今日は誕生日でした。
自分へのプレゼントは、やっぱり音楽♪
廿日市文化センターさくらぴあで開催の梯剛之ピアノリサイタルに行きました。
梯剛之さんは1977年生まれのピアニスト。生後一ヶ月の時に小児がんにより失明。4歳半から始めたピアノは、音の繊細さと響きの美しさに定評があり、人間の感情とともに自然の音に耳を傾け、その表情を音で表そうとする彼独自の音楽は聴く人の心をとらえ、国際的評価を高めているそうです。
たまたまもらったチラシを見て行ってみたいなと思い、ピアノの生徒を2人連れて一緒に行ったのですが、もうなんというか、言葉にならない深い感動でした。
お母様と思われる付き添いの女性とさくらぴあステージに登場した梯さんは、意外に背が高くがっちりとした体型。
椅子に座ると、上体をほとんど動かさず腕と指先だけでピアノを演奏する姿はまるでホロビッツのよう。
落ち着いていて迷いのない確信に満ちた音。繊細なピアニッシモから嵐のようなフォルテッシモまでの広いダイナミックレンジ。聴いているうちにそれがどこから聴こえてくるのか、まるで天上から聴こえてくるようにも、自分の中から響いているようにも聴こえる音色。
深い瞑想状態に引き込まれそうになる音色です。
今日の演奏はオールベートーベン。
「エリーゼのために」から始まり、「7つのバガテル」「エロイカの主題による15の変奏曲とフーガ」「ピアノソナタ第23番「熱情」」「ピアノソナタ31番」という5つのプログラム。
ベートーベンのピアノ曲をこんなに美しく弾く人を初めて見ました。
56年のベートーベンの人生。
類いまれな才能に恵まれた一方で、家庭的、肉体的には過酷な運命を背負ったベートーベン。
幼い頃から身体が弱く、長期にわたる度重なる腸炎、ひどい近眼、リュウマチ、通風、肝臓の病、特に過酷だった28歳からの耳の病。それでもやがて、自分の運命を許し受け入れ、自分に対してひどく当たってきた人々や全ての事を許し、そして感謝するに至った一生。
それのベートーベンの人生をまるごと表現するかのような2時間半のコンサート。
あっという間の2時間半でした。
ある時は鳥のさえずりのようにも、ある時は岩に打ちつける波のようにも、ある時は大聖堂に鳴り響くパイプオルガンのようにも聴こえる彼のピアノの音。
1つの曲にこれほどの解釈が可能なのだという、見事なまでの彼の楽曲理解。
ピアノという楽器はこれほどまでに美しく多様で多彩な音を持っていて、そして自由な楽器なのだということを教えてくれました。
多くの心を捉えて離さない彼のピアノの魅力がわかった気がします。
唯一無二のピアニストだと思いました。
音楽ってどこまでも高い場所があるんですね・・。
私もまだまだ精進します。
歌もピアノももっともっと高みを目指そうって改めて思いました。
コンサートの後は、家族と遅い夕食。
家族ぐるみでおつきあいのある廿日市駅前の「げんや」に行きました。
たまたま、げんやの常連の皆さんが隣のテーブル。
沖縄友の会でも仲良しのHさんも来られて、サプライズにお祝いのケーキもいただきました。
ホントにいい誕生日でした。
人としてこの世界に命をいただいたことに、あらためて感謝です。
誕生日ありがとう。