酔いが手伝ってぐっすりした。そしてもう早々と目覚めた。ホテルの部屋は朝までひとり。ツインベッドなのに。ひとり。
カーテンを引いた。4階の窓だから、引かなくてもいいはずなのに。月に見られないために。星に見られないために。
夜中、空を行く人がいるのか。いるかもしれないな。空中遊泳。できたら、いいだろうな。すういすういすういすうい。今は好時節で暑くもなく寒くもないのだし。
できるとすれば? あの人の眠る部屋の窓近くを飛び回るだろうな。好きなあの人の。迷惑にならないように、気付かれないように。羽音を消して。