詩を書いてみた。投稿したが落選だった。詩になっていなかったらしい。読み返してみた。そうかもしれないと思った。後半、オスメスがほんわかな会話をしているが、それがうまく読み取れなかったのかもしれない。人間は一年中起きている。目を覚ましている。蛇のように冬籠もりをしない。そんなに長々と目を覚まして暮らしていて、で、やっぱり人間というのはずっと楽しいんだろうか。青大乗は冬の穴籠もりの間、オスメスはのんびり抱き合って過ごしている、そういう対比を作ってみたかったのだが。
*
「青大将」 薬王華蔵
寒いねえ 寒いですねえ
もうそろそろかね
そろそろでしょうね
大きな図体のクチナワの
神さま級の青大将が二体
どうやら夫婦らしい
2mと2mが寄り添う
暗褐色の背面に緑の縦線
人間と共生する口実で以て
家の中の鼠を皆捕って食う
だが縁の下の鶏の卵も盗む
土の下の冬籠もり中は専ら
甘い夢物語を編んで暮らし
それを栄養にできるらしい
そんな奇態の持ち主らしい
「この家の主たちは
極寒でも土の中に潜らない」
「一体何のためなんだろうね」
「何するんでしょうかね」
「時折覗きに行ってみるか」
「いやですよあなた
ずっと抱かれていたいもの」
2mが赤い舌を出した
*
青大将のことを「エエクチナワ」と呼び習わしていた。家に住むクチナワ(=蛇)だからである。藁葺き屋根の鴨居の上に胡座を掻いていた。これがときどきドサリと音を立てて落ちることがあった。いまはどこも瓦屋根になってしまっているので、もう家の中には棲みついていない。棲みつけないからだ。