虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子どもとの間で生じる『力のゲーム』から抜けるには? 

2016-02-21 19:37:35 | 連絡事項

レッスンにいらしていた年中のAくんのお母さんから、

こんな相談をいただきました。

 

レッスンにいらしていた年中のAくんのお母さんから、

こんな相談をいただきました。

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 「子育てで気をつけていたこと

という記事にあった先生のお母さんと妹さんのように、息子との関係がしょっちゅう

力のゲームになっていると思います。

ちょっとしたことがきっかけで、私は息子をコントロールしようとし、

息子は私をコントロールしようとして、争いがどんどんエスカレートしていきます。

私自身、子ども時代を通して、いつも父とこうした力のゲームをしていました。

今、息子との関係が、私と父との関係とそっくりになっているのが嫌で、

何とかそれを避けたいのですが、エスカレートしだしたら私がその場を離れる……

くらいしか解決のレパートリーが自分にないのです」

 ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- 


私はAくんのお母さんに、どのような場面で、どんな理由で、どんなふうに

Aくんとの揉め事がエスカレートしやすいのか詳しくたずねました。

Aくんは寝しなにお母さんから本を読んでもらって眠りにつく習慣があるそうです。

普段は読み聞かせを心待ちにしているAくんが、

時々「今日は、読まなくていい。今日は本を読んでほしくない」 と言うときが

あるそうです。

それなら……と、「お母さんは夕食の後片付けをしてくるわね」と告げると、

「それは嫌だ、やっぱり本を読んでほしい」と言い出し、

本を読もうとすると、「今日は本を読まないで」と騒ぐのだとか。

そうした優柔不断さにぶつかると、Aくんのお母さんは、

「とにかく早く読むのか読まないのか決めてちょうだい」とイライラが募り、

Aくんの方はお母さんのイライラを感じ取って、さらに頑固に、こうでもない

ああでもないと、どちらにも決めない態度を押し通します。

 

そうなるとAくんもお母さんも、本を読むか読まないかということは二の次となって、

とにかく相手を自分の意のままに動かしたいという気持ちに

駆り立てられていくのだとか。

そんな時にお母さんは、父と自分がずっと続けていた力のゲームを、

今度は息子とやっているのを強く感じるというお話でした。

 

 

レッスンにいらしていた年中のAくんのお母さんから、

こんな相談をいただきました。

 ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- ------- -------

 「子育てで気をつけていたこと

という記事にあった先生のお母さんと妹さんのように、息子との関係がしょっちゅう

力のゲームになっていると思います。

ちょっとしたことがきっかけで、私は息子をコントロールしようとし、

息子は私をコントロールしようとして、争いがどんどんエスカレートしていきます。

私自身、子ども時代を通して、いつも父とこうした力のゲームをしていました。

今、息子との関係が、私と父との関係とそっくりになっているのが嫌で、

何とかそれを避けたいのですが、エスカレートしだしたら私がその場を離れる……

くらいしか解決のレパートリーが自分にないのです」

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私はAくんのお母さんに、どのような場面で、どんな理由で、どんなふうに

Aくんとの揉め事がエスカレートしやすいのか詳しくたずねました。

Aくんは寝しなにお母さんから本を読んでもらって眠りにつく習慣があるそうです。

普段は読み聞かせを心待ちにしているAくんが、

時々「今日は、読まなくていい。今日は本を読んでほしくない」 と言うときが

あるそうです。

それなら……と、「お母さんは夕食の後片付けをしてくるわね」と告げると、

「それは嫌だ、やっぱり本を読んでほしい」と言い出し、

本を読もうとすると、「今日は本を読まないで」と騒ぐのだとか。

そうした優柔不断さにぶつかると、Aくんのお母さんは、

「とにかく早く読むのか読まないのか決めてちょうだい」とイライラが募り、

Aくんの方はお母さんのイライラを感じ取って、さらに頑固に、こうでもない

ああでもないと、どちらにも決めない態度を押し通します。

 

そうなるとAくんもお母さんも、本を読むか読まないかということは二の次となって、

とにかく相手を自分の意のままに動かしたいという気持ちに

駆り立てられていくのだとか。

そんな時にお母さんは、父と自分がずっと続けていた力のゲームを、

今度は息子とやっているのを強く感じるというお話でした。

子どもの問題で、「こんな場合どうすればいいか?」と考える時、

どんな育児書も教育書もしつけ本も、

読み物として子育てについての最低限の知識を得て、

子どもに関する想像力を広げる分にはよくても、

実際、現実の子どもとの関係を改善するにはあまり役立たないものです。

子どもはそれぞれ個性的で、その子の問題は、

他の不特定多数の子どもの問題とちがうのはあたり前。

ましてや、親も環境も子どもの状態をどのように読みとるのかという

感受のあり様(ある親には「わがまま」と映る子がある親には「子どもらしく

いきいきした子」と映ります)もまちまちなのですから、

マニュアル的な対応がうまくいくはずがありません。

それならいったい何を頼りに解決すればいいのかというと、

その子との間に生じている問題をなら、答えは、「その子」にあると考えています。

 

話題をAくんに戻して、Aくんがどのような子か、

優柔不断な態度を取る理由は何か、ぐずる時のAくんの目的は何か、

解決の糸口となるものはないかを探ることにしました。

 

Aくんは争いごとを好まない温和なおっとりした性質の年中さんです。

Aくんのお母さんが私にAくんについて相談をしていた間も、

傍らで静かに遊んでいて、

話がひと息ついたところで、遠慮がちに笑みを浮かべながら、

「そろそろさぁ、いい?もう……」とだけ口にしました。

「そうね。ごめんごめん。Bくん(いっしょにレッスンをしている子)が

お休みだからお母さんとつい話こんじゃっちゃったわね。

もう話はお終いにして、レッスンにするね」と言うと、

うれしそうに大きくこっくりしました。

 

「Aくん。今日はどんなことがしたい?このところ、ほかのお友だちはどんなことを

していたかな……。そうそう、海賊船を作ったり、迷路を作ったり、光の実験を

したりしていたけれど……」。

私が言い終えるのを待っているようだったAくんは、控えめな口調で、

「あのね、先生、ぼくの話をきいて」と言いました。

Aくんの控えめな頼み方にあわせて、こちらも気持ちを落ち着けて、

「ちゃんと聞くよ。なあに?」と答えると、

Aくんはかばんの中からプラスチックの廃材を取りだして、

「これで、潜水艦が作りたいんだよ」と言いました。

「このところが、くるくる回るようにして、

本当に水の中に潜る潜水艦にするんだ」とのこと。

 

私が、

「潜水艦の見本がいるよね。これに潜水艦の絵が載っていたんじゃないかな……」

と言いつつ何冊か図鑑を引き出すと、

Aくんは、遠慮がちに、「先生、ぼくに選ばせて。自分で探したい」と言いました。

といっても、ピンポイントで潜水艦を探している風ではなく、

科学の図鑑をめくりながら、興味がわいた場面を指さしてはあれこれおしゃべりを

していて、最終的に私が差し出した『大図解21世紀大百科』の

『しんかい6500』を目にして、「それにする」と言いました。

マニピュレーターという深海生物などを採集するためのリモコンの腕の部分に

強く心を引かれたようです。

 

 

工作を始める前、Aくんは、

「あのね、先生。水に入るようにするから、プラスチックじゃないとダメだよ。

紙はダメなんだよ」と言いました。

「ペットボトルやプリンの容器があるよ。そうそう、油の空き容器も

水に濡れても大丈夫な潜水艦が作れるよ。作ったら、お風呂で遊べるね」と言うと、

「ダメだよ。無理だよ。だって、ぼくはまだ咳が出てるからお風呂に入れないから」

とAくん。そういえばマスクをしています。

「それなら、風邪が治ったら、お風呂で遊べるよ。だって、ずっとずっと

風邪引きのままで、ずっとお風呂に入れないわけじゃないでしょう?」

「うん。ずっとじゃないと思う。たぶん」

 

 

Aくんは普段は一から十まで自分で工作する子で、形やサイズなどは気にもとめずに

箱や紙をザクザクと切って思いを形にしています。

今回の潜水艦作りは、子どもには扱いにくい素材ばかりでかなり私が手伝うことに

なりました。

それでも一部始終、自分でやりたいAくんは、

穴を開けたり、ビニールテープで固定したりする部分は私に任せているものの、

どこにどんな形のものをつけるのか、マニュピュレーターはどうやって動かすのか、

スクリューをどうやって回転させるのか、細かいところまでこだわっていました。

途中で、Aくんは母体部分の油の空き容器に小石を入れたがりました。

「石を入れたら水に潜るから」と言うのです。

でも、教室にある小石は空き容器の口より大きくて、苦心して押し込もうとしても

ひとつも入りませんでした。

そこで前回のレッスンで色水を作ってペットボトルに入れた話をして、

「水を入れてみたらどう?口をしっかり封するなら、色つきの水を入れるのも

きれいだし」と言うと、

「水も石と同じみたいに重くなるね」と言ってとても喜んでいました。

 

 子どもとの間で生じる『力のゲーム』から抜けるには? 3

 

 

子どもとの間で生じる『力のゲーム』から抜けるには? 4

 

子どもとの間で生じる『力のゲーム』から抜けるには? 5

 

お家にあるもので、知育パズル作り

2016-02-21 07:27:11 | 通常レッスン

 2歳後半のAくん、Bくん、Cちゃんと写真のパズル で遊びました。

(子どもが課題通りできない時は、教えてできるようにさせるのではなく、

できない状態からどのくらいのレベルのどんな課題なら意欲的に取り組めるのかを

察するようにしています。そうして、本人が積極的にやりたがる課題を環境の中に

取り入れるようにします。)

 

お家でも課題のカードを見ながらパズルで遊べるように

3人とも持っているというデュプロブロックの問題カードを作りました。

 

「高い高い高いところで、おっとっと……と落ちそうなカバくん」という問題。

 

 

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折り紙を10色…(黄緑と緑オレンジと赤などを含みます)用意します。
半分に折り紙を折って、切ります。
一方の半分は、さらに細くなるように半分に折って、のりで貼ります。
もう一方の半分は、正方形になるように半分に折り、
それをさらに半分に折って切て、小さな長方形をたくさん作ります。

それを折り紙の裏に貼って、さまざまなパターンの問題を作ります。

☆くんは、自分で作った問題だったので、少し難しい問題にも積極的にチャレンジ
できました♪

 


ピタゴラ装置作りで、玉の転がり方について考える

2016-02-20 21:22:44 | 理科 科学クラブ

小1の子たちの科学クラブの様子です。(年少の弟のCくんも参加)

「ピタゴラスイッチみたいなのが作りたい」というAくん。

子どもたちの希望は次の3つ。

 

①大きくて長いサイズで。

②電動スロープを使いたい。(トミカ用です)

③クレーンとかロボットの脚の部分とかで、ビー玉をスタートさせたり、

途中の障害物にしたりしたい。

 

電動スロープは、以前、ビー玉のような小さいサイズのものを上らせようとして

隙間の穴に詰まらせて困ったことがあります。

そのことを持ちだして使わせることを渋っていると、

「ビー玉じゃなくて、ピンポン玉とか穴に入らないようなボールを使うから大丈夫」と

頼みこまれました。

こんなふうに「それは、やめてほしいんだけど……」と反対されると、

俄然、やる気に燃えだす子どもたち。

 

電動スロープにピンポン玉を乗せてスタート。

するとピンポン玉のサイズが原因で、途中でスロープの側面にひっかかって止まって

しまいました。

その問題を解決するべく黄色い木の玉を後ろから上らせると、

うまく前のピンポン玉を押しながら上ってくれました。

ふたつの玉の動きがあんまり面白いもので、子どもたちは大歓声。

弟のCくんは、興奮しきった声で、どうしてピンポン玉が上がっていくのか

解説しながら、「ぼくはね、すごく、すごく面白いんだ。ぼくはね、ピタゴラスイッチが、

すごく、すごく、すごく面白いんだ!!」とピョンピョン飛び回っていました。

 

 

うまくいくかうまくいかないかわからず、ヒヤヒヤするくらいの実験は本当に面白いです。

ものさしを使ったレールは危険ゾーンで、ボールが外に飛び出していました。

そこでAくんがブロックを使って玉が飛び出す部分にブロックの壁を作っていました。

 

Aくんは問題を解決するのが上手な子で、いつもピンポイントで一番重要なところだけ

改善しようとします。少ない労力で大きな効果……?

飛び出す部分に2ヶ所だけ壁を作るあたり、Aくんらしいなぁと思いました。

 

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その点、別グループの年中のDくんの玉の飛び出し防止策は下の写真の通り。

完璧主義で仕上げのきれいさにもこだわる子なので、

絶対玉が飛び出しようもない場所まですべてブロックの板で覆っていました。

 

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Aくん、Bくん、Cくんのピタゴラ装置に戻って……。

玉の種類を変えると上り方は予測に反するものばかりでした。

 

軽いピンポン玉を追うように黄色い木の玉が追いかけていきます。

 

「どちらが速い速度で転がっているのか?」考えてみました。


白いピンポン玉は黄色い木の玉の前を転がっているので、見た目はピンポン玉のが

速いのですが、どちらが転がるのが速いのか考えてみると、

なかなか難しいのです。

転がっている最中に、ピンポン玉と木の玉の間の距離が離れて行くので、

それを見ると白いピンポン玉の方が速いのがわかります。

 

でも最後には、黄色い木の玉の方がピンポン玉より遠くまで飛んでいました。

↑Bくんの作ったゴール。本当は履いてきた靴(今日の雨で濡れている靴です)

の中に玉が入って「ゴール!」としたかったようですが、却下。養生テープでゴールを。

 

クレーンを使って、面白いからくりが作りたかったBくん。

でも、ちょっとめんどくさがり屋のため、実現のために工夫を凝らすのは

早々と諦めて、レール上の障害物としてクレーン車を置くことにしていました。

 

これじゃ、いくらなんでも面白くないんじゃないか……とも思われるのですが、

「玉の力でこのクレーンを動かすことができるか」

「少しの力でクレーンが走り出すように調整して、玉の力でスタートさせられるか」など、

試しがいのある実験ができました。

 


紙のぬいぐるみ の 作り方  と 算数の文章題

2016-02-19 18:22:03 | 工作 ワークショップ

紙のぬいぐるみの作り方を紹介します。

 

絵を描いて、もう一枚紙を重ねて、絵を切ります。

綿(ティッシュペーパー)を入れる場所をのこして、セロテープで二枚の紙を貼りあわせます。




これは綿を入れるところを残してセロテープで貼りあわせたキティーちゃん。



1年生の子の作品です。ティッシュペーパーを適量詰めて、

セロテープで開いている口を貼り終えたらできあがり♪

 


工作をよくする子って、手を使う作業を嫌がりません。

算数の学習の後で、自発的に算数の文章題をいろいろ作っていました。

絵が上手かとか作るものが立派かといったことを気にせず物作りを楽しんでいると、

能動的に物事に関わる姿勢が身についてきます。

作文や物語作りや上のような算数の文章題作りも自分から進んで

するようになる子がいます。


展開図への興味につながる簡単工作

2016-02-19 18:19:02 | 工作 ワークショップ

展開図への興味につながる簡単な工作アイデアを紹介します。

 

最近のお菓子の箱は形がかばんのように見えるかわいらしいものがけっこうあります。

  

お菓子の箱の底の糊をはがしてぺったんこにして、作りたいサイズに切ります。

 

側面を切って箱を開きます。

 

底の幅だけ切り込みを入れます。

 

切り込みを折って組み立てます。

 

ビーズや紙で留め具を作ります。

 

輪ゴムを貼る時に、上からホッチキスでとめると

はずれにくくなります。危ないので上からテープでカバーします。

 

取っ手をつけたらこんな感じ。


2~4歳児のけんか どのように対応したらいいでしょう?

2016-02-19 08:44:51 | 幼児教育の基本

2~4歳児というのは、それはよく揉めるものです。

とにかく相手の子の遊んでいるもので遊びたいし、

仲良く遊びを発展させるほどの能力もありませんから、

物を取り合ってるだけで遊び時間が過ぎていくこともあります。

 

そんなときの親御さんの介入の仕方によって、

子どもが精神的にしっかりしてきてお友だちと上手に遊べるようになる場合と、

いつまでも幼いままでとどまって、少し心配な態度をしめすようになる場合に

分かれるように思います。

 

わたしが少し心配な態度だと感じているのは、

その子の感情と態度が、かけ離れているように見えるケースです。

 

たとえば、おもちゃの取り合いでけんかになっているとき、

「そのおもちゃが欲しいんだ!」という欲求が、相手の欲求とぶつかって、

「そのおもちゃでどうしても遊びたい!貸すのはいや!おもちゃを取られそうに

なったらいや!」と、

思い通りにいかない事態にパニックを起こして、わんわん泣いて、

しまいにお母さんに抱きついてなぐさめてもらう、

感情が鎮まってくるまですねている……という具合に

幼い子の感情が素直に表現されているのはとてもいいことだと思うのです。

 

幼児はまだ感情をコントロールするのが難しいですから、

何度もそうした体験を重ねるうちに、次第に、

感情をコントロールするのが上手になっていくものです。

 

そうしたネガティブな気持ちを親御さんに受け止めてもらって、

自分でも認めて受け入れていくうちに、他の子に対する理解や、自尊感情が

芽生えてきます。

そのうち意味もなくけんかばかり繰り返すよりも、協力しあって楽しく遊ぶ方が

楽しいことを学んでいくはずです。

 

わたしが気にかけているのは、けんかをしていても、

その子自身の感情とかけ離れたところで揉めているように見える子です。

 

物を取り合っていても、実はそれを本当に欲しいと思っているわけではないようで

大人に取りあっていた物を取り上げられても、

さっぱりしていて、たちまち別の物に興味を移していきます。

 

いろんな場面で、その子の気持ちが見えにくく、

ニコニコとよく笑うけれど、感情そのものは希薄な印象があって、

簡単に大人の指示によって動かされてしまう場合、

ちょっと子どもとの関わり方を見直す必要があるかもしれないと感じています。

 

子どもの揉め事を解決する際、

大人同士の親しい関係を保つために、子どもの気持ちがほとんど無視されたままで

「揉めさえしなければいい」「けんかにさえならなければいい」という

解決法が取られている場合、

そうした気になる態度につながりやすいように感じています。

 

「わが子には、相手の親から心が優しい良い子だと思ってもらうような

態度をしめしてほしい」という一方的な親の期待が押し付けられている場合も、

子どもが気になる態度を取るようになりがちです。

 

心理カウンセラーの袰岩奈々さんが、

『感じない子ども こころを扱えない大人』という著書のなかで、次のように書いておられます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「授業中にほかのことをしているので、注意をするが、ぽかんとしている。

何を注意されたのか、わかっていないようだ」

「『そんなに言うことを聞かないのなら、もう帰りなさい』というような言い方をすると、

本当に帰ってしまう。子どもに言葉のニュアンスを受け取ってもらえない」

(略)

子どもとのコミュニケーションがうまく成り立たない……教員たちのこういう訴えから

気づくことは、相手の気持ちや自分のなかにおこる危険や不安といった感覚、感情を

子どもたちがうまく感じとれていないのではないか、ということだ。

小学校で知識を学び始める。その段階までに、開発されるべきものが育っていない。

そんな子どもたちを多く抱えながら、知識を伝えることを主とせざるをえない、

という矛盾が今の学校にはあるのではないだろうか。

では、知識を学び始める前までに開発されるべきものとは、なんだろうか。

それは「自分の感情を十分に味わって、その自分なりのコントロール方法を、

ある程度身につけているかどうか」ということだ。

かつては、気持ちを取り扱うための訓練が、家庭のなかで自然になされていた。たとえば、

兄弟ゲンカをしたり、家族との家族との駆け引きをしたりしながら、自分の気持ちを自覚し、

それを表現する方法を自分なりにみつけ、磨く機会があった。

(略)

けれども、今の子どもたちは、そういった予行演習の場がない。突然に学校といった

公の場に出ることになる。

(『感じない子ども こころを扱えない大人』 袰岩奈々 集英社新書)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

袰岩奈々さんは、自分の子どもの子育てを振り返って、

「年齢がいってから子どもを産んだせいもあって、親である私は

モノの名前や状況についての説明には長年慣れ親しんでいたものの、

情緒的な反応やイマジネーションの世界からは遠ざかっていた」とおっしゃっています。

絵本に猫がいれば「ネコよ」、ハリネズミはいれば「ハリネズミよ」と反応して、

ネコが気持ちよく眠っていてかわいいとか、ハリネズミの針がツンツンして

さわると痛そうだとかいった、情緒的・感覚的な反応が出てこなくなっていたそうです。

そうした子育ての体験から、「もしかすると、世の中全体でこういった「知的」なものを

乳幼児期からいっぱい注ぎ込む傾向が強くなっていて、

子ども自身、自分のなかにわき起こる感情をもてあましているのかもしれない。

気持ちを言葉にしたり、コントロールする体験が少なく、

自分なりの気持ちのコントロール法を編み出す機会が少なくなっているのではないか?」

という疑問を導きだしておられます。

 

虹色教室でグループレッスンをしていると、

子どもたちが本当に意味で、生き生きと学び出すのは、

友だちやわたしの前で素のままの自然な自分が出せて、それでいて

心から共感しあえ、笑いあえて、互いの欠点が許しあえる友だち関係ができてきた

あとからなのです。

 

それまでは、学ぶことに対して斜に構えた馬鹿にしたような態度をとったり、

そわそわ落ち着かなくて、心から楽しそうでなかったり、

優等生ぶっていても、成果ばかり気にして好奇心が鈍っていたりするのです。

 

それが、人との関わりのなかでリラックスして楽しめるようになり、

自分の感情と素直につながるようになってくると、面白くない訓練や

難しくてどう取りかかったらいいかわからないような問題にぶつかるのも

ワクワクする体験のひとつになってくるのです。

あらゆることに心が開かれてくるのです。

 

難しい問題にぶつかると、心もとない気持ちになって、

友だちと協力しあってそれを打破しよう、人と相談しあうのは

こんな風に大切なのかと実感できます。

また、それをやり遂げて、みんなのヒーローになりたいという気持ち、

「すごいな~」と友だちを賞賛する気持ち、

アイデアを出すのがうまい子、根気がある子など、それぞれの特技を生かして

互いの良い面を生かしながら、認めあって物事にあたるすべが身についてきます。

わたしの役目はそうした関係をサポートしていくことですが、

そうした関係が成り立つには、

まずそれぞれの子が自分の感情と素直につながっていなくてはならないし、

友だちとけんかをしあえるほど仲良くならなくてはなりません。

自由に感情を表現して、それをコントロールしていくのを学べる時間や場が必要なのです。

 

この夏、ユースホステルでのお泊りレッスンを実行したところ、

小学生の算数クラブや科学クラブの子らに大きな変化が見られました。

勉強に対する意欲と責任感が劇的に変化した子が何人も出たのです。

といっても、ユースホステルで特別な勉強をしたわけではありません。

ただ、子ども同士、ゆったりした時間のなかで親しくなったのです。

 

2~4歳の時期には、とても大切な課題があります。

『自己統制力を育てる』ということです。

 

2~4歳児が、子ども同士で上手に遊べずに、

しょっちゅう大人の介入を必要をとするような揉め事を起こすのは、

大人の手と心を借りて、自分を大きく成長させていかなくてはならない時期だから

ともいえます。

 

大人たちが遠巻きに微笑みながら見つめるなかで、

子ども同士、平和に幸せそうにじゃれあって遊んでいるという……2~4歳の子を持つ

親御さんたちが期待する「子どもの遊びの世界」のイメージは、

テレビCMのための作りあげた虚構の世界か、

子犬たちがドッグランで繰り広げる遊びの世界に近いものです。

 

実際の2~4歳の子たちというのは、人間の子どもとしての育ちの課題を持って

いますから、いろいろと自分で揉め事を創り出しては、

大人から適切な指導を引き出そうします。

 

自分より先に生まれた大人という先輩の手と心を借りて、今の自分より一段高い次元の

精神的な力と態度を獲得しようとがんばっているのです。

 

獲得する力が『自己統制力』なんていう一生を左右するような能力ですから、

1回、2回の練習で身に着くはずもありません。

それで、くる日もくる日もギャーギャーワーワーわめき散らしては課題とぶつかって、

大人に助けられながらゆっくりゆっくり自分の心と身体を作りあげていくのが、

2~4歳児の姿です。

 

「大人の適切な指導」なんて言葉を使うと、

「ああ、しつけのことね」「きちんと正しいしつけを教えていくことね」と

感じるかもしれません。もちろん、そうではあるのですが、

けんかをするから、「けんかしてはだめ」「おもちゃを貸してあげなさい」

「お友だちに優しくね」と教えることが、この時期のしつけだと思われているとしたら、

ちょっと問題があるかもしれません。

 

なぜなら、いつまでも子どもの自己統制力が育たないままで、

親の前ではいい子でも、集団の場や、お友だちの前ではわがまま放題だったり、

小学校に入学してからも2、3歳児のように聞き分けがなかったり、

指示には従うけれど、自主性や意欲が乏しかったり、

自己主張ばかりして自分勝手に振舞うような場合も、

先に挙げたようなしつけはしっかりしていることが多いからです。

 

山梨大学の教育人間科学部の加藤繁美先生によると、

「子どもの自己統制力が育っていく道筋にはひとつの構造がある」そうです。

「子どもが自己統制力を自分のものにする過程で、その途中を省略させられたり、

ゆがめられて自己形成させられた場合、

うまく自分をコントロールできなくなってしまう」というお話です。

 

それでは、自己統制力というのは、どのように育っていくのでしょう?

『人とのかかわりで「気になる」子』にあった加藤繁美先生のお話を簡単に

要約して紹介しますね。

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まず、まだ泣くことくらいしか自己表現できない赤ちゃんの時期に、

大人たちが子どもの発する言葉にならない子声(自覚しない要求)を

読み取り、ていねいに「意味づけ」し続けること。

そうしたコミュニケーションの繰り返しのなかで、自分の要求が音声と対応すること

を知っていきます。

同時に人と関わる心地よさを無意識世界に形成していきます。

 

次に、「愛されることの心地よさ」をベースに、音声で表現できることを知った

要求世界を、自分の興味・関心にひきずられるようにして

どんどん表現するようになります。

(『人とのかかわりで「気になる」子』ひとなる書房より要約しています)

 

要求を主張する主体として成長していくこの時期、大人の対応が重要です。

つまり「受け止めながら、方向づける」という対応が、ていねいになされることが

重要です。大人の側に余裕と辛抱強さが必要になってきます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

どうして大人の側に余裕と辛抱強さが必要なのかというと、

この時期の子どもの要求は、融通が利かない一方向のものだからです。

どうしてそんなにわがままな要求なのかというと、幼児はまだ幼児だからで、

そうした原石のような要求を表現しつつ、

しだいにそれに磨きをかけて、自分の力でコントロールできるものにしていく

という課題を抱えて生きているからです。

 

でも、ちまたで見かける大人の幼児への対応は、

子どもの要求自体を無視する、機嫌を取って紛らわす、大人同士の関係維持のために

要求を変形する、要求を表現できない場に連れていく(習い事や

ショッピングセンターなど)というものが多いです、

また、大人が子どもに対する余裕を持って辛抱強く接することが我慢できないため、

その言い訳として、

「子どもには小さいときから、きちんとしつけないといけない」「最初が肝心」などの

言葉を使って、問答無用で大人の意のままに従わせるという場面もよく見かけます。

一方で、子どもの言いなりになって、大人として

子どもの成長を方向づける仕事を放棄してしまっているケースも目立ちます。

 

長くなってしまったので、続きを読みたいという方は、

2~4歳児のけんか どのように対応したらいいでしょう?4


県の人口当てクイズ

2016-02-19 07:46:30 | 通常レッスン

算数難問クラブの過去記事から、

問い合わせのあった「県の人口当てゲーム」を紹介します。

 

いただきものの地理カードでわたしが考えた適当なルールで遊んでいただけなのですが、

推理の好きな小学生たちのツボにピンポイントではまって大盛り上がりでした。

 

このカードは、日本全国の県ごとに2枚ずつカードがあって、

1枚の表面は地図上に色を塗った形で描いてあり、

その裏面には特産品や県の特徴が4つイラストで描いてあります。

もうひとつの県のカードの裏面は、県の地図と、面積と人口が書かれています。

 

 ゲームのルールはこうです。

 

適当な県のカードを一枚選んで表面(人口が見えないよう)にして場におきます。

 

このカードの県の人口を、それぞれが言い当てていって、

一番近い数字を言った人が勝ちです。

 

人口を当てる際に、その県の特産品のカードとヒントとなるカードを3枚指定して、

見ていいことにしています。またその県に行ったり、住んだりしたことが

ある人は、自分が見聞きしたその県についての印象を話します。

 

最初に「神奈川県」の人口を当てることになりました。

神奈川県の特産品や県の特徴は、次の4つ。

だいこん、箱根寄木細工、相模湾、ペリー来航。

だいこん畑とか海とか、人口が少なそうなイメージ。

 

ヒントとなるカードは、子どもたちが相談して決めています。

「近いから。都会だから」ということで、千葉県を選びました。

千葉県の人口、612万人。

もう一枚を選ぶ時点で、神奈川県のサイズが小さめなことに着目した子が、

同じくらいのサイズの県ということで、ヒントに富山県を選びました。

人口は110万人。

 

「110万人……?」とどよめきが起き、

「それなら、神奈川県は、110万人と612万人の間だろうと予測する子ら。

 

残り一枚のヒントを選ぶのに、

「東京がいい」だの、「東京は、人口が多すぎるよ。何千万とかいってるんじゃない?」

と言う子がいて、静岡県が選ばれました。人口380万人。

 

本当は、これでヒントは終わりなのですが、

どうしても東京も見ておきたいということで、東京もチェックしました。

1284万人。

 

それから神奈川県の人口当てタイム。

270万人とか、450万人といった数値が出た後で、答え合わせをすると、

「892万人」でした。えっ?と驚く子たち。「やっぱり都会だから?」

 

その後、愛知県の人口当て。

ひとり愛知県から来て参加している子がいて、「市の人口なら知っている」と

ニコニコしていたのですが、考えてみると、愛知県に市がいくつあるのか

わからないし、愛知県内でも市によって人口がかなり異なるはずですよね。

単純に

その子の市の人口に市の数をかけたらいいわけでもないとわかって、悩んでいました。

そこで着目したのが、自動車産業。

 

ひとりの子がヒントに広島県を選びたがりました。

「なぜ?」とたずねると、

「名古屋で有名な自動車の工場の支店があるから……とのこと。

兵庫県なんかも候補にあがっていました。

 

こんな風に進んでいく人口当てゲーム。

「旅行に行ったら、田んぼばかりで田舎だった」とか「住宅がいっぱいあった」とか

「都会だった」とか、自分の印象を語ったり、

テレビで見聞きした情報から推理したり、県の面積で判断したり、

それぞれが推理するためにオリジナルのアイデアで挑んでいけるところが

とっても面白かったです。

 

抽象的な言葉を使いたがる小3生たち

2016-02-18 19:58:01 | 通常レッスン

小3の女の子たちのグループレッスンで、

幼い子たちに人気の『11ぴきのねこ ふくろのなか』という絵本の次のような

ワンシーンについて、集まったAちゃん、Bちゃん、Cちゃんに質問をしました。

 

「はなをとるな」という立て札があるのに、

花畑に飛び込んで行くねこたち。

「だめっ、とってはいけなーい」と

さけんで止めるとらねこたいしょう。

でも、次のページでは、とった花を頭にさして行進するねこたちの中に

とらねこたいしょうの姿が……。


「このシーンね、小さい子たちに、どうしてとらねこたいしょうはお花をとったんだと

思う?」とたずねると、

お花があったから……なんていうとんちんかんな答えが返ってくるのよ。

小さい子たちには、どうしてとらねこたいしょうも花を取ることになったのか、

考えるのはとても難しいみたい。そこで、3年生のお姉さん方にぴったりの理由を

言葉にしてみてもらいたいのよ」


すると、すかさず読書家のAちゃんが、

誘惑されたんじゃない?誰かに誘われたってわけじゃないけど、

みんなが取っているから心が誘惑された……とか?」と言いました。

とBちゃんが「孤独。孤独だったんじゃない?自分だけが花を取らないと寂しいから」

と言いました。

と、それを聞いたCちゃんが、「疎外感を味わったってことかな」と言いました。

このシーンについて、子どもたちの口からそうした言葉が飛び出すと思って

いなかったので、びっくり。

大人に質問したとしたら、こんないい答えが返ってきたでしょうか?

正解が想定してあるわけではない問いに自分なりの答えを出そうとする態度に、

ちょっと感動しました。

 

ちなみに、「○○するな」という立て札があるのに、

どうしてねこたちはするなと言われることをしたのかな?」とたずねると、

「好奇心」「悪いとわかっていてもやりたくなる気持ち」「いたずら心」

といった答えが返ってきました。




観察していると面白いペット(生き物?)

2016-02-18 18:19:08 | 連絡事項
お家で観察するためのちょっとしたペットについて質問をいただいていたので、
オカヤドカリについての過去記事をアップします。観察用に買うペットとして、
熱帯魚等を扱っている店で100円くらいで売っているタニシもおすすめです。
アカハライモリも飼いやすかったです。
 
 
虹色教室に陸やどかり(地上で生活するやどかりです)が来て以来、
たちまち No.1の人気者になりました。
 
なかなか目的を持った作品を作ろうとしない子も、
やどかりハウス作りや、やどかりの公園作りには大喜びで取り組みます。
 
ザリガニとタニシの話はこちらです
 
たった380円のペットですが、その頭の良さと、動きの面白さ、
生態の不思議にどの子も目を丸くして驚きます。

やどかりの数倍の高さの囲いを作って閉じ込めると、
仲間のやどかりの背中に乗った後で、貝殻からできる限り身体を出して
グーンと伸びをして、爪を塀に引っかけて登るのです。

また、一度、そこは登れなかったと学習すると、他を探索しはじめ、
次のチャレンジ時には、その記憶を活用して逃げ出そうとします。

見ている間中、子どもたちは大フィーバー!!
「スゴイ!スゴイ!」
「そうだ!迷路を作ってみたらどうだろう?」
とアイデアが次々浮かびます。

きちんとデーターを取って、生態についてもっとくわしく調べてみたいです。

やどかりは手の平に乗せると、貝からにゅっと出てきて
とても可愛らしいのですが、手の平の熱で低温やけどしてしまうそうです。
ヤドカリを飼う方は、気をつけてくださいね。

すごく面白いのはセンサー付きのロボットみたいに、
少し離れた場所で手をかざすだけで、
方向を変えたり、貝のなかにもぐりこんだりすることです。

男の子はもちろん女の子たちにもとっても人気です♪

小3の★くん、☆くんと、おかやどかりの能力を測るための実験方法について

話あいました。

生き物ですから、できるだけ負担がない形で、

どんな能力を持っているのか調べる方法はないかと意見を出し合っていたら、

★くんが「迷路を作って、脱出できるか調べてみたい」と言いました。

わたしはやどかりと光の関係を調べたかったのですが、それはまたの機会に。

 

★くん、☆くんのふたりで写真のような迷路を、こしらえていました。

入り口から出口までぐるっとひとまわりしなくてはならない上、だんだん状の障害物も

ありますから、「これはいくらなんでも無理じゃないの?」と

まさか完走するやどかりがいるとは誰も思わないまま、

3匹のやどかりを入り口に置いて、外からふさぎました。

 

すると、しばらく丸まっていたやどかりは、次第に活発に動き出して、

迷路の中へと入っていきました。

そして曲がり角も障害物も何のその、数分で出口に現れました。

途中で引き返したやどかりは1匹だけで、後の2匹はらくらく完走。

 

やどかりたち、高い壁に上るときは、何段かに重なってお互いを踏み台にして

乗り越えるんですよ。能力、高いですね。

 

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前回、やどかり迷路を作っていた小3の男の子たちが

広さや障害物(暗闇をくぐるトンネルなども増えました)をレベルアップさせて

新しいやどかり用迷路を作っていました。

 

入り口から出口までは上の迷路をくねくね曲がりながらぐるっと一周しています。

「いくらなんでも、これだとやどかりは途中で戻ってしまうのでは?」と

思っていたのですが、やどかり3匹は慣れたのか(??)

すべて、短い時間でクリアー。迷ったり、戻ったり、とまってしまうやどかりも

いませんでした。

 

やどかりの能力、本当に高いですね。

子どもたちが、やどかりが赤いライトにどんな反応をするか

確かめていました。


実体験と知識の間を埋める

2016-02-18 09:24:55 | 日々思うこと 雑感

小学2~3年生のユースホステルでのレッスンに行ってきました。

小学生の男の子たちのあまりのパワフルさに(驚異的な元気さに……)

かなりバテました~。

通常レッスンの科学クラブや算数クラブの子たちが主のお泊りだったので、

「やんちゃぞろいのこのメンバー。これはとんでもない騒ぎになりそうだ」と

察した私は、かつて虹色教室の生徒だった今は高校生のKくんにボランティアを

お願いしたのですが……これが大成功でした。


小学校2~3年生というと、自立心が芽生えてきて、男の子は男の子っぽさが

出てくる時期。高校生のお兄ちゃんといっしょに、いろいろな活動をするのは、

とっても楽しかったようです。晩遅くにKくんが帰宅する際には、じゃれて背後から

Kくんに飛びついて甘えている子もいました。

 

レッスンでは、私が持って行った工作素材や道具を使って、それぞれの子が、

自分でやってみたいことや、お友だちと協力して実現したいことをイメージして、

実験したり、工作をしたり、実験道具を自分で作りあげたりしました。


ビー玉を途中でジャンプさせて、目当ての場所に転がしていくコースを作っています。

 



ビー玉コースターを作り、内部を見えないようにしている積み木の箱を通って、

その先にビー玉が落ちるようにしたいと考えた2年生の◆くん。

ミリ単位のずれでも、途中でビー玉が止まってしまう作品のため

「みんな、気易く触らないで!」と、木の反り方をけわしい表情で見つめる大工の

棟梁みたいな雰囲気で、作業を続けていました。

◆くんが何か作るとき、どんどん楽しんで作っていくという形には満足できなくて、

自分の描いた最終目標を達成するまで、自分にも他人にも厳しいのです。

できあがった自慢のビー玉コースターを何度か試してみて、

「やったー。100パーセントの確率で転がるようになったぞ!」と喜んでいたので、

他の子たちが、「100パーセントの確率」という言葉の真偽のほどを

確かめに集まってきました。


それでは、実験開始……という時、私が、

「じゃぁ、10回転がして、全てのビー玉がゴールに着くかやってみようか?」と言うと、

科学や算数のうんちく好きの●くんが、

「だめだよ。100パーセントか調べるんだったら、100回やらなくちゃ」と

それだけでレッスン時間が終わってしまいそうな提案をしていました。

それから、私が、「ちっちゃい子たちにも、ビー玉転がす役をやらせてくれる?」と◆くんにたずねると、
「だめだよ。100パーセントの確率って言っても、それは同じ条件でしないと
うまくいかないんだから」とブーブー。

そんなピリピリした空気の中で、本当に100発100中、

ビー玉がゴールまで行くのか実験開始。

それが、数回、転がしたところで、ビー玉が木箱の中で止まってしまいました。

この実験にのめりこんでいて男の子数名が、◆くんといっしょに箱のふたを開けて、

ビー玉が止まった原因を言いあっていました。◆くんいわく、

「五回に1回くらいは、中の点検をして、動いた積み木を元通りに直すようにしないと、

100パーセントにはならない」とのことでした。




電池やモーターを使った実験や工作を繰り返している子たちもいました。

単三電池一本で、モーターを2つ回して、同時に豆電球も点けることができるのか、

何が電流を通すのか、いろいろ試していました。

途中で、「電流の力で風船が割れるのか試したい」という子が加わって、

風船に接触する部分で導線同士をつないで、むき出しになっている導線の部分に

電流が流れる際に、風船が割れないか試してみたいというもの。

これを見た他の子たちが、「風船は電流を通さないよ」と注意しました。

「わかっているよ。線と線はつないでいるんだよ。電流は流れるように。それで、

風船にひっつくようにしているだけだよ」と実験主くんたち。

この実験、うまくいかなかったのですが、他にもいろいろ面白い実験をしてみて、

楽しめました。

ボランティアのKくんには、電池や豆電球を扱う際に、どんな使い方をすると危険なのか、

実体験をまじえて、みんなに指導してもらいました。

(Kくん、電池のプラスとマイナス極を直接、導線でつないで、熱が発生したことが

あるそうです。私も、子どもたちがいろいろと自分の発想を実験で試したがる幅が

広がってきたので、危険な実験と安全な実験の線引きの仕方や、目新しいことを試す際には必

ず大人にしていいかたずねるなどを、徹底するように気をつけています。




↑の写真は乾電池を直列つなぎにした時、乾電池の数と豆電球の数を変えると、

豆電球を流れる電流の量を数値で表すとどのようになるかクイズをしているところです。

(乾電池が3個で豆電球が2個なら、「2分の3」など)一生懸命考えていて、

分数ということまではわかっているけど、間違える子が多かったです。

電流の流れ方にしても、子どもたちは、プラス側とマイナス側から同時に流れ出して、

電球のあたりで合流している……と考えていました。

今は、正しい答えを教え込んで、無理に納得させるのでなくて、

さまざまな意見を出させながら、たくさん体験して本当の意味で納得するまで、

「本当はどうなんだろう?」と不思議に思う気持ちを共有しあうようにしています。

「図鑑を見れば正しい答えが載っている」と思うようになると、自分で考えずにすぐに

解答を見て、記憶した答えを言うことに固執するようになりがちです。

まず最初に、自分の目で見て、自分の頭で本気で考えを練っていく姿勢を育てることが

大切だと考えています。



今回のユースホステルでのレッスンでの算数の学習テーマは、

「科学遊びの中の算数」と

「線分図を自分で描いて考えること」と

「体積」でした。

科学遊びの中の算数というのは、

実験に使う材料の重さが目分量でわかるようになることと、使った量が、

元の分量のどれだけにあたるのかを当ててもらいます。

3年生以下の子たちも、スライム作りをしながら、

糊を元の量の○分の○使ったのか(分数)、

小数だとどれだけにあたるのか、

割合だと何割や何パーセントくらいか、

元の重さから考えて使った量は、だいたいどれだけになると思うかといったことを

話題にしていると、すぐに暗算で答えるようになってきます。

今回は固めのスライムを作って「体積」について学び、

底面のたてが5センチで横が6センチ高さが4センチの直方体の体積と等しい

底面のたてが5センチで横が3センチの直方体の高さはどれだけになるかという問題を

出すと、だいたいの子が理解して解けていました。

7や9などの数をあてはめて、答えを出してみて、その数の変化の様子から推測して、

「8センチ」と自力で答えを出した子もいました。

ペーパー上で習う算数が、実際、自分の生活の中のさまざまなことを考えるのに

役立つことをあまり知らない子は多いです。

一緒にさまざまなことをして過ごしながら、実体験の中で考えることと、

ワークで考えることをバランス良くしていると、

数学的な感性が磨かれていきます。

 



たとえば、↑の写真の糊は使用前は750グラムでした。

減った量を目で確かめて、分数で言い表すと全体のどれくらい使って、

どれくらい残っているのか、約何グラムにあたるのか、などを考えました。

幼い子たちは、手に持たせて、「これが750グラム」と身体で重さを味あわせると喜びます。



休憩時間に将棋で勝負。コマを並べている最中です。

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↑工作タイム。

材料が少ないので、あるものでどう工夫するのか知恵を絞って作るのが面白かったです。

輪ゴムがなくて、ガックリきていた子のアイデア。

水風船を切って、ゴムの代わりに……。ナイスアイデア。確かに風船は伸び縮みしますね。



紙コップくらいしか材料がなかったのですが、飲んだ後のペットボトルを材料に加えたり、

ひもを利用して動かす仕組みを加えたりしていました。







↑磁石で上下するエレベーターの作り方を教えていると、それを改良して、

磁石の位置を横につけなおして、全面と背後の両方に開く駅のエレベーターを作っていました。