虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

何ひとつ問題がないように見えるけれど、気にかかる子  5

2012-03-06 22:25:33 | 幼児教育の基本

◆くんのお母さんの接し方は、厳しすぎることもなく、甘すぎることもなく、過干渉でもなく、放任でもなく、

早期教育的ではないけれど、知能がしっかり伸びるように関わっていて、

◆くんの月齢にあった子どもらしさを大切にしている理想的なものです。

 

ですから、本当のところは、これまで通り、自分の子育てを信じて

自信を持って日々を重ねていけばよいのだと思います。

 

でも、子育てって、普遍的な正しさに近づいていくものではなく、

同じ方法が子どもの個性次第、発達の時期次第で良くも悪くもなるものですから、

誰にしたって、その都度、微調整は必要なはずです。

 

「わたしはどのように思うか」という個人的な感性でアドバイスさせていただくと、

ここはちょっとこうした方がいいんじゃないかな、という部分がいくつかありました。

それは、遊びやしつけのちょっとしたやりとりについてです。

また、◆くんの性質に添った知性や才能の伸ばし方についてです。

 

◆くんは、しょっちゅう、「あっ、そうだ!」とひらめくタイプで、

直観が優れている子のようです。

このタイプの子は、おちゃめで頭の回転が速いところがある一方で、

次から次へと新しいおもちゃを出したがったり、片付けを渋ったりすることろがあります。

◆くんがあれもこれもとおもちゃに手を出すので、「◆くん、ひとつお片付け。どれか使わないものを片付けてちょうだい」

とわたしが言うと、知らんふりしていました。

「◆くん、ひとつお片付け」と再度言うと、「ちょっと待って、これをしてから」とやりかけている

遊びを見せます。「それなら、それをやり終えたら、必ずお片付けよ」と言っている先から、

「あっ、いいこと思いついた」と次のおもちゃを取りに行きかけますから、

「ダメ、ダメ。まず、ひとつお片付け」ときっぱり言うと、一瞬、白目をむいて、「いやだ」とちょっと反抗しかけて、

すぐさま、ニコッと笑顔に戻って、片付けをはじめました。

 

◆くんとわたしがお互いの気持ち(片付けしたくないと片付けなさい)をぶつけあうシーンで、

◆くんのお母さんは◆くんに言葉で言い聞かせて、わたしに従わせようとしました。

◆くんはとても素直で聞き分けがいいところがあるので、言葉で言いくるめられてしまうと、

自分の気持ちはどこへやら、

少し静かになって、シュンとしていたかと思うと、「わかった」という風に

片付けはじめます。

それのどこがまずいのか、と思う方もいらっしゃるかもしれません。

でも、わたしは「大人側のこうしなさい」を押し付けるときには、

理路整然とした正しさで動かしてしまうのではなくて、

子どもに不満があるなら、まず不満を表現する間を与えてあげたいし、

「その不満、ちゃんと受け止めたよ。そうだよね。そういう気持ちだったんだね」と

こちらがその気持ちを、ちゃんと受け止めたよ、という事実を示してあげたいと考えています。

その上で、こちらが子どもに求めている責任をはっきり言葉にします。

 

いかにスムーズに子どもに言うことをきかせていくか、という

最短ルートでしつけていく方法は、

自分の意志と判断力を持っている子どもに対する態度として

どうなのだろう、と感じているからです。

子どもは自分の気持ちをしっかり主張して、ネガティブな思いもきちんと受け止めてもらっていると、

自分の意志で、自分で誇りを持てるような

行動を選ぶようになっていくものです。

 

 


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