日本の「政治」の〈可能性〉と〈方向性〉について考える。

「政治」についての感想なり思いを語りながら、21世紀の〈地域政党〉の〈可能性〉と〈方向性〉について考えたい。

「システム」論の立場から言えば、私たちはいつも「実行犯」と「真犯人」を取り違えたままである

2019-01-31 | 社会 政治
「システム」論の立場から言えば、私たちはいつも「実行犯」と「真犯人」を取り違えたままである

あまり野暮なことは言いたくはないのだが、やはり指摘しておいた方がいいだろう。前回の記事で、私は立て看板で抗議した東洋大学の学生に確かにエールを送ったのだが、その際、気になることがあった。

その学生も竹中氏の規制緩和論で非正規労働者が増加した云々と述べていたように、私たちはいつも「実行犯」に目を奪われ、「真犯人」を見つけ出せないままにある。小泉元総理や竹中平蔵氏、安倍首相は歴史的事件(出来事)の実行犯にすぎないのに、真犯人だと決めつけてしまう傾向がある。

結論を先取りして言えば、何度もこのブログ記事でも述べてきたように、歴史上の真犯人は、「システム」の自己完結運動の歩みである。実行犯は、システムが歴史の「段階」に応じて、担(かつ)ぎ出してきたにすぎない。そしてまたシステムの担い手は私たち「システム人」であるから、結局のところは、私たち一人一人が本来の真犯人だということになってくるだろう。たとえどんな小理屈を並べ立てたにせよ、である。

私たちはいつも分かりやすい犯人を捜して、こいつが全部悪いとか、責任があると糾弾するのだが、その批判の矢が自分たちにも向けられているとの自覚に欠ける糾弾は、やはりどこかおかしいのではあるまいか。

システム論の観点から歴史を論及してきた私には、仮に「正義」がもしあるとしても、その正義はいつも私たちが位置しているシステムを構成する関係を前提としていることから、最初から胡散臭い者となるのだ。

それゆえ、白か黒か、善か悪か、といった二項対立的図式で押さえられないのである。それゆえ、システム論から見れば、犯人を探し出すのは難しい作業の連続となるが、私たちの目に映る「悪」とされている事象のもっと背後に批判の俎上に載せられるべき真犯人が存在している。

最近では、すぐ上で述べたように、学生の立て看板で、竹中平蔵氏が糾弾されていたが、私は小泉氏や、安倍氏は、また竹中氏もそうだが、単なる実行犯でしかない、と考えている。

勿論、そうは言っても、彼らの罪は大きいと私も認めざる言わざるを得ないのだが、そう述べた瞬間、その批判の矢は、主権者たる私たち自身に跳ね返ってくる。。私たちが選んだ国会議員の中から選出された内閣の下で、いわゆる構造改革は結果として推進されたからである。その意味では、私たちの、いや私の罪の方が重い。

もっとも急いで付言すれば、彼らにそのような力はない。その力を彼らに与えたものこそが真犯人であリ、それはシステムの自己完結運動の歩みなのだ。。その関連で言えば、いわゆる新自由主義とか、それを標榜する政治家や、その政策も、システムとその関係の歩みからすれば、ある種の実行犯的役割を担っているにすぎないのだ。

真犯人であるシステムとその関係の歩みにこそ批判と球団の目を向けなければならないのだが、ところが、このシステムが提供する普遍主義、あるいは普遍的価値の前に、私たちはまるで魔法にでもかかったかのように、傅(かしず)かされてしまったままなのだ。

普遍的価値や普遍主義を後生大事にするという点では、自民党も共産党も同じである。いや世界中がそうした方向に置かれている。

普遍的価値や普遍主義が実現される歴史の歩みにおいて、その歴史のある段階において、分厚い中間層の形成が世界のある地域で可能となり、またある段階では、その解体が進められていくのである・

小泉、竹中、安倍氏等の役者は、そうした普遍主義や普遍的価値の実現の歴史の歩みが必要とした単なる演者に過ぎないのだ。それゆえ、何度もこの記事でも、また拙著や拙論でも問い続けたように、システムとその関係の歩みの形成と発展、その変容の歩みに関する論及が不可避とならざるを得ない。

前回の記事で、私は立て看板で竹中氏を糾弾した学生にエールを送ったのだが、そこで私が期待したのは、まさにすぐ上で指摘した「論及」に関わってほしいとの願いを込めてのものであった。

「実行犯」探しと「真犯人」探しの作業は、同じ「探し」ではあるが、両者のそれには天と地の開きがある、と私は感じているのである。

コメント (1)
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「立て看板」で竹中平蔵氏を批判した東洋大学の学生にエールを送りたい

2019-01-24 | 社会 政治
「立て看板」で竹中平蔵氏を批判した東洋大学の学生にエールを送りたい

まだ見ぬ君に。是非ともお会いして話をしてみたい、と久しぶりにそう思った。とにかく立派である。学生の鏡、教師のかがみと言うべきか。

今の時代は、ろくな研究もしてこなかった者が、どいつもこいつもお友達の輪で、お互いに支えあって、大学の中を大手を振って歩いている。とるに足らないのが大学教授の肩書でマスコミに登場して、平気で嘘を垂れ流し続けている。

真面目に研究してきた大学院生がかわいそうだ。研究という言葉は死語と化した感が強い。あなたの怒りはもっともだ。「半部の理」はある。ただし、竹中氏にも「半分の理」があるのではあるまいか。

この「半分の理」と言う表現に、あなたは納得されないかもしれないが、「立場」が異なれば、またそれが代弁する「理」も変わってくるし、すべて自分の「理」が正しいとは、やはり主張できないのではないか。「理」と「利(害)」は悲しいかな、切り離せないし、「利」に裏打ちされない「理」はおよそ空虚とならざるを得ない。どんなに腹立たしいことだとしても。

ただ、そうは言うものの、今の時代の問題点は、あなたの半分の理がほとんど無視され、隅の方に押しのけられる中で、竹中氏の半分の理がその半分を超えて、ほとんど世の中のすべてを覆いつくしている所に見出せるのではあるまいか。

そんな窒息状況の中で、あなたは自らの存在証明を、立て看板でもって自己表現することで示したのだ。素晴らしいことではないか。

私には何の力もないが、それでもあなたのすぐ横であなたを微笑みながら見守っていることだけはお伝えしておきたい。

世の中、捨てたものではない。東洋大学の中に、あなたを陰ながら応援している先生や学生はいるはずだ。それが大きな声にならないのも確かだが、必ずあなたの支持者はいるはずだ。

立場上、あなたに強く当たらざるを得ない人たちがいる。それも確かなのだ。卑怯と言われても、生きていくために、そうせざるを得ないのだ。残念なことだが、それも仕方がないのだ。

それはそれでいいのだ。あなたはこれからあなた自身のために生きていけばそれでいい。偉そうなことをあなたに言える立場でないのは、重々承知だが、兎に角あなたに伝えたかったのだ。ありがとう、私も踏ん張れるだけ、生きていくよ。まだ見ぬ君に、ありがとうを言いたかった。


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あのシステムと同様に学校も監獄なのである。(1)

2019-01-22 | 社会 政治
あのシステムと同様に学校も監獄なのである。(1)

また痛ましい事件がおきた。いじめを苦にして小学2年生の女児とその母親が無理心中していたことをマスコミ報道で知った次第である。父親は学校と市の教育委員会を相手にこれから裁判に臨むのだろう。

何度同じことを私たちは繰り返せばいいのか。どうしようもない思いを私は抱いているが、昨年の7月2日のあの事件を体験した私にはとても他人事とは思えない。付言すれば、これまでの私の研究とそこで展開してきた国際的、国内的な社会的人間関係、つまりは政治的、経済的、文化的、社会的な人間関係がつくり出す差別と排除の関係を、具体的に私が自らの身体を介して追体験する出来事でもあったのだ。

ところで、私は久しぶりに盲学校の生徒として学校に戻った。この間何回かは戻っていたが、やはり帯状疱疹でどうにもならず、学校から遠ざかっていた。学校というところは、昨年の1学期までのいい生徒を演じてきた私にとって、今ではは拘置所と言うか監獄である。

おかしなものだ。自分がこれまで論及してきたあのシステムがまさに私たちを強制的に動員、連行してきた監獄であったのだから、その下位機関と言うか下位組織としての学校もまさにそうであるのに、今の私の重いほどは少し切迫感が薄かったのだ。

おそらくは、どんなに弁明しても他人事でしかなかったのだろう。あるいは、私自身がシステムに向き合うことを回避していた、あるいはもうそんな力ものかもしれない。そんな私があの事件を体験して、また覚醒せざるを得なかったのだ。

いまなら少し不登校の生徒の気持ちがわかるような気がする。たとえ、学校が牢獄であったとしても、現実には何ら変化がないとしても、より苦痛の少ない場所を選択する可能性まで否定されているとは考えたくないのだ。たとえ、卒業後の選択肢が少なくなってしまうとしても。と、すぐ前に書いたことが実際には難しいということを、不登校の生徒の一人として、以下に述べていきたいのだが、目がもう限界なので、今回はここまで。

それでも我慢して一言。勿論、このような記事は安倍首相や文科省の官僚には、到底認められないし、奇人変人の戯言として一笑に付されるだけだろう。それは野党の政治家や護憲派の市民運動に従事する人たちも、おそらくそうだろう。


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