わたしの即興詩 「尺取り虫」
くにゅくにゅ。くにゅくにゅ。尺取り虫が尺をとる。
尺の向こうに何かがあるらしい。
楽しいことがあるらしい。待ち受けているらしい。
くにゅくにゅ。くにゅくにゅ。尺取り虫が懸命に身を乗り出している。
何かがあるらしい。うん、何かが何かがあるらしい。
その遥か前方に嬉しいことを見つけたらしい。大事件らしい。
くにゅくにゅ。くにゅくにゅ。尺取り虫がよいしょと立ち上がる。
此処は緑色をした草の原っぱ。そこで五月が昼寝をしているばかりなのだが。
尺取り虫の疳の虫には、何かが読み取れているらしい。
くにゅくにゅ、くにゅくにゅ。なあんだ、そうだったのか。
仲間がいたんだ。仲間の中に好きな子がいたんだ。
その子もやっぱりくにゅくにゅくにゅとして、早く早くというように進んで来る。