
和歌山市井辺の丘陵頂にあります。
標高141mの大日山の山頂です。
「紀伊風土記の丘博物館」から約1.3Km、かなりきつい坂道を登ること20~30分の距離です。
全長86m(基壇の長さ105m)、後円部径37~39m・高さ6~6.5m、前方部先端幅49~50m・高さ7.5m の前方後円墳です。
和歌山県最大の前方後円墳です。

(後円部)
前方部を南(和歌山平野から紀伊水道方向)、後円部を北に向けています。
墳丘に葺き石は施されていなかったようです。
円筒埴輪などが採取されていて、墳丘に埴輪の配列がなされていました。
くびれ部の両側(東西)に造り出しがあります。
後円部に、西側に開口する両袖型の横穴式石室があります。

左にややかたよった羨道の長さが約3m、玄室は長さ4.33m・幅2.38m・高さ2.85m あります。
石室は結晶片岩で造られていて、床から約1.5mの高さに2枚の石棚があり、奥壁に組み込まれています。
また床から約1.9mの高さに石梁があり、両側の壁に組み込まれています。
玄室の中には「大日如来」が祀られ、信仰の場となった時期もあったそうです。
棺などは残っていませんでした。
倭製四神四獣鏡・鉄斧・鉄刀・杏葉・須恵器・土師器 などが出土しています。
普段は石室内に入ることはできません。
年に2回ほど石室公開日があるそうです。
もちろん私が訪ねた時も閉まっていました。
平成15~17年度(2003年~2005年)にかけて、東西の造り出し部の発掘調査が行われています。
円筒埴輪を周囲に並べ、その内側から形象埴輪(人物・動物・家など)が大量に出土しました。
東側の造り出しからは、全国で初めての出土となる「飛ぶ鳥形埴輪(タカとみられています)」が見つかっています。
円形台の上に長さ30cmの丸い体と頭、右側の翼(長さ25cm・幅22cm)が付いています。
他にも西日本では初めての「鶴形埴輪」も出土しています。
西側の造り出しからは、「実際には存在しない冑」をかぶった武人の頭部(長径約22cm)や 「前後両面に顔のある埴輪」も出土しています。
一方は目じりが下がった穏やかな表情で、もう一方は目じりがつり上がった険しい表情をしています。・・・「紀伊風土記の丘博物館」に展示してあります。
さらに腰に装着する矢筒「胡ろく」埴輪が全国で初めて出土しました。
5本の矢が矢羽根を上にして、細い線を掘って描かれているそうです。
胡ろく埴輪の大きさは、円筒形の台座を含めて高さ96cm・幅39cmあります。

(西側造り出し)
古墳時代後期・6世紀前半ころの築造と推定されています。
墳丘から(特に前方部からは)、和歌山平野から遠く紀伊水道の素晴らしいロケーションを楽しむことができます。

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