心霊

徳島のホテルで怪異が起こった。

朝、まだ夜が明けぬ午前5時頃、嫌な夢を見て目が覚めた。

部屋は真っ暗だ。このホテル、フットライトの設備がなく、枕元のスイッチを切ると、部屋の照明が全て消えてしまう。窓のカーテンも引いていたから、尚更に部屋は暗かった。

それでも、テーブルやベッドの輪郭は分かる。目の前の壁に鏡があるのも分かる。その鏡を、何となく、ぼんやりと見ていた。

スウゥー…

鏡の中を白く光る何かがよぎって行った。何だ、あれは？

起き上がって、目を凝らしてみる。何もない。後ろの壁を振り返ってみても何もない。鏡にはその壁が映っている。さっきの怪しい影はこの壁の上を通り過ぎ、それが鏡を通して見えたのに間違いはない。何だったのだろう。

確かに光っていた。人の形のようにも見えた。部屋には光を放つものはないのだが…あっ！

また光が通り過ぎた。あっ、また。

何だ。クルマのヘッドライトか。
カーテンの隙間から入った光が人の形のように壁に映っていただけだった。

チェッ、つまらない。

早く起きちゃったから旧吉野川に出かけてみた。昨日より水位が落ちている。スピナーベイトを引いてみたが、全く反応がない。
上流の水門前で逮捕状にチェンジ。ゴゴゴゴン！
さすがは逮捕状、レギュラーバスを5連発。

うむ。朝早くに目が覚めたのは、バス釣りに行けという神託だったに違いない。
nnn男爵に感謝しなければいけないな。ん？ アイツじゃなくて別の神かな？