関門海峡夕暮れる。
夕暮れて、なお、静かに貨物船が行き交う。
寂しいよ、夕暮れの海を見ているお爺さんの僕は。
雨が降り出してきました。大降りの雨が。梅雨の真っ盛り、でしょうか?
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大空が掻き曇っています。重たげにしています。地上が暗くなっています。
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この分では、一日家の中に籠もっているしかないのかも。
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晴耕雨読。雨の日には雨の日のための、読書をして楽しめばいいんでした。晴れて耕す日も来ます、やがて。
わたしの中の深いところで男性が疼きます。わたしが生まれて来るときにセットされた男性機能です。取り外しができません。
それがときおり目覚めます。性の機能です。隣の位置に異性を欲しがります。欲しがっても与えられることはありませんが。
夏の暑い沼地に這い上る泡のようにふつつつふつとあぶいて、欲求非実現を不満がります。
生まれて来るときにセットされていたので、いまさらにそれを取り外しできません。苦しみます。悩みます。恥じます。老いても老いてもこうです。
ときおり、美しいおんなの人を夢に見ます。おんなの人の化粧の匂いがわたしを癒します。薔薇の花の匂いだったり、桃の花の匂いだったり、百合の花の匂いだったりします。
ピーチピーチピーチとも、ピイチピ・ピイチピ・ピイチピとも聞こえます。近くまで小鳥が来て鳴いています。「ねえ、ここへ来てご覧」と誘っているようにも聞こえます。この季節になるとこの小鳥が来て鳴きます。シジュウガラだろうと思っていますが、違うかもしれません。明るい小鳥の歌声を聞くと、「ああ生きているっていいなあ」「生きているってとってもいいことなんだなあ」と思います。
アメリカの大リーグ・エンジェルスを引っ張っている日本人大谷翔平選手。凄いなあ! 投げても打っても走っても見事! 25号ホームランを打っています。リーグトップです。最優秀選手賞ももらいました、よね。
ネットを開くと毎日彼の活躍が目に入ります。元気をもらいます。明るいニュースです。世界中で起きている百千万の暗いニュースを打ち消してしまうほどの、際だって明るいニュースです。癒されます。
一週間が新たにスタートしました。月曜、朝7時半、鉢巻きを頭に締めて、スタートラインに立って、ヨウイドンします。これから7日間を走ります。雨の7日間になりそうです。
この新しい7日間の間に、締め切り間近の詩を完成させたいと思っています。考えて考えて、書いて書いて、消して消して、もう一度書き直して、徐々に徐々に完成へ漕ぎ出して行きます。
天気予報によるとこれからの数日はみな雨マークです。
北の畑へは、これでは行けません。
畑の草取りをして、耕して、畝を盛り上げる作業が待っています。
あと4列の畝を盛り上げることができそうです。
ここに薩摩芋の蔓80本(2400円?)を買ってきて30cm感覚に植えるつもりです。
わたしは欲張りです。まだ多くの収穫を欲しがっています。
薩摩芋はおいしいです。人様にもお分けします。
というよりも、畑を荒らしたままにしていることがイヤなのです。
せっかくの畑のエネルギーを潰してしまうような気がします。
畑の草取りをするのに2日間を要するでしょう。耕して、そこにこんもり畝を盛り上げるのに、また2日間がかかりそうです。
78歳のお爺ちゃんには重労働です。わたしは左足麻痺のために椅子に座ってしか作業ができません。
でも、こうすることで、わたしは新たな元気を湧かします。「働き甲斐」「生き甲斐」を覚えます。
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雨の合間があれば、北の畑へ、ハタラキに出て行こうと思います。
おはようございます。
昨日の人を思い出しています。おんなの人です。
苗物屋さんで会いました。
薩摩芋の蔓を買おうとしておられました。
苗を置いた箱が5箱ありました。種類の名前が無表記でした。
「どれを買ったらいいのでしょうね?」とその方が言われますので、「赤い葉っぱをした蔓が安納芋だそうですよ」とサジェスチョンしました。「じゃ、それを買います」と彼女は答えました。それで終わりました。彼女は苗物屋さんを去って行きました。
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わたしはその人ともっと長く一緒に居られたらよかったのに、と臍をかみました。
直感ですが、あ、この人はいい人だ、と分かったからです。女性の持つ性的な魅力もありましたが、ほんのりやさしさを感じました。若い方ではありませんでした。美的要素の強い美人という感じではありませんでしたが、包容力のある雰囲気を持っていらっしゃいました。やや、ふっくらしておられました。
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一日経って、そのおんなの人を思い浮かべているだけで癒されています。78歳の老爺にあるまじき邪心が潜んでいたのかもしれませんが。
その人といればきっと世界がきらりと輝いて見えて来るような錯覚を覚えました。もっと若々しくして生きたいと思いました。わたしを構成している細胞の隔膜がぎぎぎっと音を立てて開きました。