傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

袴田事件再審:「NNNドキュメント」の功績・・・メディアの使命(所感)

2014-04-03 21:59:25 | 検察・メディア

高堀冬彦氏が「現代ビジネス」サイトに寄稿のコラム『二つの大きな冤罪事件を追った『NNNドキュメント』の功績』で、「袴田事件」の再審決定に『NNNドキュメント』の功績があったことを知りました。
コラムによれば「足利事件」、「袴田事件」の2大冤罪事件を追い続けた二人のディレクターの存在があり、世の中、長い物には巻かれろの打算的な社会にメディアの使命感が残存していると思いましたね。

「袴田事件」については、3日、NHK[クローズアップ」では『埋もれた証拠 ~“袴田事件”当事者たちの告白~』の番組紹介を転載すると、

”「昭和41年、静岡県清水市で、みそ会社専務一家4人が殺害された、いわゆる「袴田事件」。先週、再審を認める決定が出され、死刑が確定していた袴田巌さん(78)が、東京拘置所から釈放された。身柄拘束の期間は半世紀近く、実に48年に上る。
「捜査機関が証拠をねつ造した疑い」「耐えがたいほど正義に反する」。静岡地裁は、無実の人を国家が陥れた可能性にまで言及し、異例の強い表現で捜査当局や追認してきた裁判所を批判した。
ねつ造疑惑まで指摘された当時の捜査は、何が問題だったのか。なぜ決め手となる証拠は長年、表に出てこなかったのか。捜査や裁判に関わった警察官、検察官、裁判官など当事者を徹底取材し、袴田事件が浮き彫りにする「日本の刑事司法の課題」を検証する
。」”

と、まだ最終司法判断が決定しておらず、 NHKらしく問題提起と米国での異議の事件の取り組みを紹介にとどまっております。

高堀冬彦氏のコラム『二つの大きな冤罪事件を追った『NNNドキュメント』の功績』では、『NNNドキュメント』を反戦、反権力、反差別、反公害を訴え続けている硬派番組で、70年代までなら珍しくはなかったが、いまやNHK会長まで親政権を隠さない時代で、『NNNドキュメント』が最後の硬派番組なのかも知れないと記述しております。

再審の扉が開かれた「袴田事件」を、
”「この番組では22年も前に決着が付いていた。92年2月に放送された『NNNドキュメント/袴田事件の謎を追う』の中で、スタッフは袴田巌さんの"無実"をすでに証明していたのだ。司法はそれを黙殺していただけに過ぎない。決してオーバーではない。少なくとも視聴者目線では無実だった。それでも再審を認めてこなかった司法は、市井の感覚と大きくズレていた。」”
と、袴田さんが凶器のクリ小刀を購入した姿を目撃したとされた女性は、その証言をスタッフの前であっさりと翻し、本当は見ていなかったのだとし、袴田さんが犯行現場から逃走した経路も不可能とし、犯行着衣も捏造された疑いが濃厚であることを立証し、それを『ニュースプラス1』や『ザ・サンデー』など局内のほかの報道・情報番組でも次々と流し続けたと記述しています。

「袴田事件」を追い続けたディレクターが袴田直希ディレクターで、「袴田事件」の袴田さんと同じ姓であるのは偶然であるが、「日本テレビの良心」という日テレの社員の声も聞いたとし、再審決定後、取材現場には報道局長代理・袴田氏の姿があったと聞き、”「対価を求めずに事件を追求してきた袴田氏らしい行動と思えた。袴田さんと日テレ・袴田氏にとって、再審の扉が開かれるまで時間は止まっていたのかも知れない。」”と。

そして、冤罪だったことが確定した「足利事件」については、
”「「足利事件」を追い続け、菅家利和さんの無実立証に尽力したのも日テレ報道局の清水潔氏だ。2007年、まだ大半のメディアが関心すら持っていなかった足利事件の追跡を開始。問題だらけの捜査を指弾し、DNA再鑑定を提唱し続けた。

結局、2009年に日本で初めて行われたDNA再鑑定により、菅家さんは無実であることが分かったのは知られている通り。この事件も清水さんの取材では早くから無実であることは立証されていたのだ。それを黙殺したのは司法の怠慢としか言いようがない
。」”
と、メディアの問題指弾を黙殺したのは司法の怠慢と書いております。

高堀冬彦氏のコラムでは、
”「清水氏の分厚い取材成果も2010年10月に『NNNドキュメント/検察...もう一つの疑惑~封印された真犯人~』として放送され、大きな反響を呼んだ。」”
と記述しておりますが、「NNNドキュメント」のバックナンバーでは、
”「2010年11月21日(日)/30分枠  25:00~
検察…もう一つの疑惑 ~封印された真犯人~  制作=日本テレビ

今年3月、菅家さんの無罪が確定された足利事件。DNA再鑑定により菅家さんの無実は証明され、17年ぶりに晴れて自由の身になった。日本テレビの「ACTION」では、これまで事件の冤罪の可能性を報じ続けてきた。一連のキャンペーン放送は民間放送連盟賞「放送と公共性」最優秀を受賞。だが、事件にはまだいくつもの謎が残されている。事件の前後、北関東で続いた幼女誘拐殺人事件との関連はどうなのか?不安を覚える市民も多いが、時効となった事件もあり、真犯人への捜査はなされていない。大事な家族を失った遺族、罪をなすりつけられた菅家さんも納得できない現実。足利事件の深層に迫る。ナレーター:あおい洋一郎
=再放送= 11月28日(日)11:00~「BS日テレ」/11月21日(日)18:30~CS「日テレNEWS24
」」”
であり、2010年10月放送ではなく2010年11月21日(日)の放送と思われますね。

高堀冬彦氏は、
”「結局、袴田事件も足利事件もDNA鑑定という誤魔化せない証拠を突き付けられるまで、司法は真実から目を逸らしていた。90年代以降、二つの大きな冤罪事件を追った『NNNドキュメント』の功績は讃えられて良いはずだ。」”
と『NNNドキュメント』はメディアの使命感をもった報道番組と称賛し、結びは、

”「今年1月には、この番組らしい再放送もあった。故・大島渚監督がつくり、日テレに残されていたドキュメンタリー『忘れられた皇軍』(1963年制作)だ。「政府が右なら右」のトップがいる今のNHKでは間違っても放送できない代物だし、ほかの民放でも難しいであろう内容だった。
カメラに収められていたのは、日本軍属として召集され、戦後に韓国籍となった旧日本軍の兵士たち。片腕と両眼を失った白衣の傷痍軍人は、何の補償も受けられないまま、街頭で募金を集めるしかなかった。

否応なしに日本人にさせられ、戦後は補償も受けられない人たちを大島監督は追った。そこには国家や権力の身勝手さに対する大島監督の激しい怒りが込められていた。

大島監督の反骨心は、国家の大きな過ちを追い続けた袴田氏、清水氏らにも通じるところがあるだろう
。」”

と、『NNNドキュメント』は、現在のNHK体質や他の民放とは特異な番組と結んでいますね。

当方も一時期は、『NNNドキュメント』を視聴していた時期はあり、良識の番組という印象を持っており、世の中、仕事をしているのは現場の人間と再認識しましましたね。

「付記」

(1) 『NNNドキュメント』の【袴田事件 拘禁48年の果てに】の紹介

  放送 : 4月13日(日) 25:50~
  ナレーター : 松野芳子
  制作 : 静岡第一テレビ
  再放送 : 4月20日(日)11:00~
        BS日テレ   4月20日(日)18:30~
        CS「日テレNEWS24」
  番組概容
  ”「1966年、現在の静岡市清水区でみそ製造会社の専務一家4人が惨殺された。みそ会社の従業員で元プロボクサーの袴田巌(78・当時30)さんが犯人とされた、いわゆる「袴田事件」だ。その後1980年に死刑が確定したが、厳さんは無実を訴え続け、弁護団が裁判のやり直し=再審を求めてきた。
そしてこの3月27日。静岡地裁は「重要な証拠が、捜査機関にねつ造された疑いがある」と指摘した上で再審開始を認めた。さらに、厳さんの釈放を認める異例の決定を下した。姉・秀子さん(81)はすぐに東京拘置所に向かい、約3年半ぶりに姉弟の面会が実現。その後、厳さんは釈放された。死刑判決確定から34年、逮捕から実に48年…拘禁48年の果てに見えてきたものはいったい何なのか
?」”

(2) 『NNNドキュメント』の【反骨のドキュメンタリスト 大島渚 『忘れられた皇軍』という衝撃制作=日本テレビ】の番組紹介
 
  放送日:2014年1月12日(日)/55分枠  24:50~
  番組名:反骨のドキュメンタリスト 大島渚 『忘れられた皇軍』という衝撃制作=日本テレビ
  番組概容
”「2013年1月、大島渚監督が逝った。「大島渚は不器用で、反国家むきだしにして体を張って闘っていた」そんな大島の魂がこめられたドキュメンタリーが、日本テレビに遺されている。『忘れられた皇軍』(1963年放送) 日本軍属として戦傷を負い、戦後、韓国籍となった旧日本軍の兵士たち。片腕と両眼を失った白衣の傷痍軍人が何の補償も受けられぬまま、街頭で募金を集める…大島は一体何を訴えようとしたのか?
当時の制作スタッフや妻・小山明子の証言からひもとき、テレビと映画2つのフィールドで活躍する是枝裕和監督や同時代を生きたジャーナリスト田原総一朗と共に考える。50年を経た今、大島の映像は少しも古びることなく、見る者を激しく揺さぶる。テレビを考え抜いた映画監督、大島の遺言とは?ナレーター:永田亮子
=再放送= 1月19日(日)11:00~「BS日テレ」/1月19日(日)18:00~CS「日テレNEWS24
」」”




1 コメント

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司法と人権の学習に (羊の声)
2014-05-13 10:21:51
限られた授業時間内にこの番組から多くのことを学びます。スタッフの尽力に感謝の気持ちです。

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