宮沢賢治にハマっている。
文庫版の『銀河鉄道の夜』を買ったんだけど、しばらくほったらかしだった。
最近ようやく手にとって読んでみると、これが深いんだなあ~~~。
そして花や草や動物の名前がたくさん出てくるのも印象的。太陽や星、風の様子も細かく描かれていて感心する。
1つ1つ読み終えるたびに、その世界を旅して来たかのようにしばらく物思いにふけりたくなる。
彼の言葉は1つ1つまるで歌っているみたいに、とっても美しい。1つだけ紹介しますね。
「うずのしゅげを知っていますか。
うずのしゅげは植物学ではおきなぐさと呼ばれますがおきなぐさという名は何だかあのやさしい若い花をあらわさないようにおもいます。
そんなうずのしゅげとは何のことかと云われても私にはわかったようなまたわからないような気がします。
それはたとえば私どものほうでねこやなぎの花芽をべむべろと云いますがそのべむべろが何のことかわかったようなわからないような気がするのと全くおなじです。とにかくべむぼろという語のひびきの中にあの柳の花芽の銀びろうどのこころもち、なめらかな春のはじめの光の工合(ぐあい)が実にはっきり出ているように、うずのしゅげというときはあのきんぽうげ科のおきなぐさの黒朱子(くろじゅす)の花びら、青じろいやはり銀びろうどの刻みのある葉、それから六月のつやつや光る冠毛(かんもう)がみなはっきりと眼にうかびます。・・・(宮沢賢治「おきなぐさ」より)
とっても美しい文章。
うずのしゅげを本当にこの眼で見て確かめてみたい気持ちになる。
多くの音楽家が宮沢賢治の物語を軸に曲を書いたりしているけれど、その気持ちはすごくわかる。
彼の文章はすでに音楽を備えているから。
私もこんな世界を描いてみたいです。