のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.393

2015-03-02 00:00:15 | 新しい子猫たち 

エンジェルホープジャパン病院 

その5






エンジェルホープジャパン病院の理事会は、カヨコジャパンの役員たちで占められていたが、理事長は加代子で絶対的な権威があり、加代子は神三朗の意見に従う、神三朗は副理事長だったが、神三朗がウンと言わないと全ては決定されなかった。



保険病院辞退は、いつも議題には上っていたが、神三朗は、ウンとは言わなかった



強力な反対意見が、神三朗のお膝元の緊急外来の責任者からあったのが原因だった。



研究センターの責任者は、難病奇病の患者たちは、保険病院でないと、他の病院から紹介されにくいとか、基礎医学研究所からは、今の医学会に占める、この病院の比重を考えると保険病院辞退は大きな波紋があるとかの意見はあったが、神三朗が保険病院辞退に躊躇していたのは緊急外来の反対意見があったからだった





緊急外来は、かなり遠方からでも救急車がきていた。すこしでも治る見込みがあれば、この病院に搬送していた。事実、他の病院では絶対、手遅れといわれ、亡くなる患者でもこの病院では簡単になおった。





救急車を動かしていた人たちは、これを知っていて、保険病院でなくなると、今までのように搬送できない、亡くなる必要もない人たちを見殺しにするようなものだと強く反対していた。そして緊急外来の責任者はそれを神三朗に訴えていた。



緊急車を運用していた人たちは、恵の財団にも相談していた。恵は陽太に話した。陽太はついに調整に乗り出して、一件落着となった





エンジェルポープジャパン病院内の医療費は請求しませんとのポスターは撤去する。今まで通りでいいが、病院は患者に自己負担分を入れて請求し、病院は患者に請求する形ではあるが、同時にエンジェルホープジャパン財団に代理請求できると云う書類を作る事になった



病院は患者に請求はするが、その金はエンジェルホープジャパン財団にも請求して、財団がそっくり払うだけの書類が一枚増えただけの詐欺みたいな解決方法だった。



エンジェルホープジャパン九州病院が加代子教に請求していたのと同様の取り扱いになった。





それでも建前の、患者に医療費を請求しないとの建前が壊れてしまうと抵抗していたカヨコジャパンの役員たちも、陽太の前に屈服した。厚生労働省の骨のある局長も一枚の契約書だけで実態は変わらない、即座に代理請求するのは問題と陽太に抵抗したが、所詮蟷螂の斧で、陽太がそれで何が問題になるのか、現に九州で認めているではないかと強くいわれ、あえなく轟沈した。頼みの大臣も陽太采配に従ったのも痛かった。


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