オレンジな日々

広島在住のシンガーソングライター&ピアニスト
三輪真理(マリ)のブログです。
音楽大好きな日常を綴っています。

映画『シーモアさんと大人のための人生入門』(ネタバレあり)

2016-10-25 | おすすめ映画

今日は思い切って朝から映画を観に行きました。
『シーモアさんと大人のための人生入門』。
公開前からずっと観たいと思っていた映画です。


人生の折り返し地点――アーティストとして、一人の人間として行き詰まりを感じていたイーサン・ホークは、ある夕食会で当時84歳のピアノ教師、シーモア・バーンスタインと出会う。たちまち安心感に包まれ、シーモアと彼のピアノに魅了されたイーサンは、彼のドキュメンタリー映画を撮ろうと決める。シーモアは、50歳でコンサート・ピアニストとしての活動に終止符を打ち、以後の人生を「教える」ことに捧げてきた。ピアニストとしての成功、朝鮮戦争従軍中のつらい記憶、そして、演奏会にまつわる不安や恐怖の思い出。決して平坦ではなかった人生を、シーモアは美しいピアノの調べとともに語る。彼のあたたかく繊細な言葉は、すべてを包み込むように、私たちの心を豊かな場所へと導いてくれる。(公式サイトより)


とっても素晴らしい映画でした。
何度も感動で涙が溢れました。


少し感想を書いてみたいと思います。
ここからはネタバレありです。


舞台恐怖症に陥っていることを誰にも打ち明けられなかった俳優イーサン・ホーク。シーモアさんと出会った時にその暖かい眼差しについ自分の悩みを打ち明けることに。長年解決しなかった彼の悩みがその1回の出会いで解決することになった、その出来事を通じて、シーモアさんを紹介するドキュメンタリー映画を撮ろうと決めたとか。


57年間ワンルームのアパートで暮らすシーモアさん。
シンプルでそして幸せに満ちたその生き方は何によってもたらされるのか。


映画は彼のレッスン風景に始まり、教え子たちとの会話、朝鮮戦争に出兵した時の回想シーン、公開レッスン、映画のためのプライベート・コンサートの模様などいろんなシーンから断片的に構成されます。

  

何のために生きるべきか?
物質的な豊かさや名声を追い求めることで得られない幸福とは何か?
と、問いかけるイーサンにシーモアさんは答えます。


「音楽家としての自分と普段の自分を深いレベルで一致させることができると、やがて音楽と人生は相互に作用し、果てしない充足感に満たされる。」


「人格の本質は、その人が持つ才能を通じて現れてくるものだと私は思っている。自分の才能や情熱を傾けられるものに対し、献身的になることができると、究極の報酬が得られるということを、人々に知ってほしい。感情と思考を一体化させ、さらに楽器奏者や俳優やダンサーにとっては、肉体までも一体化させると、普段の人格ともう一つの人格を統合したり、調和させたりすることは可能だと知ってほしい。」
(パンフレット「インタビュー」より)


自分が情熱を傾けるものに献身的になること。
音楽なら音楽、ダンスならダンス、ビジネスならビジネス、そのものに深く深く入り込むことで出会う究極の自分、ある意味で「狂気の自分」と「日常の自分」は調和させることができるというシーモアさんのメッセージは、何かを深くやり遂げたことがある人ならきっとわかる言葉。


映画を観ながら、改めて自分の音楽を献身的に追い求める生き方を追求したくなりました。
ピアノももっと練習しよう。



全編にわたり登場する数々のピアニストの演奏シーン、グレン・グールドの演奏シーン、ラストを飾るシーモアさんの35年ぶりの映画のための演奏会シーン、そして中でもシーモアさんの師匠クリフォード・カーゾンの演奏シーンは美しすぎて圧巻です。


この映画はすべてのピアニスト、芸術家、そして「本当の幸福とは?」と問いかけるすべての人に観ていただきたい映画です。


夢にも思っていなかった
━━この二つの手で
青空さえつかめるとは。
(by シーモア・バーンスタイン) 




予告動画です。