虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

スタンドアップ(2005/アメリカ)

2006年12月04日 | 映画感想さ行
NORTH COUNTRY
監督: ニキ・カーロ
出演: シャーリーズ・セロン    ジョージー・エイムズ
   フランシス・マクドーマンド   グローリー
   ショーン・ビーン      カイル
   リチャード・ジェンキンス   ハンク・エイムズ
   ジェレミー・レナー    ボビー・シャープ
   ミシェル・モナハン     シェリー

 暴力夫と別れ、2人の子どもを連れて故郷の北ミネソタの町に戻ってきたジョージー・エイムズ。彼女は若い時に私生児を生み、今度は離婚で、周囲は親さえも彼女に責めるような目を向ける。そんなジョージーが自分一人の手で子どもたちを養うために選んだ仕事は鉱山労働者。仕事もきびしかったがそれ以上に厳しかったのは、同僚のほとんどの男性たちからの露骨で悪質な嫌がらせの数々だった…。

 現代がノース・カントリー。でも、この邦題はなかなかよくつけたと思う。この映画の中でどこでも、特にラストのスタンドアップのシーンは感動的だった。
 差別というのは、えてしてその原因はどうにも理解しにくいものなのではないか。
 私は、キング牧師と黒人たちの非暴力のデモ行進に「Hate! Hate!」と罵声を浴びせる女性たちのゆがめた顔の有名な写真を見た時に感じたのは当惑だった。「この人たちは、彼らに何を奪われると思っているのだろうか?」
 この映画でも男性は女性たちに何を奪われると思ってあんな自分たちの品性を下げまくるような行為が実行できたのか???? 日本よりも男性のマッチョ幻想がはるかに強烈そうなアメリカの、それも鉱山という特に男くさそうな職場ではあるが、やはりハテナマークは消えない。ボビー・シャープの動機ならわかる。弱い自分を憎むことから逃げるには、その弱さと対面する原因になったものを痛めつけるしか考えられなかったというのは、よくあるパターン。
 それにしても、これが実話というのがアメリカの底力だと思う。私だったら、おそらく取引する道を探るんじゃないかと思うし、出るところへ出た女性たちの勇気には敬服するしかない。そして協力者はちゃんといた。

 シャーリーズ・セロンはちょっと粗野な女性労働者をきちんと演じてえらいけど、何をどうしてもやっぱり美人だ。