虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

遊びと学びの中間ゾーン

2022-05-29 21:43:45 | 教育論 読者の方からのQ&A

工作はただ工作するだけでも、巧緻性や創造力や芸術的な感性を高めてくれる楽しい活動です。

でもそれではちょっともったいないな~と感じるのです。

工作活動を支援する大人がほんの少し工夫するだけで、工作は小学校に上がってからのさまざまな分野の学力の基盤を作ってくれるものだからです。

そのためにはどんな工夫をすればよいのか、私が気にかけている点を書いてみます。

工作教室やアトリエに通っていると、「もう工作はしたから十分」と大人は思ってしまいがちです。

けれどもそうした創作活動だけを主とした場とは別に、工作と勉強の中間ゾーンを意識した活動時間も持っていただきたいのです。

工作中、どんなことに気をつけると学力につながるのか……というと、まずひとつは、


★ 見積もる力をつける

ということです。

見積もる力は、大人の指示に従いながら、集団で同じものを作っているうちはなかなか

身につきません。

どんな簡単なものでもいいから、自分で作りたいものがあって試行錯誤すると、こうした力はアップします。

たとえば、四角形の周りの長さが20センチ、縦の長さが4センチの長方形の面積を求める問題を見積もる力は、箱やひもを使って工作しているときに、材料が足りなかったり、思うように作れなかったりする経験の積み重ねから生まれます。

準備しすぎず、完璧を目指しすぎず、教えすぎないことが工作を学力に結び付けます。

もうひとつ。

★ 道具の使い方を教えることも大事。

それも完成した道具よりも、ひもとプッシュピンと鉛筆をつないだコンパスとか、お皿を使った円の描き方とか……が最適です。

なぜかというと、そうした原始的な道具は、辺や中心点の意味をそのまま子どもに悟らせることができるからです。

また、ものさしの目盛りの読み方や、はかりや分度器の使い方をマスターさせると理科でも算数でも役立ちます。

教え込むのでなくて、ゆっくり子どものペースでマスターさせていきます。

★ 動きを加えて、理科の知識を増やし、工作道具で遊ぶことが、実験の結果を理解することにつながるようにする。

★ さまざまな角度からのものの見え方に興味がわくように工作する。

★ 手を使ったさまざまな作業を正確にマスターさせる。

★ 素材について学ばせる

★ 積み木やブロックなどシンプルなもので、頭を使う。

デュプロブロックとレゴの小さなパーツのブロックでは、デュプロの方が見積もる力を育ててくれる一面があります(本格的なレゴ作品は別)。

パーツの形が決まっているので、計算しながら組み立てないと、形が作れないからです。

どんどん複雑に、難しいものを・・・と親心でおもちゃのレベルを上げることは、学力につなげるという点からいうとあまりよくないように思います。

 

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先の記事と重なる部分が多いのですが、遊びと学びの中間ゾーンを意識した活動の様子をいくつか紹介しますね。

 

小学生の女の子ふたりの『お祭りの屋台ごっこ』です。

分類する」作業が遊びに含まれていると、楽しさが増すし、遊びの世界が広がります。

カラフルなおはじきやビー玉を色分けしては、キャンディー屋さん、ジュース作り、魚の配達などをして遊んでいます。

 

水風船を膨らませて、ヨーヨー釣りを作りました。

 

ろ過する」作業を喫茶店遊びに入れています。

 

屋台で売る小物として指輪を作っていました。

「折り紙を半分に折り、もう一度半分に折る」という作業で、どの折り方が適切な細さになるのか考えました。

こんなシンプルな物作りでも、折った後の形を推理するようにしていると、算数のセンスが身についていきます

 

 

屋台とは関係がないかもしれませんが、『ピッケのつくるえほん』というソフトで手作り絵本を作って、販売するコーナーを作りました。

本作り、マンガ雑誌作り、新聞作り、詩集作り、写真集作りなども遊びに取り入れると、遊びの質が上がります。

 

クレープ製造機。

 

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この日の午後に来た小1の男女のふたごちゃんと幼稚園の女の子のレッスンの様子です。

午前のレッスンの女の子たちが作っていた屋台用の遊び道具をもとにして、自分たちが考えた遊びをいろいろと発展させていました。

 

色違いのスライム作り。

 

ヨーヨー釣り用の釣る道具は、ティッシュペーパーにモールの釣り針をつけて作ります。

簡単な工作だからこそ、物差しで測る作業や「1㎝はどれくらいの長さか?」「10㎜は何㎝か」といったことに気をつけて作ることができています。

 

濃度の異なる砂糖水を作って、二層ジュースを作っています。

 

水で膨らむジェルを使って遊ぶついでに試験管に入れて遊びました。

それぞれの数を描きだしたり、大きい球のときと小さな球のときでは、どちらがたくさん入るのか推理したりしました。

  

「Aの5」「Fの6」など、座標を言って攻撃するバトルシップゲーム。

とても面白かったようです。

 

付録のおさるのてんびんばかりで遊びました。

付録で遊ぶときは、説明書が自分で読めるようになるようにサポートしています。



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