HGUCドライセンの製作記事の4回目です。ここで気が付いたのが、頭部というかモノアイ周辺だけで4回目まで来てしまったということです。い、いかん! このままでは完成までにどれだけ掛かることやら…(汗)。
というわけで今回はかなり長くなりますが、どうぞお付き合いください。m(- -)m
前回のラストで書いた「問題点」ですが、解説のための図を描いてみました。↓
図左:頭部下側のパーツ「A9」を上から見たところです。
図中央:前回作った頭部内フレームを組み込んだ状態で、黄色い矢印はモノアイ可動軸の中心からフレームの外側までの距離を表します。モノアイが正面を向いている状態だと、矢印はこの長さなのですが… (白と黒で色分けされた円がモノアイ可動軸の位置を表します)
図右:フレームの円弧に対する中心からずれた位置にモノアイ可動軸の中心が設けられているため、モノアイを横に移動させると緑色の矢印のように、モノアイ可動軸の中心からフレームの外側までの距離が伸びてしまいます。
モノアイの可動軸からレンズの基部までを構成するパーツは、黄色い矢印と緑色の矢印の中間ぐらいをイメージして作っています。モノアイの可動範囲を増やすためには、緑色の矢印か、それ以上の長さで作れば良いのですが、あまり長くするとレンズがモノアイシールドの内部に収まらなくなってしまいます。そのため、モノアイの可動範囲は左右それぞれ約45度程度を目標にしました。
頭の内部にモノアイの可動ギミックを設ける場合、問題となってくるのが首関節の軸受けの位置です。1/144スケールキットでは、頭部の内部における首関節軸受けが占めるスペースが意外と大きいためです。
写真左側:このキットの首関節軸は、頭部の中心からやや後ろにずれた位置にあります。「もともとこのキットはモノアイ可動ギミックを設ける予定だったのが中止になったのかもしれないなぁ」と思うぐらい、首関節軸受けの前にスペースが設けられているのですが…
写真右側:首関節軸受けを頭部の中央に設けると、下の図のようなドラム状のモノアイレールを組み込むだけで、簡単にモノアイを左右に可動させることができます。HGUCザクと同じ構造です。
首関節軸受けを移動させる改造は意外と大掛かりになる上、首パーツのボールジョイントの位置まで移動させる必要があるので、今回の製作では断念しました。
……話が長くなりました。ここから今回の製作に入ります。
前回作った各パーツを頭部に組み込んだ状態です。ここでようやく「Hアイズ」のレンズを仮付けしました。今回使用したHアイズの直径は2.8㎜です。キットのモノアイシールがやや小さく感じたのと、以前作ったHGUCリックドムⅡに使用したHアイズとサイズを統一したかったためです。この「サイズの統一」については、後の記事にて触れたいと思います。
前回も使った「シャッターモールド」を細切りして、モノアイ可動軸パーツの側面に貼り付けました。
2本の細切りシャッターモールドの長さを切り揃える際には、作業台の上に両面テープを貼り、その上にマスキングテープの粘着面を上にして貼り付け、その上にパーツを貼って固定してから切ると作業が楽です。両面テープに直接パーツを貼った場合よりも、マスキングテープの方がパーツをはがしやすいです。
同様にして切った細切りシャッターモールドを、頭部内部の奥の方にも貼りました。ちょうど横方向のモノアイスリットの奥にあたる部分です。モノアイ可動軸にシャッターモールドが干渉しないように貼りました。
ディテールアップのために貼ったパーツによって、モノアイの可動範囲が狭くなってしまったかどうかをチェックしています。やや可動範囲は狭くなりましたが、この後パーツ同士が干渉する部分を削り込んで、左右それぞれ約45度の可動範囲を確保しました。
写真左:「モビルスーツ動画図鑑」で見た「ZZ」当時の作画の雰囲気に近付けるため、上下方向にモノアイレールを延長します。細切りしたシャッターモールドの両側にプラストライプを配置し、リモネン系流し込みタイプ接着剤で接着しました。
写真右:接着剤が乾燥した後、モノアイレールを適当な長さに切り、片方の端にもプラストライプを貼り付けました。
下側のモノアイレールを仮付けした状態です。アゴにあたる部分のスロープから頭部内フレームに掛けて、はしごを立てかけたような状態です。横から見るとすき間があってやや見栄えが悪いため、すき間を埋めるパーツをランナーから削り出して取り付けました。
写真は撮っていませんが、この後、上側のモノアイレールも延長しました。
モノアイの製作が一段落した&ちょっと飽きてきたので、頭部の形状変更を行いました。
写真左:十字型モノアイの赤い枠の上側、額にあたる突き出した部分ですが、ややドライセンのイメージとは違う気がしていました。
写真右:かなり作業が進んだ後の写真ですが…(汗)。キットでは赤い枠の上面の角度がかなり寝ていて、リックドムⅡに近い雰囲気になっています(ユニコーン版ドライセンの頭部はこんな感じといえばこんな感じなのですが:笑)。この部分の角度が立つように、上面の部分を削り落とし、同色のプラ材を貼り付けて整形しました。
作業中の写真です。削り落として開いてしまった部分にフタをするように貼ったのは、HGUCジム改のコクピットハッチのパーツです。もったいないことをしてしまった…(汗)。
あと前回書き忘れたことですが、モノアイを囲む赤い枠のフチが分厚く感じたため、枠の内側と外側の両側からフチの厚みが薄く見えるように削り込んであります。この赤いパーツはエッジがかなり立っていて平板なイメージだと感じたため、他のHGUCドム系キットの面構成を参考に削り込んで、面に丸みを加えたりエッジを落したりしています。
頭頂部の角は設定画と比べるとかなり小さいと思います。キットの角を切り落とし、パーツの裏側から1㎜径ドリルで穴を開け(穴位置はパーツの裏側を見れば分かります)、棒ヤスリで穴を広げてから鋭く削ったランナーを差し込んで接着しました。ランナーは鉛筆削りである程度削り、耐水ペーパーで仕上げて適当な長さに切りました。
粗い画像ですが、整形が終わった状態の頭部です。
モノアイ製作に戻ります。
可動軸は首の可動に支障が無い程度に切り、断面にはマイナスドライバーを差し込むためのミゾを彫りました。
透明ビニール製のモノアイシールドは、モノアイスリット下側の部分が固定できていません。そのため、シールドがめくれて浮き上がってくるのを防止するためのパーツを作って貼り付けました。
とりあえず各パーツの加工が終わったので、内部メカや頭部赤枠パーツの内側をタミヤアクリル塗料のジャーマングレイで塗装しました。以下、組み立てが終わった状態の写真です。まだ後頭部下側の塗装は行なっていません。
上側の赤枠の先端部、ちょうど角度変更の改造を行った部分の内部には何らかのセンサーの類が入っていると解釈して市販のパーツを貼りましたが、ほとんど分かりませんねぇ(汗)。
モノアイを左右に移動させた状態の写真です。塗装する前はスムーズに可動していました(というより、塗膜の厚みを考慮してゆるゆるにしていました)が、塗装後は塗膜の厚みや水性アクリル塗料独特の粘りが可動を妨げるという結果になりました。数日間放置して塗料が完全に固まってから、可動部を調整する予定です。
*コメントをくださった読者の皆様、ありがとうございます! トロ准尉さんからいただいたご質問、シャッターモールドの切り出し方ですが…
図の赤い線がニッパーでの切り取り線です。まず上下の枠をニッパーで切り取り、パーツの向きを変えて両サイドの枠をシャッターのある面と平行にニッパーを当てて切ります。最後に両サイドをニッパーで切り落とせば、パーツが割れる可能性は低くなると思います。切りだしには良く切れるニッパーやデザインナイフをお使いくださいね~。
というわけで今回はかなり長くなりますが、どうぞお付き合いください。m(- -)m
前回のラストで書いた「問題点」ですが、解説のための図を描いてみました。↓
図左:頭部下側のパーツ「A9」を上から見たところです。
図中央:前回作った頭部内フレームを組み込んだ状態で、黄色い矢印はモノアイ可動軸の中心からフレームの外側までの距離を表します。モノアイが正面を向いている状態だと、矢印はこの長さなのですが… (白と黒で色分けされた円がモノアイ可動軸の位置を表します)
図右:フレームの円弧に対する中心からずれた位置にモノアイ可動軸の中心が設けられているため、モノアイを横に移動させると緑色の矢印のように、モノアイ可動軸の中心からフレームの外側までの距離が伸びてしまいます。
モノアイの可動軸からレンズの基部までを構成するパーツは、黄色い矢印と緑色の矢印の中間ぐらいをイメージして作っています。モノアイの可動範囲を増やすためには、緑色の矢印か、それ以上の長さで作れば良いのですが、あまり長くするとレンズがモノアイシールドの内部に収まらなくなってしまいます。そのため、モノアイの可動範囲は左右それぞれ約45度程度を目標にしました。
頭の内部にモノアイの可動ギミックを設ける場合、問題となってくるのが首関節の軸受けの位置です。1/144スケールキットでは、頭部の内部における首関節軸受けが占めるスペースが意外と大きいためです。
写真左側:このキットの首関節軸は、頭部の中心からやや後ろにずれた位置にあります。「もともとこのキットはモノアイ可動ギミックを設ける予定だったのが中止になったのかもしれないなぁ」と思うぐらい、首関節軸受けの前にスペースが設けられているのですが…
写真右側:首関節軸受けを頭部の中央に設けると、下の図のようなドラム状のモノアイレールを組み込むだけで、簡単にモノアイを左右に可動させることができます。HGUCザクと同じ構造です。
首関節軸受けを移動させる改造は意外と大掛かりになる上、首パーツのボールジョイントの位置まで移動させる必要があるので、今回の製作では断念しました。
……話が長くなりました。ここから今回の製作に入ります。
前回作った各パーツを頭部に組み込んだ状態です。ここでようやく「Hアイズ」のレンズを仮付けしました。今回使用したHアイズの直径は2.8㎜です。キットのモノアイシールがやや小さく感じたのと、以前作ったHGUCリックドムⅡに使用したHアイズとサイズを統一したかったためです。この「サイズの統一」については、後の記事にて触れたいと思います。
前回も使った「シャッターモールド」を細切りして、モノアイ可動軸パーツの側面に貼り付けました。
2本の細切りシャッターモールドの長さを切り揃える際には、作業台の上に両面テープを貼り、その上にマスキングテープの粘着面を上にして貼り付け、その上にパーツを貼って固定してから切ると作業が楽です。両面テープに直接パーツを貼った場合よりも、マスキングテープの方がパーツをはがしやすいです。
同様にして切った細切りシャッターモールドを、頭部内部の奥の方にも貼りました。ちょうど横方向のモノアイスリットの奥にあたる部分です。モノアイ可動軸にシャッターモールドが干渉しないように貼りました。
ディテールアップのために貼ったパーツによって、モノアイの可動範囲が狭くなってしまったかどうかをチェックしています。やや可動範囲は狭くなりましたが、この後パーツ同士が干渉する部分を削り込んで、左右それぞれ約45度の可動範囲を確保しました。
写真左:「モビルスーツ動画図鑑」で見た「ZZ」当時の作画の雰囲気に近付けるため、上下方向にモノアイレールを延長します。細切りしたシャッターモールドの両側にプラストライプを配置し、リモネン系流し込みタイプ接着剤で接着しました。
写真右:接着剤が乾燥した後、モノアイレールを適当な長さに切り、片方の端にもプラストライプを貼り付けました。
下側のモノアイレールを仮付けした状態です。アゴにあたる部分のスロープから頭部内フレームに掛けて、はしごを立てかけたような状態です。横から見るとすき間があってやや見栄えが悪いため、すき間を埋めるパーツをランナーから削り出して取り付けました。
写真は撮っていませんが、この後、上側のモノアイレールも延長しました。
モノアイの製作が一段落した&ちょっと飽きてきたので、頭部の形状変更を行いました。
写真左:十字型モノアイの赤い枠の上側、額にあたる突き出した部分ですが、ややドライセンのイメージとは違う気がしていました。
写真右:かなり作業が進んだ後の写真ですが…(汗)。キットでは赤い枠の上面の角度がかなり寝ていて、リックドムⅡに近い雰囲気になっています(ユニコーン版ドライセンの頭部はこんな感じといえばこんな感じなのですが:笑)。この部分の角度が立つように、上面の部分を削り落とし、同色のプラ材を貼り付けて整形しました。
作業中の写真です。削り落として開いてしまった部分にフタをするように貼ったのは、HGUCジム改のコクピットハッチのパーツです。もったいないことをしてしまった…(汗)。
あと前回書き忘れたことですが、モノアイを囲む赤い枠のフチが分厚く感じたため、枠の内側と外側の両側からフチの厚みが薄く見えるように削り込んであります。この赤いパーツはエッジがかなり立っていて平板なイメージだと感じたため、他のHGUCドム系キットの面構成を参考に削り込んで、面に丸みを加えたりエッジを落したりしています。
頭頂部の角は設定画と比べるとかなり小さいと思います。キットの角を切り落とし、パーツの裏側から1㎜径ドリルで穴を開け(穴位置はパーツの裏側を見れば分かります)、棒ヤスリで穴を広げてから鋭く削ったランナーを差し込んで接着しました。ランナーは鉛筆削りである程度削り、耐水ペーパーで仕上げて適当な長さに切りました。
粗い画像ですが、整形が終わった状態の頭部です。
モノアイ製作に戻ります。
可動軸は首の可動に支障が無い程度に切り、断面にはマイナスドライバーを差し込むためのミゾを彫りました。
透明ビニール製のモノアイシールドは、モノアイスリット下側の部分が固定できていません。そのため、シールドがめくれて浮き上がってくるのを防止するためのパーツを作って貼り付けました。
とりあえず各パーツの加工が終わったので、内部メカや頭部赤枠パーツの内側をタミヤアクリル塗料のジャーマングレイで塗装しました。以下、組み立てが終わった状態の写真です。まだ後頭部下側の塗装は行なっていません。
上側の赤枠の先端部、ちょうど角度変更の改造を行った部分の内部には何らかのセンサーの類が入っていると解釈して市販のパーツを貼りましたが、ほとんど分かりませんねぇ(汗)。
モノアイを左右に移動させた状態の写真です。塗装する前はスムーズに可動していました(というより、塗膜の厚みを考慮してゆるゆるにしていました)が、塗装後は塗膜の厚みや水性アクリル塗料独特の粘りが可動を妨げるという結果になりました。数日間放置して塗料が完全に固まってから、可動部を調整する予定です。
*コメントをくださった読者の皆様、ありがとうございます! トロ准尉さんからいただいたご質問、シャッターモールドの切り出し方ですが…
図の赤い線がニッパーでの切り取り線です。まず上下の枠をニッパーで切り取り、パーツの向きを変えて両サイドの枠をシャッターのある面と平行にニッパーを当てて切ります。最後に両サイドをニッパーで切り落とせば、パーツが割れる可能性は低くなると思います。切りだしには良く切れるニッパーやデザインナイフをお使いくださいね~。
しかしシャッターモールドにここまでこだわるとは…、ドライセンへの愛が伺えますね。
特に上下のシャッターモールドがとてもかっこいいです。
私は同じ色のプラ材はランナータグからなんとか調達して来ます。
頭部はかなり参考になりましたのでドライセンを作る時にはマネ(笑)させて下さい。
芸が細かすぎます。
技術さることながら「執念」を感じます。
素晴らしい!
アイデアだけなら誰でもあれこれ出せるとは思うんだけど
それを具現化できる技術には脱帽します。
凄い。
こういう工作を見ると本当に感動する次第であります!
ボキャブラリーが乏しくて申し訳ありませんです。
私はZZ版のドライセンを購入する予定です。