針供養女人は祈ること多し
上野 泰(やすし)
*
針供養は、使って使ってぼろぼろになってもう使えなくなった針を供養する行事です。針仕事をした針に、「あなたはこれまでにわたしたちに利他のご用を尽くして来られました。為すべき事を十分に為して来られました。お骨折りなさったことでしょう。もうお休みいただく時が来ています。有り難うございました」を言って、針箱の使い古した針におねぎらいする行事です。
おんなの人がなさいます。こころからの深い感謝の祈りです。針が着物を縫う仕事をしてくれたお陰で、家族の人が寒い思いをしないで済んだのですから、家族全体の感謝が加わります。
祈りは生活の全般になされます。家族を養っているのは主に女性の担当でした。家族を支えてもらったお礼の祈りは深いのです。それを思えば、あれこれ多くのものに感謝の心が湧くのでしょう。