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衆議院議員 おおにし健介

【書評】日本人だけが知らない 世界から絶賛される日本人

2012年07月10日 | Weblog
「日本人だけが知らない 世界から絶賛される日本人」
 黄 文雄 著
 徳間書店


 私は、昭和46年生まれで、大学を卒業して社会に出たのが平成6年です。その頃には、すでにバブル経済は崩壊していましたが、高校生や大学生の頃、バブルの残り香を感じることができましたし、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われて、日本が、日本人が自信に満ち溢れていた時代をかろうじて知っている世代だと思います。しかし、私たちの世代より少し下の世代は、もの心ついた時には、日本はすでに不況で、元気な日本、世界が羨む日本なんて想像がつかないという世代なのです。
 私は、日本の社会構造のさまざまな問題の根底には、高度成長期世代とバブル世代とロスジェネ世代の価値観の溝があるような気がします。

話がそれましたが、そんな自信が持てない今の日本の若者に読んで欲しいのが、この本です。私は、正直に言うと、いわゆる、ネット右翼に代表されるような排他的で、自分と違う考え方や自分とは異なる人の立場を尊重しない人は苦手です。しかし、この本は、そういう特定の価値観を押しつけるような雰囲気を出すことなく、日本人の持つ美徳を代表する多くの人物をいくつかのカテゴリーに分けてうまく紹介しています。日本人自身ではなく、「 外国人が絶賛する」という第三者の視点をとっているからだと思います。著者の黄氏は、戦前の日本の教育を受けた台湾人です。戦後の日本人が忘れてしまった日本人の美徳をこうして、台湾人が紹介しているのも皮肉な気がします。

たとえば、岩国沖で沈没した潜水艦の佐久間艇長の話。欧米では、同様の事故が起これば、パニックになった乗務員がハッチに殺到するのが普通だそうですが、佐久間艇長以下、14名は最後まで任務についたままの姿勢で息絶えていたのです。それどころか、酸素がなくなり、意識が遠のいて行く中で、佐久間艇長が残した遺書には、事故についての陛下への謝罪、最後まで冷静沈着だった部下への労い、そして、事故が原因で今後の潜水艦の技術発展が停滞することへの憂いまでが書かれていたというから驚きです。東日本大震災では、日本人がパニックを起こすことなく、助けあう姿が世界の感動と驚きを呼びましたが、それは、私たち日本人に佐久間艇長の精神が流れているからに他なりません。

海軍軍令部総長永野修身の次のような言葉にも考えさせられました。

「戦わざれば亡国必至、戦うもまた亡国を免れとすれば、戦わずして亡国にゆだねるは身も心も亡国であるが、戦って護国の精神に徹するならば、たとい戦い勝たずとも祖国護持の精神が残り、われらの子孫はかならず再起三起するであろう。」

私もいわゆる自殺戦術を肯定するものでもないし、多くの未来ある若者が特攻で命を散らしたことは、痛ましく思います。しかし、この言葉には強く心を打たれました。自ら捨石となっても大和魂を子孫に残すというこの精神を我々、政治家は持たなければならないと思いました。




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