あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
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人を見たらドラえもんと思え(in 奈良)

2005年06月19日 19時52分21秒 | 法律問題
報道によりますと,奈良県で,「子供を犯罪の被害から守る条例」の制定を準備しているそうです。起案しているのは奈良県警です(条例の概要はこちらの奈良県警のHPを参照してください。)。
内容は,子供に対するわいせつや誘拐などを未然に防ぐため,子供に理由なく声をかけたり,つきまっとたりすることを禁止すると共に,いわゆる児童ポルノの所持を禁止するというものです。さらに,発見者に通報義務を課しています。

子供に道を聞いたら犯罪?

そんな時代になりました。子供に対しては,「人を見たらドラえもん,じゃなくて泥棒と思え」という教育を徹底するのかなあという感じです。

しかし,この条例,根本的にいろいろと問題が考えられます。
まず,そもそも論として,「これって,条例にするよりも,まず地域コミュニティを確立されることが大事なのでは」ということです。
また,子供に「大人はみんな敵だ。近寄るな。」ということまで徹底して教育をして良いかという点もあります。もちろん,危機管理の点は徹底的に教育した方がよいとは思いますが。

さらに,この条例の裏を考えてみましょう。
これは,子供から「変なおじさんがいた」といわれれば,警察はその人を逮捕できます。つまり,地域から変なおじさんを排除してしまうことが考えられます。ここでいう変なおじさんとは,必ずしも犯罪に結びつくような人とは限らず,例えば偏屈な人とか,頑固な人とか,妙に暗い人,さらには障害者などもありうるでしょう。つまり,一層の人権侵害が考えられます。
そして,更に注意したいのは,起案者が県警であるということです。
現在の刑事訴訟法では難しい「別件逮捕」が,この条例を理由に堂々とできるようになります。

そう考えたとき,この条例の本音は,子供を守るのではなく,警察の捜査を容易にしているだけの条例,いわば警察援助条例に過ぎないのかなあ,という感じがします。

もちろん,子供に対する犯罪を減らして欲しいのはいうまでもありませんが,この条例は,相当問題が大きいと思います。

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