日本の「政治」の〈可能性〉と〈方向性〉について考える。

「政治」についての感想なり思いを語りながら、21世紀の〈地域政党〉の〈可能性〉と〈方向性〉について考えたい。

村田邦夫のヨモヤマ談義⑫ー私の語る「システム」論から、「国家が主体となるべきか、民間(各家庭)が主体となるべきかを、再考するとき(続)

2020-08-19 | 日記
村田邦夫のヨモヤマ談義⑫ー私の語る「システム」論から、「国家が主体となるべきか、民間(各家庭)が主体となるべきかを、再考するとき(続)

本論に入る前に、前回で取り上げた竹内洋氏の「大衆社会」についての捉え方について、私なりの感想を述べておきたい。

竹内氏は、大衆社会というか、社会がすべて大衆に埋め尽くされて、もはやどこにも「シェルター」を見出せないで、窒息する危険性を述べていたように、私には思われたのだが、それに対して、私は、前回記事でも指摘していたように、ーーー「システム」は常日頃から、私たちを「総力戦体制」の下に、「総動員」させる形で、「センソウ・戦争状態」におき続けている。ーーーことから、私は窒息しそうな息苦しさを覚えるのだ。

この両者の関係を問いただすことが、私には重要な問題ではあるまいかとみている。それゆえ、前回の記事において、私は、「システム」の中に「大衆社会」を位置付け直して、両者の関係性を問うことを述べていたのだ。

と言うのも、大衆社会を構成する大衆といえども、私のモデルで描く{[衣食足りて→礼節を知る]→[衣食足りて・足りず→礼節を知る・知らず]→[衣食足りず→礼節を知らず]}の営為の実現関係の中で生きざるを得ないことから、この「システム」の中に大衆社会と大衆を位置付け直すことにより、両者の関係(性)を捉えることができる、と私は考えるのだ。

竹内氏の話を聞く中で、前回の記事でも触れたように、西部劭氏の「大衆デモクラシー」批判の論考を思い出していたが、同時に私は、アラン・ブルームの『アメリカン・マインドの終焉ー文化と教育の危機』で描かれる「古き良き時代」の「アメリカン・マインド」なるものは、私の語る「システム」({[A]→(×)[B]→×[C]}、{[B]→(×)[C]→×[A]})の中で形成、発展し、そして終焉したのではないか、と考えるのである。

すなわち、差別と排除の関係を前提とした「三つ」の下位システムから成る「一つ」の「システム」の中で、アメリカン・マインドなるものは醸成されてきたということを鑑みれば、そのマインドは手放しで拍手喝采とはいかないのではあるまいか。と同時に、もう二度と、古き良き時代のマインドを取り戻すことはできない、と私はみているのだ。

同様に、かつての欧米社会における「教養と財産のある人々、すなわち、いわゆる「名望家層」が登場する背景を鑑みるとき、先のアメリカン・マインドと同様に、あまり褒められたものではなかった、と私はみるのだ。名望家層が中心となってつくられた公衆社会が後に大衆が中心となる大衆社会へと変貌したと喧伝されるとき、両者をつくり出す「システム」における差別と排除の関係を前提とした「一つ」の「システム」の構造とその性格には何ら異なるものは見いだせなかったことに注意すべきではあるまいか。

私がそう考える理由には、大衆社会の対極に位置づけられる「公衆社会」の特徴とされる「教養」と「財産」の主源泉であった「衣食足りて礼節を知る」の営為の実現に見いだされる、看過できないほどの「人権」(「市民的権利」)を巡る差別と排除の関係が組み込まれているということが大きく与っていた。

私は、こうした観点から、竹内氏が講演の前半部で語っていた「エリート・コンプレックス」を捉え直すとき、それは単なる「コンプレックス」といった「エリート」の、自分たちよりも「劣位の状態(環境)」に置かれた人々に対する「自責の念」といった感情に収れんできない、収れんさせてはならない、自らの「命と暮らしを守る」と同時に、市民的権利(人権)の実現にみる「自己決定権」の「能力」における大きな「格差」の存在が見いだされることにこそ、私たちは目を向けるべきではあるまいか。

こうした点を踏まえながら、「大衆社会」論の抱える問題点について、そもそも「公衆」とか「大衆」として位置付けられている人たちは、一体いかなる「衣食足りて(足りず)礼節を知る(知らず)」の営為の関係を担い支えてきたのかという観点から、私はさらに論及していきたいと考えているが、ここではこれ以上は踏み込まない。以下では、前回からの話の続きを論じてみたい。

それにしても本論に至る前置きが長くて、読者には申し訳ないが、ずっと以前に考えてきた問題を、竹内氏が思い出させてくれたので、そちらも気になってしまったのだ。(続)
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