今シーズン、全日本ロードレース J-GP2クラスに参戦し、日本グランブリ Moto2クラスにもワイルドカード参戦が決まったバーニングブラッドレーシングチーム(以下、BBR)。全日本 J-GP2のレギュレーションでは、オリジナルのシャーシ、スイングアームも認められており、BBRはダブルスイングアームなる新機構を持ち込んできている。
(過去にはレーサーにも市販車にも採用された例はあるとの事)
先日の記事で、このスイングアームに関するコメントをいただき、皆の注目度が高いことが分かったので、さらに識者の見解がいただければ有り難いなと思い本記事に上げさせてもらうことにした。見解でも感想でも何でも良いのでコメントを頂ければ本文記事にアップして皆に分かりやすいようにしたいと思っています。
私は昔から理論は無視して感覚だけでライディングするタイプでした。もちろん、サーキット走行においては、ある程度理論的にセッティングを組み立てなければいけないので、嫌々ながら理論上適切と言われている作業を取り入れたりもしていました。しかし、なかなか感覚と理論がかみ合わない事が多く、腑に落ちないばかりでした。だから、そんな私の意見を述べるよりも皆さんの意見を聞いてみたいと思った次第です。
まぁ、ダブルスイングアーム自体は昔からある技術のようですので、理論は出来上がっていると思いますが。
さて、本題のダブルスイングアームなのですが、理論上のピボット位置をずらす(延ばす?)事ができ、また max_jisan さんがコメントくださったように角度などを変化させることでアンチスクワット調整も含めたジオメトリー調整の自由度が増すという事でしょうか。
その効果により、旅者氏のコメントのようなブレーキング時の安定性とトラクションの向上を狙っている。
簡単な理論としては、このような理解でよろしいでしょうか?
だれか詳しい人もしくは中の人が見ていたら教えてください。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/ba/11061563c422ca2e6041277ce4c2175d.jpg)
力の作用を図に書いたりして、応力の変化を想像したりして考えてみたが難しいね。
〈追加記事〉
頂いたコメントの要点ですが、勝手にアップして、勝手に抜き出しておりますがごめんなさい。
不都合があったら遠慮なく言ってください。
でもこの様に話題が発展して、アカデミックな感じなのって大好きです。
Tさん :
こういう馬鹿げた事を真剣に取り組み結果を出すのって「ステキ」だとおもうよ
開発ってお金がかかって当たり前だし、失敗してナンボだし、あたりまえだし・・・
馬鹿ってのは本当は馬鹿じゃなく「挑戦」したいんだよ、いろんな意味でね
私 :
このダブルスイングアームは日本のチームが開発しているのです。
だから私もこのようなチャレンジスピリットがあるチームがある事を嬉しく思っていました。
このチームの代表は世界を渡り歩いた人なので、常識にとらわれない自由な発想が出来るんでしょうね。
確かに世界はどんな発想を持っていても個性として認めてくれる素地があります。
また良い物を作れば、相手が肩書も資本も無い人間でも認めてくれ採用してくれる懐の深さがあります。
日本では大手企業の肩書が無ければ相手にもしてくれないのは大いなる損失になっているかもしれませんね。
で、このダブルスイングアームマシンはうまくいってないようでタイムが出ていません。
まだまだ開発が始まったばかりなので、これから詰めてくると思いますので、この構造が優れているかそうでないかは今後明らかになるでしょう。
いずれにしても個性的なマシンが向上していくのを見るのは楽しみです。
Nさん :
リヤのダブルスイングアームはどんなメリットがあるんでしょう。
アームが薄いように見えるので軽量化・・・かな?
私 :
このスイングアームのメリットですが、どこで聞いたのか忘れたのですが、確かピボットの位置が関係していたと思います。
ピボット位置の自由度が増し、理想的なスイングアームのバランスを理論上で形成でき、それによりトラクションの向上と挙動が安定できると言ったところでしょうか。
物理が苦手な私はすんなり理解する事は難しいですが、構造上、かなり複雑な調整が必要になり、セッティングを出すのも難しいような気もします。
それでも、ディメンションがぴったりハマってきたときには大きな武器となる可能性もあります。
結果を出すにはまだまだ時間が必要な感じですが・・・
Tさん :
・・・サスの動きかなぁ?・・・
な~んとなくだけど、機構こそ違うけど「Zook Type2」のサスの動きになるのかな~って。
多分、多分だけどブレーキング時のトラクションを狙っているのかもね・・・
まぁ僕もZook-T2作って笑われたけどあのサスアームが面白い動きでブレーキングが面白いです。
Nさん :
強度をもたせるのも大変そう
Mさん :
BBRのパラレルスイングアームは似たものの片持ちをシャフトドライブのBMWが採用しています。
過去にもカワサキワークスがKR500で採用していました。
そして別なジャンルではマウンテンバイクのリヤサスペンション形式では最もメジャーな形態ですね。
理由がアンチスクワットの影響をコントロールできるから。
マウンテンバイクではサスペンション動作がペダリングに与える影響(キックバック)を低減する目的で主に用いられています。
単車の場合アンチスクワットトルクは重要なハンドリングインフォメーションとなるのでライダーが対応できるか?
または対応できるジオメトリーに設定されているか?がキーポイントとなります。
上下アームの並行度を変化させてある程度角度に変化を持たせるとアンチスクワット力を調節可能です。
私 :
なるほど、結構昔から実践されてきた理論なんですね。
トラクションを得て安定を増す方法としては、ピボット位置の調整や垂れ角な色々方法はありますが、2本のアームがある事でセッティングの幅が大きくなるメリットがありそうですね。
Mさん :
先程のアンチスクワット・アンチリフト&リヤブレーキによる姿勢変化の影響の他にフレームに対してリヤアクスル軸の描く円弧半径をある程度自由に設定できる点も付け加えておきます。
パラレルリンク構造では従来のスイングアームピボットに当たる円弧中心を「仮想ピボット」と呼びある程度自由な位置に設定できストロークと共にその中心もある程度変移します。
これを利用して短いスイングアームスパンで従来の1ピボットタイプの長いスイングアームに近い動きを再現することが可能になります。
昔のタンデムツインを並列配置したスクエアシリンダのKR500はエンジン前後長が長くスイングアーム長が長く取れない為これと似たパラレルリンクを採用したと思われます。
私 :
なるほどなるほど、理解がずいぶん進んできました。
確かに4点支持?になると角度・長さを変える事で円弧半径を自由に変えられるメリットがありますね。
つまり仮想ピボットを理想的な場所に持ってくる事が可能になるという事ですね。
エンジンの前後長が長くなるKRの例は分かりやすくてピンときました。
この様な技術の試行錯誤の積み重ねで、今の快適安全な製品を手に出来るんですね。
技術者たちの努力をあらためて感じます。
理論嫌いの私でしたが、楽しくなってきました。
またのご意見お待ちしています。
〈追加記事2〉
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/e9/357b9bb2fee4450cd312aeb988a57d43.jpg)
パラレルではないけど、こんな形状もあった。
BIMOTA DB6 Delirio Superlight
カーボン製のフレーム、スイングアームを採用し、徹底した軽量化で重量は158Kgとなっている。
スタンダードのDelirioと比べて約12Kg軽量化している。
〈追加記事3〉
BIMOTA TESI 3D
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/6e/1f9e63c2139cd559118cdff4114761fc.jpg)
ビモータが出たついでに、TESI 3Dのハブセンターステアリングも触れてみよう。
通常のフロントステアリング(テレスコピック)の場合、ブレーキングすることによってフロントが沈み、結果としてキャスターアングルが立ってしまう。
キャスターが立つことにより旋回性が上がるのだが(理論上での話)、車体姿勢が変化することによるデメリットも発生する。
それを解消するのがハブセンターステアリング機構で、操舵機能と緩衝機能を分離することでそれぞれの機能を最大限発揮する事ができ、またディメンションの変化が無くなり旋回性と安定性を両立させることができる。
しかし、ハブセンターステアリングは構造が複雑になり、コストもかかることから市販車に採用されるケースは少ない。
(過去にはレーサーにも市販車にも採用された例はあるとの事)
先日の記事で、このスイングアームに関するコメントをいただき、皆の注目度が高いことが分かったので、さらに識者の見解がいただければ有り難いなと思い本記事に上げさせてもらうことにした。見解でも感想でも何でも良いのでコメントを頂ければ本文記事にアップして皆に分かりやすいようにしたいと思っています。
私は昔から理論は無視して感覚だけでライディングするタイプでした。もちろん、サーキット走行においては、ある程度理論的にセッティングを組み立てなければいけないので、嫌々ながら理論上適切と言われている作業を取り入れたりもしていました。しかし、なかなか感覚と理論がかみ合わない事が多く、腑に落ちないばかりでした。だから、そんな私の意見を述べるよりも皆さんの意見を聞いてみたいと思った次第です。
まぁ、ダブルスイングアーム自体は昔からある技術のようですので、理論は出来上がっていると思いますが。
さて、本題のダブルスイングアームなのですが、理論上のピボット位置をずらす(延ばす?)事ができ、また max_jisan さんがコメントくださったように角度などを変化させることでアンチスクワット調整も含めたジオメトリー調整の自由度が増すという事でしょうか。
その効果により、旅者氏のコメントのようなブレーキング時の安定性とトラクションの向上を狙っている。
簡単な理論としては、このような理解でよろしいでしょうか?
だれか詳しい人もしくは中の人が見ていたら教えてください。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/19/f0a9dd451956916a1dd690e38b9e0efa.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/ba/11061563c422ca2e6041277ce4c2175d.jpg)
力の作用を図に書いたりして、応力の変化を想像したりして考えてみたが難しいね。
〈追加記事〉
頂いたコメントの要点ですが、勝手にアップして、勝手に抜き出しておりますがごめんなさい。
不都合があったら遠慮なく言ってください。
でもこの様に話題が発展して、アカデミックな感じなのって大好きです。
Tさん :
こういう馬鹿げた事を真剣に取り組み結果を出すのって「ステキ」だとおもうよ
開発ってお金がかかって当たり前だし、失敗してナンボだし、あたりまえだし・・・
馬鹿ってのは本当は馬鹿じゃなく「挑戦」したいんだよ、いろんな意味でね
私 :
このダブルスイングアームは日本のチームが開発しているのです。
だから私もこのようなチャレンジスピリットがあるチームがある事を嬉しく思っていました。
このチームの代表は世界を渡り歩いた人なので、常識にとらわれない自由な発想が出来るんでしょうね。
確かに世界はどんな発想を持っていても個性として認めてくれる素地があります。
また良い物を作れば、相手が肩書も資本も無い人間でも認めてくれ採用してくれる懐の深さがあります。
日本では大手企業の肩書が無ければ相手にもしてくれないのは大いなる損失になっているかもしれませんね。
で、このダブルスイングアームマシンはうまくいってないようでタイムが出ていません。
まだまだ開発が始まったばかりなので、これから詰めてくると思いますので、この構造が優れているかそうでないかは今後明らかになるでしょう。
いずれにしても個性的なマシンが向上していくのを見るのは楽しみです。
Nさん :
リヤのダブルスイングアームはどんなメリットがあるんでしょう。
アームが薄いように見えるので軽量化・・・かな?
私 :
このスイングアームのメリットですが、どこで聞いたのか忘れたのですが、確かピボットの位置が関係していたと思います。
ピボット位置の自由度が増し、理想的なスイングアームのバランスを理論上で形成でき、それによりトラクションの向上と挙動が安定できると言ったところでしょうか。
物理が苦手な私はすんなり理解する事は難しいですが、構造上、かなり複雑な調整が必要になり、セッティングを出すのも難しいような気もします。
それでも、ディメンションがぴったりハマってきたときには大きな武器となる可能性もあります。
結果を出すにはまだまだ時間が必要な感じですが・・・
Tさん :
・・・サスの動きかなぁ?・・・
な~んとなくだけど、機構こそ違うけど「Zook Type2」のサスの動きになるのかな~って。
多分、多分だけどブレーキング時のトラクションを狙っているのかもね・・・
まぁ僕もZook-T2作って笑われたけどあのサスアームが面白い動きでブレーキングが面白いです。
Nさん :
強度をもたせるのも大変そう
Mさん :
BBRのパラレルスイングアームは似たものの片持ちをシャフトドライブのBMWが採用しています。
過去にもカワサキワークスがKR500で採用していました。
そして別なジャンルではマウンテンバイクのリヤサスペンション形式では最もメジャーな形態ですね。
理由がアンチスクワットの影響をコントロールできるから。
マウンテンバイクではサスペンション動作がペダリングに与える影響(キックバック)を低減する目的で主に用いられています。
単車の場合アンチスクワットトルクは重要なハンドリングインフォメーションとなるのでライダーが対応できるか?
または対応できるジオメトリーに設定されているか?がキーポイントとなります。
上下アームの並行度を変化させてある程度角度に変化を持たせるとアンチスクワット力を調節可能です。
私 :
なるほど、結構昔から実践されてきた理論なんですね。
トラクションを得て安定を増す方法としては、ピボット位置の調整や垂れ角な色々方法はありますが、2本のアームがある事でセッティングの幅が大きくなるメリットがありそうですね。
Mさん :
先程のアンチスクワット・アンチリフト&リヤブレーキによる姿勢変化の影響の他にフレームに対してリヤアクスル軸の描く円弧半径をある程度自由に設定できる点も付け加えておきます。
パラレルリンク構造では従来のスイングアームピボットに当たる円弧中心を「仮想ピボット」と呼びある程度自由な位置に設定できストロークと共にその中心もある程度変移します。
これを利用して短いスイングアームスパンで従来の1ピボットタイプの長いスイングアームに近い動きを再現することが可能になります。
昔のタンデムツインを並列配置したスクエアシリンダのKR500はエンジン前後長が長くスイングアーム長が長く取れない為これと似たパラレルリンクを採用したと思われます。
私 :
なるほどなるほど、理解がずいぶん進んできました。
確かに4点支持?になると角度・長さを変える事で円弧半径を自由に変えられるメリットがありますね。
つまり仮想ピボットを理想的な場所に持ってくる事が可能になるという事ですね。
エンジンの前後長が長くなるKRの例は分かりやすくてピンときました。
この様な技術の試行錯誤の積み重ねで、今の快適安全な製品を手に出来るんですね。
技術者たちの努力をあらためて感じます。
理論嫌いの私でしたが、楽しくなってきました。
またのご意見お待ちしています。
〈追加記事2〉
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/e9/357b9bb2fee4450cd312aeb988a57d43.jpg)
パラレルではないけど、こんな形状もあった。
BIMOTA DB6 Delirio Superlight
カーボン製のフレーム、スイングアームを採用し、徹底した軽量化で重量は158Kgとなっている。
スタンダードのDelirioと比べて約12Kg軽量化している。
〈追加記事3〉
BIMOTA TESI 3D
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/6e/1f9e63c2139cd559118cdff4114761fc.jpg)
ビモータが出たついでに、TESI 3Dのハブセンターステアリングも触れてみよう。
通常のフロントステアリング(テレスコピック)の場合、ブレーキングすることによってフロントが沈み、結果としてキャスターアングルが立ってしまう。
キャスターが立つことにより旋回性が上がるのだが(理論上での話)、車体姿勢が変化することによるデメリットも発生する。
それを解消するのがハブセンターステアリング機構で、操舵機能と緩衝機能を分離することでそれぞれの機能を最大限発揮する事ができ、またディメンションの変化が無くなり旋回性と安定性を両立させることができる。
しかし、ハブセンターステアリングは構造が複雑になり、コストもかかることから市販車に採用されるケースは少ない。