乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

2020年04月04日(土)の観察交流会

2020年04月04日 | 乙女高原観察交流会

※乙女高原案内人の鈴木さんがレポートを書いてくださいました。

 4月4日、今年度最初の自然観察会交流会が開催されました。コロナウイルス感染が広がっているためか、参加者は少なく3名でした。全員マスクを着用して、普段は乗り合わせる車も別々にするなど、いつもと違う雰囲気です。それでも春の装いの乙女高原を楽しみに、また今回はヤマアカガエルの産卵調査も行うことを決めて高原へと向かいました。
まずは毎年カタクリが見られる山の神付近で車を止めました。カタクリの開花にはまだ少し早いようでしたが、代わりにたくさんのヒナスミレが咲いていました。近くで成虫越冬したテングチョウが飛んでいます。よく見ると羽がボロボロです。生き物が冬を越すことの厳しさを感じます。

 次に通称カエル池で途中下車。先月の観察会でヤマアカガエルの卵塊を16腹見つけたところです。かろうじて1腹だけが卵塊の形を残していましたが、残りはすべて孵化してオタマジャクシになっていました。ヤマアカガエルは年1回の産卵期に、成熟したすべてのメスが1匹あたり1つの卵塊を産卵します。そのため卵塊の数を数えることで生息する個体数を把握ことができるのです。

 さらに車を進め、例年ネコノメソウが群生している沢の斜面を降りてみることにしました。期待通りツルネコノメソウとハナネコノメソウがたくさん咲いていていました。少し離れたところにはコガネネコンメソウ咲いていて、3種類のネコノメソウの仲間を楽しむことができました。バイケイソウやハシリドコロも芽を出し始めています。また、沢の中の少し大きめの石をそっと裏返してみると、カワゲラやトビゲラの幼虫が動いています。水辺の虫や魚たちも賑やかになりそうです。

 木道の湿地と駐車場下の湿地でヤマアカガエルの卵塊を確認しました。木道の卵塊数は9腹あり、いずれもかなり崩れかけていました。駐車場下の湿地は2腹でした。こちらもかなり崩れています。湿地から少し目を離すと何かごそごそ動いているものがあります。越冬から目覚めたヒメツチハンミョウです。あたりを見渡すと他にも数匹見つけることができました。早々に交尾をしているカップルもあり思わず見入ってしまいます。周りではバッコヤナギの白い輝きが印象的でした。

 あちこち寄り道をして、結局高原に着いたのは12時を過ぎてしまいました。ロッジ前の温度計は15℃、暖かいです。昼食後は来月の遊歩道作りの前準備として、杭の点検をすることにしました。腐って折れそうな杭に、目印として園芸用の支柱を立てて回ります。その結果、30本ほど交換が必要と思われる状態でした。また、昨年設置した“谷地坊主の案内板”に誘導する歩道も新たに作らなければなりません。ホソバツルリンドウなどの株を避けるようにコースを取ってみると、40本程度の杭が必要になりそうです。いろいろ作業をしていると乙女高原が多くの人の手によって維持されてきたことをあらためて実感しました。

 一通りの作業を終えたあと、帰りは塩平方面へ抜ける林道を通ることにしました。マンサクの花が見ごろではないかとの情報でしたが、ほとんど終わりになっていました。一方ダンコウバイの花が満開で、アブラチャンはまだ冬芽が開くのにしばらくかかりそうな状態でした。それぞれ春を代表する黄色い花ですが、開花時期の微妙なずれがおもしろく感じます。ツノハシバミの赤くてかわいい雌花も目を引きます。この林道にはスミレの群生地が何か所かありますが、まだ早いようでひとつも見つけることはできませんでした。次回の観察会におあずけです。

 コロナウイルスの影響は長期化しそうです。ひとりひとりがしっかりと対策を取って自粛すると同時に、たまには乙女高原に出向いてリフレッシュすることも大切ですね。

コメント
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