小田急中心の模型のブログ

Nゲージで私鉄電車を楽しむブログです。
旧小田急中心の模型のページ(2003~2014)の製作記も再掲載しています。

白銀色のロクサン形を作ろう その1

2021年07月03日 00時37分53秒 | 省電・国電・E電


3年前のJNMAで発売されたボナのジュラ電キット。
当日出遅れてモハ63900・901のほうが売り切れてしまったり
かろうじて買えた63902を早速組んでみたら後述のような壁にぶち当たったりと
色々ありましたが、ともあれこの1年くらいで製作方針が固まりましたので、
備忘録を兼ねてまとめてみたいと思います。

実車はモハ63900~902とサハ78200~202の合計6両が製作され、
白銀色も美しいジュラルミン地肌を輝かせていた時代には
だいたいいつも6連を組んで用いられている様子がうかがえるため、
この当時を模したフル編成で製作する予定です。


キットの構成。
いわゆるプラ削り出し屋根板にホワイトメタルの床下機器を用いる、同社の最新フォーマットに沿ったものです。
基本的なプロポーションに大きな修正を加えずして「似てる」模型が作れそうな感じがぷんぷんして
わくわくしたことを思い出します。


当ブログへお越しのマニア諸兄ならば野暮な解説は不要かもしれませんが、
ジュラ電…すなわち終戦にともない余剰となっていた航空機向けジュラルミン材の有効活用を
企図してS21年に製作されたこの電車は、鋲接で組み立てられています。
おそらくジュラルミンを溶接する技術が未発達であったためと推察されますが(詳しくない)、
ノーマルなモハ63にはないリベットがたくさんついています。
ウィンドウシル・ヘッダーも例外ではなくたくさんのリベットで留められていましたが、
この、凸面の上に更に凸表現を必要とするリベットは、
多くのエッチングキットで凹表現になるケースが一般的です。
(かつて出ていたイエロートレインのジュラ電キットもそうだったはず)

このキットではシル・ヘッダーを別貼りすることでパーフェクトな表現を目指す構成をとっており、
側板・妻板の窓上下にはそれらの貼り付けガイド用凸モールドがついています。


おそらく洋白エッチングによるシル・ヘッダーパーツ。
裏面に凹モールドがあり、車体側の凸モールドとフィットするようになっています。
若干の余分が入っているのは親切。
わたしは先日記事にまとめたとおり相鉄6000の幌吊り台座に流用してしまいましたがw


ガイドがあるといえども、いきなり瞬着で一発決めする勇気はないので、
ゴム系で仮止めします。こんな感じで引いた糸を上記の凹モールドに塗って貼り合わせました。


こんな感じ。
乗務員扉のところは説明書の指示通り通しで貼って後から切りました。


ちなみにモハ63902のみシルのリベットが少なかったようで、キットではこれも再現できます。


2020年4月ごろ
6両全車のシル・ヘッダー貼りが終わった様子。
前面・妻面も同じように貼っておきました。


優秀なキットですが、盲点はここ。
製法上やむを得ないのかもしれませんが、
板の断面に段差があります。
通常なら問題ないのですが、この電車の場合…


こうなる。
これはキット発売直後に先行して組み立てたモハ63902の車体で、
何も考えずに箱組したところご覧の通り継ぎ目が目立つ。
「ジュラルミン電車」で画像検索するとわかると思いますが、
実車のここに継ぎ目はありません。
通常なら瞬着を盛ってペーパーで仕上げるところですが、
リベットばりばりのこのボディではそれもままなりません。

…というところで行き詰まり、他の部分にも粗が目立ったことから
この車体は放棄して不足部材を充足の上作り直すことにし、
継ぎ目問題も再度検討することにしました(これで2018~2020年の間ストップしてた)


といっても奇策があるわけもなく、単に段差を黒瞬着で埋めて仕上げただけです。
組み立ててから継ぎ目を消すのではなく、あらかじめ平面を出しておくわけですね。
ただ、シル・ヘッダーの凸を瞬着で構築するのはやはり無謀だったようで
整形に苦労したので、ここはプラペーパーなりで作ったほうが無難と感じました。


2021年6月

1年以上ぶりに作業を再開し、モハ63900が箱になりました。
編成を組んだ時、おそらく中間に入るはずのこの車に動力を入れることにしました。


継ぎ目はこんな感じになった。
まだまだ完ぺきではないし、銀色に塗ってどうなっちゃうか不安ですが、
とりあえず今できるレベルとしてはこのくらいかなと…。


ちなみに窓の断面にも先ほどのエッチング段差がありますが、
ジュラ電はシル上部の肉厚部分にも緑帯が塗られていたと思われるため、
この部分の見栄えを向上させるべく下辺の肉厚部分だけ同様に黒瞬着で平らに仕上げてあります。
副次的にシルの固着強化にも寄与するため、面倒ですが側窓も全て同様に仕上げました。
ヘッダーの断面は死角となることから、単純に微量の瞬着を流して補強するにとどめてあります。

この窓断面の仕上げがお察しの通り途方もない手間を要するのですが、
雑に仕上げては興ざめ必至なので、数か年計画でのんびり進めようと考えています。


※これは2018年に組んだ旧車体

最後に悩ましい尾灯の話題を。
実車は台座の上にきわめて細いリムを持つ尾灯がついていますが、
キット指定のボナP-206だと若干雰囲気が異なります。


※2018年組み立ての旧車体

説明書にもある通り、軽くヤスリ掛けしてリムの厚みを減らした様子。
多少マシになりましたが、そもそもの直径も大きいように感じます。


★2021年組み立ての新車体

タヴァサの旧型客車用を嵌めてみた様子。
ベストかどうかは微妙だけど、わりとそれっぽい気も…。

つづく…

★★★ジュラ電がすきなあなたに耳より情報★★★
JTBキャンブックスの旧型国電50年(Ⅰ)の表紙にカラー写真が載っているのは
既知のことと思いますが、意外なところに有用な資料が載っていたので以下に紹介したいと思います。
聞くところによればボナのジュラ電キットはフル編成で買っていくマニアがたくさんいたらしく、
白銀色のロクサン型を思い描く同好の士は案外多いのでは!?と思っています。

1.終戦直後 東京の電車(2006年 ないねん出版)
※わたしはキットが出たころ、神保町の書泉で買いました。

タイトルの通りの時代における東京の省電・私鉄の記録ですが、
その当時文字通り異彩を放っていたであろうジュラ電も数多く掲載されています。
詳細なディテールがわかる大きいサイズの写真も複数あり、
徹底的に研究して製作したい向きには必携の一冊と思われます。

2.京浜東北線(東京~横浜)根岸線鶴見線 街と鉄道の歴史探訪(2017年 フォト・パブリッシング)

さいきん大流行のこの手の本には思わぬ貴重な写真が載っているケースがあります。
この本は表紙に載っているのでわかりやすいですが、
なんとジュラ電試運転時の様子(朝日新聞社撮影)が載っています。
別の本でS22年1月末に品川~平塚の貨物線で試運転が行われたとの記録があり、
ジュラ電を取り囲む人がみんなコートを着ていることからおそらくその時の写真と思われます。
新聞社のカメラマン撮影ということもあってかこの時代の写真の中では非常に鮮明な写り方をしており、
バフ仕上げののちクリアラッカーで保護した…との記録もあるジュラルミン電車の
最も美しい時代を目にすることができるので、誌面の大半を占める103系などに興味が
ないひとでもこの一枚のために買う価値はあると思います(暴論)

このほかにも資料になりそうなものをご存じの方がおられましたら、
ぜひご教示いただけますと幸いです。

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