・前年度比66.3%と見込まれる。
これは、ニューモデル投入によるプラス要因はあったものの、経済環境悪化による影響を受け、特に若年層の消費マインドが低下したことによる。また、都市部でのスクーター離れも一層進んだことも、需要に大きな影響を及ぼした。
2010年度については、雇用・所得環境は引き続き厳しいことが見込まれ、当面は他カテゴリーへの移行も予測されることから38千台・前年度比84.4%と見込まれる。
5.小型二輪車
2009年度の小型二輪車の需要は、中高年層を中心にレジャー・ツーリングなどの趣味財として底堅い需要推移を想定していたものの、給与所得減少等による消費マインド減退、更にモデル数減少の影響も大きく、60千台・前年度比78.0%と需要が大きく減少した。
2010年度については、雇用・所得環境に対する先行き不安感等を背景として、代替購入が先延ばしされるものの、ニューモデル投入効果も期待できることから、57千台・前年度比95.0%と見込まれる。
以 上