小田急中心の模型のブログ

Nゲージで私鉄電車を楽しむブログです。
旧小田急中心の模型のページ(2003~2014)の製作記も再掲載しています。

開運号の生まれ変わりを作ろう その1

2023年02月22日 20時54分48秒 | 新京成電鉄
あけおめです()
目新しい話題はないのですが、
年末記事で取り上げた仕掛りについてまだブログに書いていなかったなあ…ということで、
まずは新京成250の製作に至る経緯などをつらつらと書いてみたいと思います。

直接的な動機は「実車のスタイルが好み」「運よくキットが残っていて買えたから」というものですが、
大栄車両の手による新京成の更新車グループは以前から作ってみたいと思っており、
モハ300やモハ1100といった各型式のキットを少しずつ買い集めていました。
しかし、京成~新京成のこの年代の車両は外板表面からHゴムが出っ張らない独特の構造をしています。
イメージとしてはドア窓のHゴム(鋼体にプレスで凹みを付けてからHゴムを付けてある)に近く、
一般的なエッチングキットのHゴム表現(凸モールド)とはやや印象が異なります。
イエロートレインのキット各種は割り切って単純な凸表現となっており、実車通りのイメージとするべく
Hゴムを削り拡げて内側からはめ込みガラスを添える、モールドを削ってインレタでHゴムを表現する…など
改良策を思案しているうちに数年が経過してしまいました。

そんなある日、調べものをしていると割と年代の新しい車体…たとえばモハ1105やクハ553~554、モハ253~254などは
よくある単純なHゴムの付け方をしていて、キットの表現と矛盾しないことがわかりました。
加えて後者(クハ553~の4連)は京成赤電をずんぐりさせたような800形を更にずんぐりさせたようなスタイルが
魅力的で、Mcの力強さよりTcのすっきりしたいで立ちを好むぼくの嗜好にもピッタリマッチ。
ダメ元で調べてみたら製造元にかろうじてキットの在庫があり、即購入、即着工…という流れを辿りました。

なお、今回製作する編成はクハ553+モハ254+モハ253+クハ554というものですが、
マニアックな新京成の中でもかなりマイナーなプロトタイプなので、簡単におさらいしてみたいと思います(素人説明につき誤りはご容赦を)
従来京成の中古車を導入していた新京成が初めて登場させた新車が250形(モハ251~の編成)というのは有名な話ですが、
今回の編成はその続編として昭和47年末に誕生した編成で、かの開運号・京成1500の譲渡車から流用した足回りに大栄車両製の車体を載せたモノ。
東急製の車体を載せたモハ251~の編成とは細部にわたってさまざまな違いがあったようです。
登場初期には4両単独で用いられることもあったようですが、比較的早期に他車と連結した姿が多くみられるようになり、
晩年はモハのパンタが撤去されたりクハが中間封じ込めになるなど影の薄い存在となった末、昭和62年に短い生涯を終えたとのこと。
余談ながら大栄車両はこの553編成以降しばらく新造車体の製作から遠ざかっており、次は約20年後の京成3400まで間があったようです。


2022.03

窓周りのスッキリ感がうれしいプレス前面なので、強度を考慮して半田付けしました。
オデコは普段ならプラ積層ブロックに頼るところですが、イエローのロスト部品は謎に柔らかい?ので
削りやすく、1灯ライト用オデコを別途手配の上用いることにしました(写真は固定前)


継ぎ目を仕上げた姿。
ここで注意したいのが三面折妻のエッジを崩さないことです。
実車は明るい車体色と広いおでこのおかげでここのラインが非常によく目立つので、
完成後も丸妻でなく折妻なのだとわかる仕上がりを目指したいと思いました。


4両箱にした様子。
妻面の昇降ステップは103系ユニットサッシ車を彷彿させる独特の形態をしており、
ボナのEVO用手すりを流用して再現すべく、説明書の指示は無視して穴あけしてあります。


キットは2灯化後をプロトタイプとしていますが、ぼくはあくまでもデビュー当時がやりたかったので
1灯用オデコ(イエローMP-862)と砲弾型ライト(MP-853)を用いました。
オデコのライト用窪みは白熱灯ライトに合わせたサイズなので、プラ材で適宜調整してから
シールドビームライトを載せました。


新しい試み。
床板支持と強度アップを狙って車体裾にアングル材を半田付けしてみました。
これはTMS893号のモデルワム製東武7800製作記から着想を得たもので、
床板組込前における車体中央部の弱さ(手で掴むうちに凹型に変形することもある)を解決しようというものです。
もっとも、お手本の東武は真鍮厚板をくり貫いて枠状にしたものを半田付けしており
車体コーナー部の亀裂防止をも両立させるものでしたが、初めての取り組み故
市販型材の流用で容易に取り組める側面の補強からトライしてみた次第。


t1.0の自作床板を組み込んだ図。
アングルをもう少し上に付ければ床板を厚くすることができますが、
アングルを車体裾に揃えて位置決めを容易にしたかったのと、床板に長手方向の梁を接着すれば
問題ないはず…という理由からこのようになっています。

なお、製作当時Twitterにアップしたところ実車はキーストンプレートではなく平鋼板であった旨、
ご教示いただいたので床板はプラ板で作り直す予定です。


実車はuD-16なる台車を履いており、これは日車製のD-16に対して梅鉢(→のちの帝車)製を指すものだとか。
軸距が2400mmあり、GMのD-16(GMのアレンジにより2000mm相当になってしまっている)だと
小ぶりすぎるのでDT11(軸距2450mm)を履かせてみた図。
デビュー当時は平軸受なので、その点からも好都合なのですが、何とも言えず立派すぎる感。


2023.02
迷った末、寸法よりもイメージを優先してD-16を使うことにしました。
久々に掘り出してきたところ、オデコの継ぎ目が消しきれていなかったので修整中の図。
ついでにロストのオデコが250にしては角張っているのも気になったので丸く削ったりしています。
今のところここまで。


実車の資料について。

私鉄電車のアルバム第4巻(愛蔵版だとP352~353)にも載っていますが、
今回主に教本としたのはこの2冊。
553編成については大栄製なのでかなり詳しく取り上げられており、関心のある人は必読と言えます。


大風呂敷…
新京成は
45形
126形
300形
1100形
250形

京成は
100形(正面5枚窓時代)
200形
クハ2000形
750形
210形
3500形更新車
を作りたいと考えています。


たのしいけいせいでんしゃ
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模型で振り返る2022年

2022年12月27日 17時05分35秒 | 雑記

2022.12.20発売 TMS2023年1月号

ほんの~り夢見ていた"TMSの表紙に掲載"が実現しました。
とてもうれしい。


今年の竣工車は
2月 京浜急行1000形4両
9月 相鉄7000系4両
11月 東武10080型4両の計12両でした。
京浜と相鉄はまだ出版社にお出かけ中なので勢ぞろいの写真は撮れないのですが、
大きなしくじり(後述)があった割には比較的コンスタントに作れたほうかなと思います。

京浜は長年の仕掛品がようやく形になったのですが、
実車について素人なわりに市販パーツが充実しているので、
調べて違いを把握して、市販パーツから適したものを選んで載せていく…という
足し算の工作ができてとても楽しかったです。
賛否両論ありそうな朱色寄りの赤も思い通りの塩梅に仕上がった。


相鉄7000は決してパーフェクトではないですが、
自分好みの仕上がりになるよう最大限の工夫は盛り込めたかなと思います。
ちょこちょこお恥ずかしい箇所がある割にコンペでは入選にすべりこみ、喜びもひとしお。
前回コンペ入選の在来6000との並びです。


構成がまるで違うので単純比較できませんが、7000は全体にやや精彩を欠いた印象は否めない。
大きな理由としてはカツミの完成品に触発されてwantベースで着工し、潤沢に時間をつぎ込んだ6000に対して
7000は後述の大雄山線に失敗した後にコンペ締切も意識しつつhave toベースで取り組んだ面があり、
率直に言うと作っててちょっとしんどいなーという場面もありました。


一番差がついたのが屋上配管。
なるだけ真っ新なところにイチから引いたほうが良いのだな…と学びました。


ちょっとネガティブな流れになってしまいましたが、
とりあえずカタチにしたおかげでこんなニヤニヤ並びもできたのはうれしい。
この手の誘導無線は1号線系統を筆頭に地下線のイメージなのですが、
昭和40年代半ばの相鉄はなぜこれにしたんだろうねえ。
いずみ野線のトンネル区間を考慮したのだろうか?


昨年時点でほほえみ号を試作したのは、少なからず2022年のコンペを睨んでの動きでしたが、
締め切りを控えてやるタイプの題材ではない(少しでも雑になると興ざめ)と考えて見送りました。
Nコンペがない来年、ゆっくり取り組もうと思います。


再掲ですが、一応東武10080も。
昨今、本の要約アプリとかファスト映画などいわゆるタイパ重視の流れをよく耳にしますが、
ぼくの模型作りにも近いものが見られ、インスタントに気持ちよくなれる軽加工のウエイトが増しそうな予感。
上手い人ほど肩の力が抜けて楽しそうに模型を作ってる感があるので、
ぼくももうちょっとうまくやりたいのですが、どうも完璧主義に走って疲れやすくなる傾向が最近目立ちます。
少なからずコンペの結果も意識して取り組んでる感があり、それはそれでいいのだけどちょっと楽しくない時もある。
去年作った京葉線205系とか今回の東武とかはそういう感じへのささやかな抵抗というニュアンスが強く、
来年もこうしたスタンスは継続したいところ。


ことし作ったもの。
2022-03着工 新京成250(イエロートレイン)
2015-01着工 小田急2300(ボナファイデ)

前者は新京成初のセミ新車(車体だけ新造)として有名ですが、
ぼくが作ろうとしているのは第2弾としてデビューした両側Tcの編成です。
800をずんぐりさせたようなボディに小さな砲弾型ライトを備えたデビュー当時の形態がたまらなく魅力的です。
ある時調べものをしていたところ、イエローにキットの在庫が残っているのを見つけて
即注文→即着工という流れを辿りました。
後述の伊豆箱根をやる都合で一時休止していましたが、
Twitterでフォローさせていただいているta-koさんのかっこいい200を見てモチベーションは爆上がり。
来年には竣工させる予定です。

後者は10年前、社会人になって最初に買ったキットだったはず。
7年前に着工してから長い眠りについていましたが、久しぶりに小田急を触りたくなった今秋、
ようやく再開しました。継ぎ目消しと主要な配管敷設が終わっているので、
あとは床板支持のリブを付けるくらいで塗装に進めるはず(雨樋端部などは下地処理後に取付予定)
これが竣工すると残るABFMは2320のみとなるので、こちらも具体的な工法を検討していきたい。


ことしの残念大賞。
2022-06着工 相鉄7000系のこり3両(4+3の片割れ)
冒頭の7000系はイエローのキットを素組みするぶん4+3の7連で作るのがテーマだったんですが、
例によって製作が遅れ途中で4連に計画を縮小したので、残りの3両は放置中です。
配管敷設まで終わっているので、あとは塗ればいいのですがなかなかモチベーションが再燃せず。
いずれ気が向いたら増結します。

2022-03着工 伊豆箱根鉄道5000系
お察しのとおり少なからずコンペを意識して久々の自作車体に取り組みましたが、
洋白製の客扉とのマッチングで構造にやや無理があり、途中で納得いかなくなって放棄しました。
具体的には本来肉厚のあるプラボディにはめ込んで使う用途の扉パーツを
薄いt0.3の外板に裏貼りする構造にした結果、外板の開口部周辺がやや強度不足となり
後述の塗装剥離の際に変形してしまったのです。
ドアをぶち抜いてあるとおり、手直ししてむりやり誤魔化すことも検討しましたが、
いつ壊れるかわからないというのは本当にストレスなのでこの車体は放棄することに決めた次第です。
まとまりの良いスタイル・ディテールの密度・市販パーツの流用がかなり効くという点で
とても魅力的な題材なので、追って教訓を生かした構造に変更のうえ、再挑戦する予定です。

新京成が中断したのと、急遽相鉄7000を手堅い構成で着工したのは主にこれの影響です。


塗装に失敗したのが運の尽きだったな…
見ての通り塗り分けが綺麗ではない。
ぶきっちょなのでタミヤのマスキングテープ(無論一旦カットした面を使用)で塗り分けると
どうもスッキリ仕上がらないことを嫌というほど学びました。
これまでにもOER5000や相鉄6000で同じ失敗をしてシンナープールに突っ込んでるので
今後はなるだけアルミ箔ステッカーでやろうと心に誓いました。


今年買ったキットたち(の一部)
どれがなにか、わかりますでしょうか?


いろいろ製作所 泉北100

これが一番うれしかった!
ニュータウン鉄道なのに路面電車みたいな形式名、しかも昇圧前は600Vというギャップ、
昭和40年代らしい素っ気ないデザインにやたらカッコイイ社紋…魅力たっぷりです。
折妻のエッジが窓の近くに来ることを考えると、前面がエッチング板の曲げじゃなくて
ロスト一体なのも手堅い感じがします。
ふんだんに手間をかけて丁寧に取り組みたいと考えています。


今年の新製品から…
3月発売 TOMIX 名鉄キハ8200

客窓隅のRが角張りすぎな気がするけど、素人のぼくにはそれ以外わからないのでヨシ!
先発品のマイクロエースはその点は良い塩梅でしたが、前面は比べるとやはり大味。
他のディーゼルカーとのバランスからもトミックスの製品化は朗報でした。
30年近く前のキハ58/28に端を発するTOMIXのHGディーゼルカーシリーズもそろそろ総仕上げといった感がありますねえ。

ところで、キハ8500の5両連結ってあったんだろうか?


3月発売 鉄コレ小田急2600形

2018年に5000形を作ってから
大型車は原則蕨で作ろうと考えていたので、少し前に4000が出た時には何も感じずスルーしていました。
けれど蕨は蕨で戸袋窓~ドア窓の感じがちょっと違うなあとは感じていたので、比較検討用に買いました。
前面はどちらもあまり似てないので作り直す前提として、乗務員扉周り~Hゴムの各窓の隅Rの感じは
鉄コレのほうが良いような?
ただし客扉窓はやや大きいのか四角すぎるのか、ちょっと違うなあという感じ。
加えて、鉄コレ特有のガラス周りのクリアランスの大きさを考慮すると灰色Hゴム仕様をやるにはやや不適な気も。
選択肢が板キットしかなかった頃を思えば夢のようですが、逆にどれも中途半端な仕上がりゆえのストレスもある。
旧50系板キット~TKK8500非軽量~103ATC~そしてOER1000リニューアル車…と課金不可避展開が
続いているGMがHQ-Eキットをやってくれれば解決するのですが、なかなか難しいんだろうなあ(;_;)


3月発売 TOMIX 国電72・73形 全金属車

もともとはBONAキットの必要部品一式用に1本買いましたが、よくできているので
全金属車で統一された中央線5連(モハ90誕生前夜)をやろうと思ってもう1本追加投入しました。
配管表現のあるTNカプラーとか反射鏡表現のついたライトレンズとか方向幕ガラスの構造変更とか、
年々ちゃんとアップグレードしてるのがすごい。


9月発売 グリーンマックス 国電103系ATC車

EVO(現HQ-Eキット)の103系初期車から9年、ついにATC車が出ました!
客扉の奥まり具合や尾灯の感じなどGMのほうが好みなので念願の製品化でした。

未塗装版が待ちきれずに早漏した割には積んでるうちに未塗装版が発表される様式美。
塗装済版は浦和か蒲田に、未塗装版で品川か池袋をやる予定です。
お供になる205系もそろそろカタチにしたいところ…


12月発売 TOMIX72・73系南武線

下手の横好きというか、旧国はBONAキットで統一しようと考えていたけれど
およそ今世のうちに達成する気がしなくなってきたので、適宜使い分けようと思って買いました。
アコモ改造(A)のアルミサッシがとても好き。ぶどう色をつや無しで褪色したカッスカスの感じに
したい気もするけれど、模型的にあまり綺麗じゃないかなとも思う…。
この流れで来年こそは101系も出してほしい。その時は中間幌もいい感じのを作ってほしい…。


2022.05.03 梅田にて(407Aさん撮影)

ヒナくんと久々になにわ詣でをした際の一枚。
407Aさん作の阪急5200と拙作相鉄在来6000です。
急行灯を光らせるのは407Aさんの阪急電車に触発されたところが大きく、
技術的にもほぼ模倣しているので、なんとも感慨深い並びでした。


2022.05.03 梅田にて(マンディさん撮影)

Nコンペ2020の入選並び。
マンディさんの南海7000です。
車両は後述のとおりIMON渋谷店でご対面済みですが、作者が並んだはコンペ後初だったかと。
野暮を承知で補足すれば、この南海7000は自家発注エッチング板による珠玉の逸品で、
このときの技術をフィードバックしたと思われるのが上述の泉北100キットです。
組立と仕上げのみをぼくがやるさながらノックダウン生産の感がある泉北、
いずれご本家の南海7000と並べさせてもらえたらうれしいなと思ってます。


2021.01.22 IMON渋谷店にて

昨年末の記事を書くときにはころっと忘れてたけど、実はちゃんと写真も撮ってた。


2022.06.05 ジョナサン山下公園店にて

キッチンの即売会in横浜帰りに撮った一枚。
らっきょさんの富士急3100とハボフさんの京成開運号を交えて古のGMカタログをオマージュ。
来年はどんな並びが飛び出すでしょうか…


2022.12.07 新宿の焼き鳥屋にて

ヒナくんの新作の富山港線。
相変わらず作るのが早い。
ウェザリングも上手だよねえ。
少しずつ真似してみようかと思い始めている。


2022.05.03 阪堺電車 モ161車内にて

御年90歳オーバーの長老も、よもやこの期に及んで疫禍でこんなステッカーを貼られるとは思わなかったのでは。
長引くコロナ禍、そろそろ出口が見えてくることを願います。


2021.12.27 神田駅にて

今年もお疲れさまでした。
来年も皆さま健康に走破できますように。
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たまにはお手軽工作を…東武10080型を作って

2022年11月04日 19時01分16秒 | 東武鉄道
Twitterで書いたとおり、相鉄7000は竣工しました。
が、正直工作メニューを絞った割になんだか疲れてしまい、
一旦軽工作…それも出来のよい完成品にパパッと手を加えて満足できるものをやることに。


白羽の矢が立ったのは東武10080。
京成と東武はやたら出来が良いGMが本領発揮した感もある出色の出来栄えをほこる製品で
さらっと手を加えてニヤニヤにするにはうってつけです。
変わり種の10080は実車の特異性や4両でまとまる手軽さに加え、Twitterでフォローさせていただいているta-koさんの
加工例を見てずっと真似してみたいと思っていたネタの一つ。

以前中古で手ごろな出物があった際に種車は押さえてあり、
今春クロポからSS110台車が分売されたのを引き金に着工と相成りました。
余談ながらこの種車、帯色が変わる前かつツインモーター動力時代のロット(プロトタイプは
主回路換装後かつ車体修繕前)ですが、インレタで新ロゴに貼り換えたり3D出力の避雷器を付けたり
コアレスモーターに換装したりと前オーナーが大事にしていたことがうかがえる逸品でした。


いきなり竣工した図。
お手軽加工なので、退勤後~寝る前の細切れ時間を使ってちょこちょこ進めており、写真を撮ってなかったのです。

プロトタイプは東武初のVVVF車としてデビューした'88年当時の仕様としました。
つくるまで知らなかったんですが、10030型と同時デビューなんですね。
モデルチェンジするし、後のスペーシアを見越して一本だけ試しにVにしてみたってところなのでしょうが、
他社が大体旧車で試験してから新造車に採用した流れをとる中でなかなかチャレンジングな感じ。
チョッパのときはサヤ8001がありましたが、Vはそれ的なのやってないですよね?


前面周辺の加工箇所はおおむね下記の通り。

●ライトユニット撤去~キャブインテリア作り込み
実車が出たころは日中ライト点けてないはず~といういつものやつです。
そのぶん置いて眺める時に見応えのあるものをつくりたい。
(とかいいつつ11480のコンソールが傾いてるのは恥ずかしい!)

種別・行先周りはライトユニットから切り出してガラス裏に接着してあります。
幕は準急がKATO東武8000用、行先は元の印刷を活かしてあります。
Twitterにアップした通り幸手行きにしたかったんですが、
地色の紺は製品の印刷の感じが好みだったのでこうした次第。
以前2000系を作った時にも思いましたが、東武のガレージステッカーの
紺色はもうちょっと暗めで作ってくれるととてもうれしい。

●ダミーカプラー化(密自連化)
これも置いて眺める時によりリアルに…といういつものやつです。
(とかいいつつ11480の胴受けが傾いているのは恥ずかしい!)
胴受けはKATO東武8000用ASSY、カプラーはKATO叡電きらら用、
14480のジャンパ栓収めはKATOのEF64-1000用、11480のはプラ材と
アルミパイプで自作、エアホースはイーグルスモデルのロストパーツです。
ATS車上子は8年前に8191F用に買ってきたペアハンの東武用ですが、
今回で使い切ってしまった。まだどこかに売ってるかな…?

●ライトレンズ加工
以前挙げた小田急1000と同じ手順でシールドビームの反射鏡表現をおこないました。
尾灯はデビュー当時の消灯時の感じがやや茶色みを帯びたグレーって感じだったので
適当に調合したエナメル塗料を塗ってあります。
なぜか尾灯が内側となるこの配置、20000系列ともどもこの時代の東武のアイデンティティでしたね~


下り方先頭のクハ14480にはトレジャーの10000系用幌を付けました。
ワイパーは何を使ったっけ…?(最近すぐこうなる)

無線アンテナも製品状態ではL字型ですが、デビュー当時は棒状なのでペアハンのパーツに置き換えました。
半月状の穴をプラ材で適宜埋めてセンターに丸穴を開けましたが、実車はアンテナ周囲に台座みたいなのはないかも?


デビュー当時は幌枠周辺の締結金具がなかったみたいですが、さすがにこれを削るのは
軽工作では済まなくなるのであっさりスルーしました。

運客仕切りのドアノブはわざと4アーティストマーカーのギラ付いた銀で塗ることで存在を主張させました
(単に塗り済みの使い残しがあっただけともいう)


角度を変えて横顔。
前面裾の足掛けはトレジャーの10000系用ですが、ちょっとレール方向が長すぎたかな。
乗務員ステップは銀河の西武用です。
排障器はトレジャーの東急8500用手すりに入ってる8000用アンチクライマ―を曲げて作りました。
取り付け足を活かして台車枠に開けた穴に差し込み→瞬着一滴である程度の強度が保てます。

その他、車体関係は…
●乗務員扉のガラス交換
もとのパーツはサッシ周囲の隙間が目立つので、t0.4透明アクリル板に
ジュラルミンフィニッシュで枠を表現したものに交換しました。
乗務員室表記はトレジャーのインレタです。

●乗務員扉脇の表記追加
製品状態では印刷がなかったので、これもトレジャーのインレタで。

●裾のスポット溶接痕のシーリング表現
初の試みです。下に挙げるとおり実車はまあまあ目立つので
やや濃い目の色調をしているエスビーモデルのインレタを使ってみました。
キッチンからも同じ用途のインレタが出ていますが、そっちはもっと銀色です。

●ドア枠・裾をダークステンレスシルバーで塗り分け
お手軽工作の範疇を超える気がして迷いましたが、


2022.08 池袋にて ※黄色い点字ブロックの内側より撮影

まあまあ質感差が目立つのでがんばってマスキングして塗り分けました。
本来窓枠もごらんのとおりですが、製品のモールドが細いこともありあっさり諦め。
それでもだいぶ変化がついてご満悦です。
さいきん「今時これくらいはやるべきか」とか誰それの作品ではできていたor●●の製品ではできていた…
みたいに自分自身で雁字搦めになりがち(で、加工メニューが増えがち)ですが、
本来はある程度の"ご満悦"さえ得られればそれでいいんですよね~
謎の完璧主義はマジ苦しいだけ。


前面幌はいさみやのカラープライマー(黒)→グレー(やや薄めに溶き、前面側からだけ吹き重ね=影ができる)で
塗ったのち、前面側の表面のみを残してマスキングしてダークステンレスシルバーを塗り重ねました。

前記の乗務員扉の窓ガラスはサッシ表現が意外と難しくてボツ品続出でしたが、
ふとした閃きで開放状態にしてボツ品を有効活用した次第。
転んでも泣かない。


この影をつくる吹き重ねはヒナくんの真似だけど、ようやく若干できるようになってきた!
足回りなんかもこんな感じ。以前だったら塗り残してるみたいで落ち着かなかったけど
最近はこれくらいが好みになってきた。

余談ですがダミーカプラー周りはこんな感じで厚手のプラ板を使ってユニット化してあります。


台車は前述の通りクロポから分売されたSS110に交換しました。
以前からあるいわゆるSSタイプとなにが違うの…?って感じでしたが、
外側にブレーキシリンダーが付いたんですねえ。だいぶ見た目の印象が違います。

床下機器はすみだ総合車輌なるガレージメーカーの3D出力品です。
クハも含めて立体感のあるつくりになっており、効果は抜群です。


ただし、動力車用のパーツは全て一体となっており
ただグレーに塗っただけだと物足りない印象だったので
一旦バラバラに切り離して適宜プラ材で奥行きを増して再配置しました。


ハイライトとなるモハ12480です。
件の床下機器はこれを再現するために動力車を純正の12480から13480へ移す設計になっているなど、
わかってらっしゃる~って感じ。


反対側も。


ひっくり返した図。
ギチギチに詰まってる感が良きです。
この時代から約30年経って出てきたE235とか東急2020あたりでは
びっくりするくらいVVVFが小さくなりましたねえ。


ちなみに床板は前オーナーが交換したと思われるGMの最新仕様品ですが、
ロングシートパーツが欠品していたのでt0.2プラシートを敷いてフラット化し、
t0.5プラ板でかんたんにロングシートを作ってあります。
ガラスとの兼ね合いで背ずりは省略してしまいましたが、色のおかげもあってまあまあ効果的なようです。


前面・床下に続く見せ場はモハ12480の下り方パンタ周りですが、
お手軽工作なのでモールドはほとんどいじってません。
特徴的なヒューズ(トレジャーのロストパーツ)を設置するにあたって
必要な最低限の配管のみφ0.3~0.4のアルミパイプを用いて追加工作するに留めました。
当然モールド部分との差異が目に付きますが、全部引き直すと5年コースになりそうなので…


逆サイドから。


アルミパイプは艶消しの白銀色なので、妻面部分は無塗装で用いています。
固定はいつものトレジャーの配管止めではなく、KATOのフィーダーをばらしたリード線で。
前にも書いたかもしれませんが、カッターマットとステンレス定規で挟んでコロコロするとまっすぐになって使いやすいです。

避雷器はKATOの東武8000用を。
竣工直前まで前オーナーが付けた3Dパーツを付けていましたが、
実車のデビュー当時は独特のカバー付きだったみたいなので交換しました。


浅草方はほぼノータッチです。
どっか違うかもしれないけどわからないので諦め~



GTO素子VVVFだった時代には10030型同様に主電動機冷却用とおぼしき
ベンチレーターが付いていたようなので、KATOの8000系用で再現しました。
本当は客室用のベンチレーターもKATOのに取り替えたかったのですが
巷の店頭で売れ残っているのは主電動機用(いわゆる大タイプ)のみだったので、やむなく。
クーラーもKATOのほうが新しいだけあってかっこいいので、余力のある人は全交換すると幸せになれそう。


妻面も多少手を加えました。
検査票差しみたいなのはトレジャーの東武8000用、製造銘板は同社の東急用インレタです。
一連番号は小さすぎて固定方法の妙案が思い浮かばず、省略してしまった。

貫通扉は製品だと印刷表現ですが、あんまりかっこよくないので
t0.5プラ板で自作しました。ただし、ドアノブの向きが2種類ある(たぶん連結時に全部同じ方向に
開くようになってる)ので、注意が必要です。
まあ、わざわざ書くという事は…


いやいや扇形に並べて喜んでる場合じゃねんだよな~~~

一応ドアノブを付けなおしましたが、綺麗にできなかった扉は開いた状態にして有効活用しています。


わかりにくいですが、戸袋になる側のガラスはツライチに、そうじゃない側は一段凹ませて
塩ビシートをはめ込んであります。
実車はたぶんどっちも熱線吸収ガラスで薄く青みがかってるっぽいんですが、
戸袋のほうは二重になるぶん青が濃く見えるはず…ということで、こっち側だけ
iromizuを貼り込んであります(35-25icを使用)
ちょっと大げさだけどまあいいんじゃないって感じで。

どっちかというとガラス固定に初めて使用したセメダインの新しい接着剤に
思ったより難儀してしまった。若干はみ出しが除去しきれてない。


その他、クハ11480のみシルバーシート表現を。
トレジャーの国電用インレタです。


数少ない作業中写真より、運客仕切り。
仕切りの乗務員室側ってみんなあんまり撮ってないので、
自分で実車を撮るときはめちゃくちゃ意識して撮っておく。


へへっ
かっこいいじゃん


マイクロの20000型はこれはこれで帯が赤すぎる気がするんだよな~
トレジャーの帯インレタがいい感じなので、モハの微低屋根化も兼ねて全塗装からの
帯インレタをやろうかと思案中。
まあ配管全部引き直しだから30年くらいかかるかな~ ハハッ


下枠交差パンタってかっこいいよねえ
小2くらいのとき、東向島の東武博物館に連れてってもらうにあたって
はじめて東武に乗ったんだけど、業平橋に止まってる1800だか300のキノコ型クーラーともどもすげー印象的でした。


いちばん大好きな2000系が微妙な出演のしかたなのは、
ヘッドライトをトレジャーの丸リムタイプに交換しようとして泥沼化しちゃったから。
先頭車は塗り直し不可避だけどめんどくさくて放置中…。
いま目線で見ると、側窓は鉄コレのガラス持ってきてちゃんと日の字サッシにしたい気も。
もちろんそれを実行するなら新規に1本作りますが…


はい、できたできた。
おしまーい
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相模のアルミカーが欲しい。

2022年08月20日 22時12分58秒 | 相模鉄道
久々の更新です。
かなり前の話になりますが、前回の記事で取り上げた伊豆箱根はマスキングの過程で
精度的に納得のいかない箇所が多数発見され、とりあえず現行の車体は放棄することに。
問題点はある程度学習できたので追ってリトライするつもりですが、
一旦気分を変えようと既製品ベースのものに手を付けることにしました。


2022.06

白羽の矢が立ったのは同じく相模国の雄・相鉄の7000系。
思い入れが強すぎてなかなか手が付けられない筆頭にくる電車ですが、
蕨も鉄コレも顔があまり好きではないので、イエロートレインの前面に挿げ替えてみた図。

蕨は車幅がやや広いので、カラタケ割りしないとつじつまが合いません。
鉄コレはその点ただ顔だけ替えれば良いので試作してみましたが、
客扉の奥行きがやや足りないが気になる。
全部くり抜いて嵌め替え…は雑になって嫌になる未来が見えたのでとりあえず今回はやらないことにしました。


で、とりあえずイエロー素組みで一本作れば?って結論に至った。
2005年発売のキットゆえ現代水準で見れば厳しい部分が多々ありますが、
エッチングゆえに実車のカチッとしたスタイルが良い方向にデフォルメされてる感じは
好きなので、「とりあえず」で作ってみることに。

顔が余分に入っているので追々鉄コレとの合成版を落ち着いて作ってもいいやと思ったのと、
やや小さめなきらいのある側窓が、あまぎの5100系と並べたときにむしろ整合がとれるのも後押し要因となりました。


2022.06

素組みの気楽さゆえサクサクと組み進めて、全盛期前夜の7両に。
McとTが製造される前にわりとよくあった組成みたいです。


深追いしないで確実に完成させる。がテーマみたいなもんで一旦箱にしたわけですが、
素直に仕上げると車体カドの縁取りがかなり太い。
下に画像を挙げますが、7000系のカドは意外と細くてそこだけSUSのアングル材が添えてあるので
特に前面周りの印象に大きな影響を及ぼします。


そんなわけで、#400の紙やすりの上でごしごしして…


元のアングル材表現を削った。
前面の板厚部分でアングル材表現の代用とするわけです(エッチング断面の段差は瞬着パテで埋める)
乗務員扉枠も本来はテーパーが付いているのですが、事前に試作したところ
シャープにできなかったので潔くスルーしました。


2018.03 かしわ台にて

カドのアングルと乗務員扉。実車はこんな感じ。


2017.1 二俣川にて

数が多いので今回はスルーしちゃったけど、妻面も同様の処理です。


2006.12 かしわ台にて

5000系はこんな感じ。
前面横は細いです。
乗務員扉枠の違いにも注目。


妻面横は太い・かつアングル材がアルミ。
イエローの7000系キットを素直に仕上げると5000系っぽい太さになるわけですな。
鉄コレや蕨はさすがにこの辺はちゃんと再現されてます。


2022.07

加工箇所を取捨選択して前に進めるようにしましたが、
配管は付属のエッチング(板材エッチングゆえ管っぽくない)は使わず
いつものアルミパイプ(φ0.3)と真鍮線(φ0.2)で引き直しました。
車体に台座と配管止め用の穴がエッチングされているので、いつもの
トレジャー配管止めは使いづらく、KATOのフィーダー線をバラしたリード線で固定してあります。


母線の位置が若干おかしかったところを直したり、地味な作業が続きます。
この手の手戻りはだいたい実車の写真をよく見てないことに起因するので、
急がば回れでちゃんと穴が開くほどよく見ましょう(自戒)

ランボードは、7000系の大半は薄いタイプなのでキット付属のエッチング部品を使いました。
実車は段差の上からイボ付きビニールを貼っていると思われあまりエッジが立っていないので
クーラー横のは瞬着パテで屋根との継ぎ目を埋めてあります。
パンタ横のは先に配管引いちゃったからあえなくそのまま。


6000系で苦労したヒューズ台座はエバグリのチャンネル材をうまいこと加工して使うことにしました。
ただし取り付け方法と強度に若干の課題があり、もうちょっと変わるかもしれない。
薄板をカクカクッと曲げてある感はGMの薄い集電板とかを曲げればそれっぽくなりそうな気もしたりして。


角度を変えて。
ヒューズと避雷器は蕨の7000系のやつです。
パンタは昔のGM2つ穴タイプに合わせた設計ですが、微調整でTOMIXも使えそうだったので
穴を開け直しました。パンタ台は別塗りして後付けします。


Twitterで資料提供にご協力いただいた海老名方Tcの誘導無線まわり。
アンテナ本体はKATOの京急2100用です。
配管はφ0.3アルミパイプにφ0.1の真鍮線を差しています。


ブラスクリーン不要説が頭をよぎりましたが、
銀だしなあということで一応洗った。
ちなみに配管引いたあたりでしれっと4連に計画変更してます。
のこり3両は追々…


下地にクールホワイトを薄く塗り塗り。


塗り順は迷いましたが、帯の幅が不揃いになるのを恐れて帯→シルバーで。
6000系を最初塗った時も伊豆箱根のときもマステの繊維に苦しんで塗り直しするはめになったので、
必殺アルミステッカーで対処しました。今回は205系の帯を応用しました。
綺麗なカッターマットに3~4回貼って剥がしてを繰り返して幾分粘着力を落としてから使います。


アルミ色はモデルカステンのクラシックシルバーにMr.のクールホワイトを4:1で混ぜたもの。
今回は新造当時の初々しい感じを出そうと思って、ほんの微量の原色青を隠し味に入れてあります。


めくりの儀を済ませた図。
この状態だとよくわかりますが、前面の尾灯はロストパーツと外板の継ぎ目をサーフェイサーで
丹念に埋めました。京成3500の時はスルーしちゃいましたが、今回は頑張ってみた。
点灯化はできないけどこのパーツはかっこよくて好き。


2022.08

SUS部をダークステンレスシルバー・客窓の枠をMr.35番(明灰白色)で塗り分けた図。
このへんの塗り分けも適宜アルミ箔ステッカーを使っていますが、
一か所塗膜が負けて剥がれてしまいタッチアップも失敗。
1両丸々塗り直したりもしています。

こういうこともあるので調色する時は絶対多めに練って
カラの瓶にストックしておくようにしています。


前面周りのアングル材を直したのはこの感じを出したかったため。
でも完璧な仕上がりとは言えない。


幌を付けて束の間ニマニマする。


尾灯はゾルでマスクしてアルミ色を残しました。


Twitterに書いた通り、久々の色差しに四苦八苦して仕上げたHゴム。
こんなに難しかったっけ…
今回はSUS部や窓枠の塗り分けもあったので、アルミ色の上には割と分厚く光沢クリアを吹いてあったので
綿棒でこすれば容易くやり直しが効いたのは幸い。

種別幕は赤いステッカーに自家発注インレタの白文字、
方向幕と運番はむかしのBトレ用ステッカーから拾いました。
幌はまだ検討中です。

つづく…
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足柄平野のいずっぱこ。その1

2022年04月07日 00時03分25秒 | 地方私鉄
※雑談多め。斜め読み推奨。


2019.11 小田原にて(2019年末の記事より)

5社が交わる交通の要衝・小田原において、大雄山線は比較的影の薄い存在と言えるかもしれません。
とはいえ伊豆"箱根"鉄道という名前のとおり、東の近江鉄道とでも言いたい西武系中小私鉄の一角を担う路線であり、
緑町付近の半径100mカーブに由来してか全列車が自社発注電車で賄われる不思議な魅力を持った路線でもあります。

かねてよりじっくり訪れてみたいと思っていたのがコロナ禍で延び延びになっていましたが、
小雨ちらつく3月の寒い一日にようやく訪問が叶いましたので、そのあたりのはなしから始めたいと思います。
話の流れとしては訪問をきっかけに模型が欲しくなり…というのが綺麗なのですが、
実際には模型が作りたくなったのが先で、自分の住む県で実車が現役ならば見に行かない手はない…というのが本当の所です。


2022.03 小田原にて

大雄山線は5000系全7本(鋼製車1、SUS車6)で運用されていますが、もちろん常に全編成が走っているわけではなく
大雄山の車庫でやすんでいたり、東海道線三島経由で駿豆線大場工場へ検査入場していたりします。
すなわち、今回のお目当てである鋼製車がうごいているかは訪れてみないとわからないわけですが、
お出かけを画策していた日の朝、布団の中で「大雄山線」でリアルタイム検索してみると
偶々同好の士が同線を訪れて鋼製車を見かけたとの写真をアップしているではありませんか。

近いとはいえ頻繁に訪れる余裕もないので、千載一遇のチャンスととらえて
雨の予報も厭わず一路小田原に向かい、期待どおりのご対面を果たしたのが上の写真です。
いかにも昭和50年代らしいマスクと、車齢38年ながら大事に使われてる様子がうかがえる状態の良さが印象的です。
電車は所詮モノとはいえ過酷な運用に耐えるクタクタ・ぼろぼろな車両は見ていてつらくなるし、
手入れが行き届いた車両は見ていて和むものです。
大雄山線は路線が短いこと、あまり速度を出さないこともあり車両たちから受ける印象ものんびりムード。
小田原でとなりを忙しなく行き交うJRのE231・233がモーレツに働くエリートサラリーマンならば
こちらはマイペースにわが道をゆくのんびりやさんといった雰囲気で、
すぐぼろぼろになるぼくにはそれもまた、癒しを感じる理由のひとつなのかもしれません。


2021年春ごろ

さて、模型の話です。
実は去年のいまごろ、あまぎのキットを買いました。
もともと関心のあった電車でしたが、あるときたまたま同社ホームページの組み立て見本を目にして
ディテール一辺倒の工作とは一線を画したモノづくりも面白いかもしれない…と思ったのです。
ご存じの方も多いと思いますが同社の組み立て見本は抜群に美しい塗装が印象的で、
ディテールや時代考証に凝り固まった頭には多くのヒントを与えてくれる存在です。

とはいえ、です。
組み立て見本は美しいものの箱を開けて前面パーツを眺めてみるとHゴムモールドは甘く
窓そのものの輪郭も左右で対照になっていないような…。
おおらかに楽しみたいと思って買ったキットですが、
そのまま組み立てても完成後に気に入らなくなるのは必至に思えました。
結局、サフで肌を整えつつ窓周りを納得いくまで修整した様子が上の画像です。
裾のステップは塗り分け線との位置関係が微妙なので、まだ手を付けていません。


続いて車体本体。
こっちはこのデッサンをもともと承知でした。
ただ、製作にあたって実車の写真を集めるにつれてどんどん実車が好きになり、
いつもの悪い癖で可能な限り実車のとおりに作り込みたい欲が…。

仮にちゃんとやるとすると
・乗務員扉周りの作り替え
・客扉窓の左右削り拡げ
・車体裾を帯材で継ぎ足し
・妻面は全面的に自作

あたりが必要と思われ、果たしてこの車体でそれをやるのが妥当か迷いが生じました。


2022.03

そもそも実車は戸袋窓や裾絞りのない、至って単純な車体形状であり
結局ごらんのとおりプラ板自作でまとめてはどうか、という結論に至りました。
但し前面は複雑な形状をしていることから無理をせずあまぎの前面を流用しました。
うるさいことをいえば全体的に丸みが強すぎる感がありますが、
技量以上の追及をして頓挫するよりは確実にカタチになるほうを選んだわけです。

罫書き~窓抜き工程はうっかり写真を撮り漏れたので、
仕掛りの上毛デハ181を参考程度に載せておきます。
読者諸兄には釈迦に説法と存じますが、側板は縦に並べてまとめて罫書きをおこないます。
窓抜きは隅Rをドリル刃で開ける工法が一般的ですが、これはドリルの位置決めが非常にシビアな一面もあります。
なので、今回はR部分を斜めに抜き(今回の客窓なら八角形に抜く)、丸ヤスリでRをつける工法を採りました。


前後しますが、車体外板はタミヤのt0.3プラ板を用いました。
ドア周りの肉厚具合がちょうどよいためですが、薄板なので後述のような補強をしっかり行い、
板というよりはブロックのようになった厚い部材を箱状に組み上げるイメージで製作しました。

客扉は一般的な押さえ金窓より窓の天地が小さいように感じていましたが、
実車を測ってNゲージ寸法に換算するとトレジャーの国電用がぴったり寸法だったので、これを用いました。


本来トレジャーの扉パーツはプラ車体をドアの形にくり貫いてはめ込む用途のものなので、
今回のような薄板で自作した側板への使用には若干の工夫を要しました。
具体的には車体の肉厚がないので裏から貼る構造にする必要があり、
外板の開口部は扉パーツの外寸よりわずかに小さくなるようにしました
(但し結果的には実車の寸法からするとほぼスケール通りの開口寸法です)

これで扉が開口部から抜け落ちる心配はありませんが、ノリシロが非常に少なくなるため
固定にも一計を案じました。
まずは、ごらんのように扉の裏側にt0.2のプラペーパーを貼りました。
外板にはt0.5で裏打ちを行ってあるので、これと厚みが揃うようにしたわけです。


その上にプラ角材を接着することで、補強・床板支持・扉保持の3つの役割を担わせました。
側板・妻板間の接着にあたってもプラ角材を効果的に活かすよう努めましたが、
側板上部は屋根板リブとの干渉を懸念してごらんのような構造にしてあります。


前面~屋根はホワイトメタルとプラの継ぎ目ができるので、
強度を考えて前面側のノリシロは活かしました。
屋根板への切り欠きは、先にかるく輪郭をスジボリし、
カッターの刃先を寝かせて薄く削いでいくと簡単につくれます。


プラキットの組み立てとおなじように、L字→口字の順で組み立ててゆきます。


屋根板を固定して、箱になりました。
今回はGMの国電201系用の屋根を短く切って使いました。
前述のとおり側板はt0.5で裏打ちしてありますが、これを屋根裏のリブにぴったり沿うように
接着すると概ねスケール通りの車幅になります。
若干屋根左右が余りますので、適宜やすりをかけて寸法調整→肩Rを整えておきます。


気が付けばGMの201系が大好きな人みたいになってるw
バルクで屋根板を買い集めるよりもIMONとかでキット丸ごと買っちゃったほうが
塩ビシートや床下機器も手に入ってお得…という理由からです。
ボナの営団5000、国電103-1500、301系…とGM201系の屋根を用いる対象はたくさんあります。


さくさく形にして3両箱組み完了の図。
きのうTwitterにも書いたけど、都会の電車好き好きマンやってると編成が長くてしんどいのね。
今回の大雄山線は短編成をじっくり作り込みしたい!という欲求の発露でもあるのです。


ドア周りはこんな感じで。
まだ若干整形不足なので追々仕上げていきます。
抜いた断面をごく軽く面取りして実車みたいな丸みを付けてあげたいなと考え中…。

窓枠は案外出っ張りが小さいので、インレタを自家発注して仕上げようと思っています。


床板は実車登場時の文献によればキーストンプレートを用いたとのことなので、
エバグリの波板にマイクロエースのジャンク床板から切り出したボルスタをはめ込みました。

車体側の床板支持部材は乗務員室仕切りの位置で切り、艤装段階でここにぴったりはまり込む
仕切り板を取り付けるつもりです。強度を保ちつつ垂直に付くかなという期待。


台車はマイクロエースのFS372を使います。
西武3000系を作った時に
配管無しの妻ガラス欲しさにジャンクの中間車を何両か買っておいたので、そこから流用しました。


軸距を考えて動力は鉄コレ用で。
車体側もそれに合わせて高さ調整の爪を付けてあります。
トレジャーの動力すっきりキットでモーターやウエイトを隠してやろうと計画中です。


うまく撮れませんでしたが、編成にしたらちゃんと車高は揃いました。よきよき。


ディテールがない状態で車体コーナー部の継ぎ目をガシガシ仕上げました。
いつものようにウェーブのヤスリスティック(ソフトタイプ)で#400→#600→#1000まで使いました。
車体にかなりの強度がある事、ディテールがまだない事から遠慮会釈なくヤスリ掛けができ、
車体の平面や角はわりとしっかり出せたのではないかと思います。

その後雨樋をt0.2プラペーパーの細切り・縦樋をエバグリのt0.25×0.5プラ帯材で再現しました。
注意が必要なのは前面上部を枕木方向に走る雨樋で、これは前面と屋根の継ぎ目だと後ろすぎます。
実車をよく見るとオデコの奥行きはさほど長くないので、メタル前面の上に瞬着で固定しました。


妻板の様子。
実車は両先頭車がもともと貫通扉を付けていたので向かって左に戸袋窓・右に二段窓、
中間車は左右とも二段窓です。
前述のあまぎキットは全妻板が左右とも二段窓になっており、貫通扉と妻窓のバランスにも
疑問があったので自作に踏み切る大きなきっかけになりました。

妻面は縦樋と幌枠に挟まれる格好になるので、インレタによるHゴム表現はやや転写しづらいことが予想され、
定石通りプラペーパーによる凸表現としました。
幌枠は正確な形状で表現するのが難しかったので、トレジャーの新型国電用を貼り合わせずに用いました。
下で実車の写真を挙げますが、貫通路両脇の手すりが強度を保って表現できるのがミソです。
幌と渡り板もトレジャーの新型国電用です。私鉄電車は750mm幅の貫通路がよくあり
国電用を用いると僅かに大きいジレンマがつきものですが、今回の伊豆箱根は実車も800mm幅であり好都合でした。


車内から眺めた妻面(中間車から大雄山方Mcをのぞむ)
見えづらいですが、貫通路左右の車内側のほか、その奥にも左右に手すりが付いています。


車外から眺めた妻面戸袋窓。
今回はデビュー当時を再現するので、西武2000のような金押さえ窓の貫通扉が付きます。


車外から眺めた二段窓。
西武新101のような、窓周囲のテーパーが印象的です。
わかりづらいですが今回の作例でもこのテーパーを再現してあります。


雨樋は僅かに屋根肩Rに載っていますが、西武101ほどではなく、雨どいが外板表面より出っ張っています。


大雄山線は俯瞰できるポイントが少なく、大雄山駅横のショッピングセンター?を除けば
和田河原~富士フイルム前にある歩道橋が唯一と思われます。
ただし、大雄山行きの場合ちょうど加速していくポイントにあたり、ぶれてしまいました。


なので、折り返しは歩道橋反対側から。
前述のとおり、オデコの奥行きは案外薄いことがわかります。
また、全体的に案外四角いこと・前面裾のステップは後退角とは関係なく植わってることもわかります。

※公道から撮影。通行には充分配慮し、邪魔にならないタイミング・場所から撮影しています。


西武系だなあと感じるポイント。
東洋電機でなく、工進精工所のパンタなのですね。


SUS車のうち、後期グループは側面にLED表示器が付いていますが、ビード端部の処理が面白い。
丸っこく処理されてることが多いですが、これは切りっぱなしで、開いた穴ぼこに線材みたいなのが差し込んである。


2018.11 河内長野にて
すきまフェチだから、南海電車のNANKAIロゴプレートを思い出した。
こっちもコルゲートの凹凸に詰め物がしてあります。


和田河原駅周辺は小さな水路がたくさんあって趣のある情景を作り出しています。


ところによっては2017年建植といった新しい架線柱も見られますが、
相模沼田駅構内はこんな古めかしいのが残っています。


構内踏切も現役。
味わい深いミニ路線ののんびりやさんをじっくり作り込んでいきます。

つづく
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