虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

ノーカントリー(2007/アメリカ)

2008年09月07日 | 映画感想な行
NO COUNTRY FOR OLD MEN
監督: ジョエル・コーエン
   イーサン・コーエン
出演: トミー・リー・ジョーンズ    エド・トム・ベル保安官
   ハビエル・バルデム    アントン・シガー
   ジョシュ・ブローリン    ルウェリン・モス
   ウディ・ハレルソン    カーソン・ウェルズ
   ケリー・マクドナルド    カーラ・ジーン

 ベトナム帰還兵モスは、複数の死体が横たわる麻薬の取引現場らしい場所の近くで、200万ドルの大金を発見した。危険と知りつつ持ち帰ってしまう。その後、組織と殺人者シガーに追われる身となってしまう。モスは、愛する若い妻カーラ・ジーンを守るため、死力を尽くしてシガーの追跡を躱していく。一方、老保安官エド・トム・ベルもまた、モスの行方を追い始める。

 例によってallcinema ONLINEの引用ですが、
 80年代、メキシコ国境沿いのテキサスを舞台に、麻薬取引がらみの大金を持ち逃げしたばかりに、理不尽なまでに容赦のない宿命を背負わされてしまう男の運命を、原作の持つ神話的スケールそのままに描き出す。

 映画を観終わって、これを読むまで、主人公がモスだとは思わなかったりして。
 誰が主人公?と聞かれると、モスかなあ…とは思いますが、なんかドラマの真ん中にいる気がしません。冷血で感情の感じられない殺し屋シガー役のハビエル・バルデムの印象は強烈ですが、やはり主人公とは言えません。
 この映画を牛耳っているのは、原題に最も端的に示される自分を取り巻く世界の崩壊…崩壊というよりも、世界が確かなものであることへの疑念かな。
 トミー・リー・ジョーンズのいかにも骨っぽい、老練な保安官の嘆息に、今まで堅固であると信じていた足もとが、砂状化して音もなく崩れて行くような感じがする。それを感じられるものは全部ではないけれど、運命というものは全ての者にひとしく気まぐれで不条理。気づいたが負け。ちょっと大げさかもしれないが、虚無の前にたたずむ恐ろしさというのはこんなものだろうか。

 恐ろしい映画だったが、一番恐ろしい殺し屋が妙に「納得の存在」であったのが不思議で、しかも面白い。忘れられなくなりそうな映画。


最新の画像もっと見る