傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

TPP:将来の国家像を影響する問題で、構造変革の動機付けの契機になるが?

2011-11-02 23:59:34 | 政治

最近、TV番組でのTPP参加の是非を問う賛成派と慎重派の議論は、両者とも「将来の国家像」のイメージがなく、それぞれの立場で、総論賛成、各論反対という内容であり、総論の「将来の国家像」がなく、現実解の次元の論争であり、国民の総意の最適解を論争していると思えないですね。
TPP参加の是非は、賛成派も慎重派とも問題意識はあるが、問題は「国民が期待する将来の国家像」が具体的にイメージ出来ないことがことです。

当方は、本ブログの開設の動機は硬直化した日本社会への現状不満、将来不安であり、カテゴリーに「国家の計」を設けて、世の中、生成発展には何事も新陳代謝が不可欠とし、「破壊と創造」が不可避という考えであり、「正論めいた常識論」、「常識論めいた正論」には抵抗感を持ち、「先鋭的・革新的な意見」には共感を覚えてきました。

TPP参画問題において、「常識論めいた正論」は、「WEDGE Infinity」が取り上げた読売新聞東京本社経済部長・丸山淳一氏の『やはりTPPには参加すべきだ TPP反対論に反論する』ですね。

丸山淳一氏のTPPについて、
”「当初はP4協定という「小国の例外的な協定」だったTPPを、米国が「大国の協定」に変えようとする背景には、アジアをめぐる中国との覇権争いがある。」”
”「輸出倍増計画を掲げ、成長著しいアジア市場を有望な輸出先にしたい米オバマ政権は、TPPをアジア戦略の最上位に置く。一方の中国は、ASEAN10カ国に中国、日本、韓国を加えた「ASEAN+3」を「東アジア共同体」に昇華させる構想を推進しようとしている。」”
”「日本は経済統合が中国主導で進むことを警戒し、ASEAN+3に豪州、ニュージーランド、インドを加えた「ASEAN+6」を統合の母体としたい考えだ。2010年、日本で開催されたAPEC首脳会議で採択された「横浜ビジョン」は、アジア太平洋自由貿易地域(FTAAP)の母体として、米国が主導するTPP、中国が重視するASEAN+3に加え、日本が主張するASEAN+6も併記している。」”
の考察は同感ですが、基軸は日米同盟の堅持が日本国益となる論調であり、「常識論めいた正論」で現状維持・現状継続としか思えないのです。

一方、「先鋭的・革新的な意見」は、京都大学大学院工学研究科准教授・中野剛志氏の『米国丸儲けの米韓FTAからなぜ日本は学ばないのか 「TPP亡国論」著者が最後の警告!』であり、東京大学教授・鈴木宣弘氏の『TPPをめぐる議論の間違い ── 推進派の俗論を排す』で、基軸は日米同盟を否定せず、構造改革の必要性は認識しているが、TPP契約内容が国状に合わないという危惧の論調ですね。

マアー、中間的な意見は、松本徹三氏の『TPP論議の持つ二つの側面』で、今は「国論の亀裂」を最小限に抑える為の「議論の徹底」の「熟慮断行」の原則賛成という意見でしょうね。

マアー、TPP問題がどうなろうと、中国の有名な言葉の「上有政策、下有対策」(上に政策あれば下に対策あり。頭を使いなさい)ではないが、現場は現行体制でも賢く商売しているのは事実です。

堀田 佳男氏が「JBpress」に寄稿の『コーポレートランドの衝撃 もはや国家は企業を支配できない』、『法人税をほとんど払わなくなった米企業コーポレートランドの実像:ロビー活動が利益を生み出す』、『税金逃れて太る大企業、民衆デモではびくともせずコーポレートランドの実像:芸術領域に入った「逆モリス・トラスト」』で、世界中の国をビジネスの舞台にする大企業が、あたかも他国を自分たちの領土(ランド)であるかのように振る舞う意識と業態を指す「コーポレートランド」を紹介し、大企業の力が強くなればなるほど、特定分野においては国家の領域を凌駕するほどのパワーを持ち始め、法律さえもコントロールするほどの力を解説しています。

現場の企業は、関税ゼロの貿易自由化の実現など待っていられず、円高対応にグローバル化に順応せざるを得ないのです。
NHKニュースの記事『輸出企業 円高で事業見直し相次ぐ』で、政府・日銀が市場介入したが、電機や自動車などの輸出企業の間では、1ドル=70円台の円高水準がなお続くとして、事業の前提となる想定為替レートを1ドル=70円台に引き上げる事業の再検討を始めているとし、パナソニックは、国内の生産体制の縮小を打ち出し、パナソニックの大坪文雄社長は「円高の問題やTPPなどを巡り、われわれは、世界市場において極めて厳しいなかで戦わなければならない」と述べ、日本企業の事業環境に警戒感を示したと報道。
要は、円高基調の現下で、企業は国益が云々を言っている余裕がなく、企業存続に事業改革を着手せざるを得ず、堀田 佳男氏が提起した「コーポレートランド」化に移行するのは宿命ですね。

一方、世界の人口は70億人を突破したが、地球がどこまで人口を食わせられるか素朴な疑問をもっており、究極は食料の弱肉強食の問題になると想像しています。
NHKニュースの『国連 人口増加対応の取り組みを』で、
”「国連のパン・ギムン事務総長は、31日、世界の人口が70億人を突破したことを受けて、今後も増え続けるとみられる人口に対応するため、食料や水不足、そして貧富の格差などさまざまな問題に取り組んでほしいと世界各国に対して呼びかけました。」”
と報道しており、世界が人口増の基調であれば、食料問題が深刻になるのは明白です。

TPP参加問題は、アメリカの対中国政策の一環でもあり、アメリカの商圏拡大でもあり、アジアを成長センターを見るのも自然であり、自由貿易は日本産業界にメリットも、自由貿易は農業を深刻化させるのも産業化の契機になるというTPP賛成派の主張も、慎重反対派の主張も一理あります。
安全保障、通商も大事であるが、世界人口の自然増基調で、後進国が成長するほどエネルギー・食料問題の競争が激化するのは当然です。
極論をいえば、この世は、喰う為に働き、喰わせるために競争している生存競争しており、個人も企業も与えられた環境で生存競争しているのです。

当方は、TPP参加問題については、情報不足・議論不足で性急という印象であり、世界が不安定な状況下で、TPP参加ぐらいで、日本の国益につながると思えないのです。
また、不安要素に、政府のいう日本の「将来の国家像」(国家戦略会議が機能不全)が見えないことであり、国内の基盤強化なり、構造改革が先決でしょうね。
政府の推進派は、TPP交渉参加について、”「アジアの成長が期待でき、参加することは日本の国益になる」”とし、国益の是非は交渉次第という主張は、正論めいていますが、円高対策もできない政府の交渉力に不安なのです。
要は、参加する事が国益を守ることなのでしょうね。
将来の国家像を他力本願では心もとないですね。



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