リサ・クリステインさんの「現代奴隷の目撃写真」に登場する現代奴隷たちは、オバマ大統領と被爆者の「抱擁」を見たとき、一体なにを思うだろうか。あの世紀の瞬間として、おそらく私たちの記憶に残されるであろう抱擁写真が隠蔽しているのは、こうした現代奴隷の存在と彼らを創り出す覇権システムとそれを基にしてつくり出されてきた「世界資本主義システム」と「世界民主主義システム」の「三重のシステム」から構成される「一つのシステム」(の構造)ではないのだろうか。そのシステムは、それぞれのシステムが「力(暴力)」の「優劣関係(帝国主義関係)」を前提としてつくり出されている。この構造それ自体が、つまり私の言う「システム」それ自体が、原子爆弾と原発の核をつくり出してきたのである。核なき世界の平和とは、私に言わせれば、この構造それ自体の解体である。すなわち暴力なき世界の平和に他ならない。この世界は、加害者と被害者の抱擁とその和解でもって、実現できるそんなものでもない。加害者とか被害者とかに区分けできるそんな簡単な世界でもない。抱擁写真を介した「歴史の私物化」は許されないのではあるまいか。現代の奴隷たちの目がそれを訴えている。
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