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虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

「しんどい、疲れた」が口癖になっているだらだら癖が目立つ子 についての相談へのお返事 

2013-06-20 14:35:43 | 教育論 読者の方からのQ&A
個性的な資質を伸ばすのに大切な3歳児の記事に次のような
質問をいただきました。
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今まさに直面している事態です。
もうすぐ4歳の娘ですが、「しんどい 疲れた」が口癖になっていて何をするにもとにかく時間がかかります。
トイレに行くだけで15分~30分、着替えるのに2時間
ご飯を食べるに一時間以上。何も遊ばないで終わる日も多いです。そして毎日「早くしなさい」というのが苦痛です。どこまで見守ったらいいのでしょう?
いつもボーっとしているように見えて、頭の中はお話の世界でいっぱいに見えるのですが。
本人なりに頑張っているのはよくわかるだけに生活面や体を動かしたり(お姫様ごっことバレエごっこを除く)手を動かしたりへの興味の薄さが気にかかっています。
先生ならこんな子供には どう対応されますか?
お話を聞いている時間だけが幸せそうです。

コメントの質問者さんとお子さんには、絵本大好きクラブ他、何度か教室に足を運んでいただいたことが

あります。

活発で利発なお子さんでした。

教室で用意していた全ての活動に

積極的に参加していました。

語彙も豊かで、お友だちと仲良く遊べます。

全体に月齢よりも発達のいいしっかりさんで、

それをお母さんにもお伝えしていました。

そんなわけで、お子さんには何ひとつ問題が感じられませんでした。

 

が、お母さんの言動や子育てのあり方には、

来ていただく度に、いくつか気がかりな点がありました。

物事のネガティブな面に目が行きがちで、

子どもがどんなにいきいきと楽しそうに活動していても、

お母さんの表情はそうした子どもの姿にOKを出せないわだかまりが感じられましたし、

後から、お子さんの欠点とはいえないような欠点についてだけ気にかけておられました。

欠点とはいえないような欠点とは、人と関わるのが上手で、

何にでも興味を示して熱心に関われていて、

発達に凹凸のある子たちのようなひとつのものだけにこだわる姿がないことに対して、

「ひとつのものにこだわってほしい」と言うような

偏った物の見方をしておられたので、お母さんと話し合いの場を設けました。

 

数ヶ月前にレッスンにいらした際、お子さんはすぐにお友だちと仲良くなって、

工作にもゲームにも算数遊びにも意欲的に取り組んでいました。

わたしがする問いかけにも即座に返事をして、笑顔を見せていました。

その日、ひとつだけ気になったのは、お母さんのことを振り返りもせずに、

あまりにもがんばろうとしすぎているように見えたことだけでした。

大人であるわたしや環境がその子に求めているものに

機敏すぎるほど、すぐに応えて、がんばろうとする一方で、

「ちゃんとできているでしょ?」と

誇らしそうにお母さんを振り返る様子がなかったことです。

わたしやお友だちには満面の笑みを向けるけれど、

お母さんに向かっては笑いかけるのではなく、

ひたすらがんばって、ちゃんとしている姿を見せることでだけ自分を表現しているようでした。

 

現在のお子さんの様子を目にしているわけではないので、推測でしかありませんが、

数ヶ月前のそうした状態と、

コメントにあるような、

まるで燃え尽きたように何をするにもダラダラして、

「しんどい」が口癖になっているお子さんの状態というのは

関連があるようにも思われます。

 

お母さんの子どもへのまなざしや捉え方や期待の仕方のせいで

家庭が、いつでもエネルギーがチャージできるような安心できる場所じゃなくなっているのではないか

と感じています。

その原因には、お母さんがシングルフォーカスに陥りやすいという

特徴を持っておられることがあるんじゃないかな、と感じています。あるひとつのことが

気になりだすと、全てがその色に染まってしまって、それ以外の物の見方ができなくなるような

場面が何度もありましたから。

また、他のお母さんたちからわが子がどのように見えるのかを察したり、(とてもしっかりしている

意欲的な子と映っていたはずです)

子どもがどのように感じ、親である自分をどのように見えいるのかに気づいたりすることが

苦手なように見えました。

子どもは一方的に親から観察される「物」ではなくて、

お母さんから返ってくる言動のフィードバック次第で、

元気を失ったり、不安になったり、できることもできなくなったりするということを

理解しておられないようでもありました。

 

今は、湿度や気温が高い日が続いていますから、

体調を崩したり、疲れを訴える子は多いと思います。

そんな時は、「ちゃんとしていない」ことにやきもきするよりも、

水分を取らせたり、身体の一部を冷やしてあげたりして

ゆっくり休ませることが大事です。

また、質問者さんのお子さんのように

もとが頑張り屋の優等生タイプの子は、ある時期、愛情の欠如感のようなものが

表に出て、十分に甘えさせてあげないと、攻撃的になるか、意欲を失って怠惰になるか、

どちらかに偏る時期があります。

 

「どこまで見守ったらいいのでしょう?」という質問をいただいていますが、

おそらく見守っているのではなく、

イライラしたり、不安になったりする気持ちを抑え込んで、

独特の緊張感を子どもに伝えているのではないか、と思います。

子どもが何ができていて、何ができないのかチェックするのをやめて、

体調管理に気をつけたり、

お母さんに甘えやすいようなのんびりした時間を作るよう心がけると、

「しんどい、疲れた」と口にするのは減ってくるかもしれません。


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (アキコ)
2013-06-21 21:54:03
「お母さんの子供へのまなざしや捉え方や期待の仕方のせいで」
という部分を読んで、はっと思い当たる節がありました。
息子はボウリングに夢中でもう5年間、突っ走って
きたのですが、最近やる気がありません。
好きな気持ちは変わりはなさそうなのですが、上達
しよう、という気が感じられず、ダラダラ練習しています。
(昔は違ったのにおかしいなあ・・・)と、来月の県大会を
控え、親はやきもきしていました。

でも、結局、いい成績を期待するのは、親である自分の
ためなんだなあ、と気がつきました。子供を通して、自分
がほめられたかったのだと感じます。
親のそんなまなざしを常に感じていた息子は、
「親のためにボウリングをやっているんじゃない」と
訴えつづけて、燃え尽きてしまったのかもしれません。

「子供のため」という言葉が巧妙に独り歩きして、
親の希望を満足させる理由にすり替えられてしまう・・。
それがあまりに巧妙なので、子供のためなのか、自分
の見得のためなのか、自分ではなかなか区別がつきません。
ときどき立ち止まって考えてみようと思いました。
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