のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.394

2015-03-04 19:34:24 | 新しい子猫たち 

エンジェルホープジャパン病院 

その7






カヨコジャパンの役員たちが、緊急外来の人の反対意見にも拘らず、保険病院辞退を考え続けていたのは、ゼニの問題もあった。



悪意とは言えないまでも、まったく知らない第三者が突然担ぎこまれるのが緊急外来だった。しかも最近遠方からの患者が増えていた。



緊急外来以外の、初診外来、専門病棟そして研究センターに至るまで、医療費を上回る、寄付があった。専門病棟の患者の寄付は圧倒的に多かった。緊急外来を除けば、医療費の国庫負担なくても黒字は十分維持できるのだった。



しかし緊急外来だけは、寄付よりも医療費、人件費が多く、しかも寄付してくれる期間は短期間だった。初診外来の患者とか専門病棟にくる患者は、寄付の金額も多く、長期間くれた。緊急外来の患者は、いわば、この病院の鬼っ子みたいなものでもあったのが原因だった。





この緊急外来の患者は、専門病棟の医師たちにとっては、言葉悪いが宝の山だった。専門病棟の医師たちは、色々と新しい療法とか手術も考えていた。





専門病棟の実績は国内ではなくて、海外では広く知られていて、こんな病気の時は、エンジェルホープジャパン病院に行くとかの流れが出来ていて、専門病棟の医師にとっては、同じような療法、手術の連続だった。





新しい手術とか療法を考えていても、それはまだ知られていないから、それを知ってくる人はいなかった。緊急外来にくる患者は、様々な疾患やそれぞれ異なった状態でくる。しかも遠方からは重篤な状態の患者がきていた。





専門病棟の医師たちは、緊急外来にこんな患者がきたら、真夜中でもいいから連絡してくれと言っていた。何も親切心だけではなかった。新しい療法や手術が試すいい機会でもあった。



こうして、専門病棟の医師たちのレパートリーは増えて、成功例は学会誌にのり、又新しい患者が海外から訪れて、がっぽりと寄付してくれる事につながっていた。



カヨコジャパンの役員たちは、法律ゴロとか会計ゴロだったので、こうした事情はわからなかった。常に新しい患者、疾患に触れる機会は、緊急外来が一番多かったのだった。



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