８
ありがたいと思う。一日こんなことをしていていいのだから。
元気でなければできない。やる気が起こっていなければやれない。畑がなかったらできない。秋晴れでなかったら、外には出ていけない。
条件をすっかり揃えてもらったからこそなのだ。
お陰でこのお爺さんはいちにち慰撫さられて過ごすことができた。誰にでもいいから、感謝を述べたい。
７
最後は水遣りをした。雨が降るという予報なのだが、若し降らなかったら、白菜が枯渇してしまうだろうから、手が抜けなかった。夕暮れが早くなっている。５時４７分には薄暗くなった。作業を中止して家の中に入った。
日が暮れなかったら、作業をずっと続けていたかもしれない。それほどにわくわくすることなのだ。畑はそれほどにも老人の気を引いてくれる。女性の魅力を上回るかも知れないぞ。
６
この計算を応用すると２４株ｘ２００円＝４８００円だけの仕事をしたことになる。売りには行かないけど。白菜は鍋物にもおいしい。すき焼きにもおいしい。なにより大きく成長するまでが、毎朝毎夕、楽しい。
白菜は青虫にたかられる。病気に罹る。葉が真っ白になって枯れることがある。消毒も欠かせない。それをクリアーしてやっと生育ができる。
５
裏の畑に１７株植え替えた。表の畑に７株植え替えた。買うとすれば、白菜は１個、ストアーには２００円ほどで売られている。もちろんしっかり巻いた白菜なのだが。
しかし、それ以前に、はたして植え替えた苗がしっかりその場所に根付くかどうか。
水を撒いて枯れないようにして、毎朝見に行って、愛情を濃くしなければなるまい。
４
ここに白菜苗を植え替えた。プランターに種を蒔いていたのがすっかり生育して、移植ができるまでになっていた。有機石灰、化学肥料、有機牛糞肥料を加えて土を掻き混ぜて、柔らかくして、そこに移植した。
ふふ、ほかにすることがないんだよね。暇を持て余しているからなんだよね。
３
今日は畑にいた。お風呂の丸椅子に座りながら、大きなスコップを手にして、堅くなっていた畑を掘り起こして耕した。けっこう力を必要とした。息が上がった。汗も掻いた。
終始、よろよろよろよろしながら。
２
それだけ楽しいってことなんだろうねえ。じゃないと、そんなに働けない。働けと命令されているわけでもないのに、時間を盗んだようにして働く。こそこそこそこそ働く。
人様が見たら、合点がいかないかもしれない。
１
このお爺さんは、今日はよく働いた。齢７５歳になるお爺さんが、感心するほどよく働いた。お昼のご飯を食べた時間以外は、外に出ていた。こそこそこそこそ農作業をしていた。
といっても児戯に等しいんだけど。
