英語を母国語として、日本語と中国語にも造詣の深いリービ秀雄氏の万葉集の英訳に、その歌についての彼の鑑賞と、どう訳していったか(これがつまりは鑑賞なのだが)がついたもの。
新書版で、最初は持ち歩いていたのだが、どうしても読むときに声を出して読んでしまうので、家以外では読めない本だった。これからは書き写しながら、またじっくり味わいたい。
著者の言葉についての深い知識と鋭いセンスに感心するばかりで、特に、人麻呂についての「メジャーな表現者」という言葉には、これ、わたしが捜してた言葉だなあ、と深々ため息。奇をてらわず、難解でなく、しかも新鮮で本質を穿つ。傑作はみんなそういうもの。
枕詞の訳も「なるほど」と思うばかりだし、読んでいくと、たとえば富士の歌に入ってくる"lofty"という単語は富士とセットに感じられて、それこそ、英語における枕詞のようだ。叙景詩のイメージの広がり方は英語に訳すことで改めてその大きさに感嘆するし、大伴旅人の、それぞれが一幅の絵のような歌が英語でまさしく絵のように浮かびあがって来る。詞書の訳にもいちいち納得と発見がある。
英語の単語の持つイメージともとの歌のイメージの呼応は、よく知っていて、好きな歌では、期待を裏切られることがないのでとても嬉しい。
あをによし 奈良の京は 咲く花の にほふがごとく 今盛りなり
The capital at Nara,
beautiful in green earth,
flourishes now
like the luster
of the flowers in bloom.
"flourishes"の語感が素敵。これで、生い出ずる緑と咲き誇る花と、華やかな都の空気と季節の勢いまで輝いているよう!(後は瓦の輝きだけかな?)
大友家持の「眉引」の歌もあって嬉しい。
万葉集の素晴らしさ、日本語の豊かさをを再確認させてくれるとても読んで幸せになれる本。でもこの本でやはり万葉集を母国語として読める私自身の幸せを一番に感じてしまった。Lost in translationですね。リズムまではやはり移しきれないし、
川かみの根白高萱(たかがや)。あやにあやに さ寝さ寝てこそ、言に出にしか
垣(くへ)越しに麦食む子馬の はつはつに逢い見し子らし、あやに愛(かな)しも
多摩川に晒す調布(てづくり) さらさらに、何ぞ、この子の、幾許(ここだ)愛(かな)しき
私の特に好きな東歌のこの語感、英語になったらどこへ行くのかな。…というわけで、やっぱり原語が一番?と翻訳でしか読めない外国ものを考えてちょっと悲しくなったりもした。
それに素敵なオマケで、富士山という稀有な単峰型の国内最高峰を持つ日本という3つのプレートの接点の国(だから地震が多いけど)の特殊な美しさを改めて思わされた。
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新書版で、最初は持ち歩いていたのだが、どうしても読むときに声を出して読んでしまうので、家以外では読めない本だった。これからは書き写しながら、またじっくり味わいたい。
著者の言葉についての深い知識と鋭いセンスに感心するばかりで、特に、人麻呂についての「メジャーな表現者」という言葉には、これ、わたしが捜してた言葉だなあ、と深々ため息。奇をてらわず、難解でなく、しかも新鮮で本質を穿つ。傑作はみんなそういうもの。
枕詞の訳も「なるほど」と思うばかりだし、読んでいくと、たとえば富士の歌に入ってくる"lofty"という単語は富士とセットに感じられて、それこそ、英語における枕詞のようだ。叙景詩のイメージの広がり方は英語に訳すことで改めてその大きさに感嘆するし、大伴旅人の、それぞれが一幅の絵のような歌が英語でまさしく絵のように浮かびあがって来る。詞書の訳にもいちいち納得と発見がある。
英語の単語の持つイメージともとの歌のイメージの呼応は、よく知っていて、好きな歌では、期待を裏切られることがないのでとても嬉しい。
あをによし 奈良の京は 咲く花の にほふがごとく 今盛りなり
The capital at Nara,
beautiful in green earth,
flourishes now
like the luster
of the flowers in bloom.
"flourishes"の語感が素敵。これで、生い出ずる緑と咲き誇る花と、華やかな都の空気と季節の勢いまで輝いているよう!(後は瓦の輝きだけかな?)
大友家持の「眉引」の歌もあって嬉しい。
万葉集の素晴らしさ、日本語の豊かさをを再確認させてくれるとても読んで幸せになれる本。でもこの本でやはり万葉集を母国語として読める私自身の幸せを一番に感じてしまった。Lost in translationですね。リズムまではやはり移しきれないし、
川かみの根白高萱(たかがや)。あやにあやに さ寝さ寝てこそ、言に出にしか
垣(くへ)越しに麦食む子馬の はつはつに逢い見し子らし、あやに愛(かな)しも
多摩川に晒す調布(てづくり) さらさらに、何ぞ、この子の、幾許(ここだ)愛(かな)しき
私の特に好きな東歌のこの語感、英語になったらどこへ行くのかな。…というわけで、やっぱり原語が一番?と翻訳でしか読めない外国ものを考えてちょっと悲しくなったりもした。
それに素敵なオマケで、富士山という稀有な単峰型の国内最高峰を持つ日本という3つのプレートの接点の国(だから地震が多いけど)の特殊な美しさを改めて思わされた。
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…わたしのサイト名の元の歌ですが
これ、エディット・ピアフの
Parle moi d'amour
(日本語訳だと、「聞かせてよ愛の言葉を」でしたか?)
を聞いたときに、「あ、これだ」と思ってしまった。声も響きも。
娘のための代作だから、もっと若い声がいいのかもしれないけど。