虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

広汎性発達障がいと診断されたり、広汎性発達障がいの疑いを指摘されたら 27

2012-02-25 16:34:23 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

●くんは人に対してとても警戒心が強い子です。

慣れないうちは、話しかけると

口をへの字に曲げたまま、聞こえないふりをしていて、

●くんのお母さんに向かってしつこいほどに

色の名前をたずねるなどしていました。

 

でも、会う回数を重ねるうちに、

●くんはわたしがすることに

とても興味をしめすようになりました。

また話しかけると、クリクリした目を輝かせて聞きいったり、

ニヤッと笑ったり、返事をしたりするようになりました。

 

それでも、いざ遊びや工作に誘うと、再び強い警戒心をあらわにして、

「いやっ!しない!」と活動に参加しようとはしませんでした。

 

●くんのお母さんは、同年代の他の子らが喜んで参加している活動に

毎回参加しようとしない●くんの態度を心配していましたが、

わたしが見たところ、●くんは活動の内容に強く好奇心をそそられている上、

よく理解もしていて、ああだこうだと口を挟んでもいるので心配いらないと感じました。

 

ただ、何か新しい展開があるたびに、身体をこわばらせて緊張する癖は、

本人が楽しいと思う体験の幅を少しずつ広げていくことで

克服させていく必要を感じました。

 

そこで課題のひとつとして、

「お人形や電車が、●くんにとっては怖くてたまらない体験を代わりにやってみせて、

●くんがそれを面白いと思って眺めることができるようになること」

を目指すことにしました。

 

 

わたしは電車のおもちゃを一台手にして、

「怖いなぁ。でも渡りたいな。ガタガタしたら、どうしよう?怖い怖い、やっぱりやめた」

と、高架になっている線路を渡ろうかどうしようか迷っている

姿を演じました。

●くんは、「やめてぇ!怖いよ。やめっ!」と

声を荒げて止めに入っていました。

 

わたしは、何度も渡りかけては、「やっぱり怖い!やめる!」と

戻ることを繰り返していました。

しかし、何度目かに、●くんが「渡っちゃだめ!怖いよ!」と止めるのも聞かずに、

「やっぱり渡りたいよ」と言いながら、電車を手にして、線路の上をすべらせました。

それを黙って見届けていた●くんは、プイッと後ろを向いて

黙っていました。

わたしもそっとその場を離れて別の活動を始めました。

 

●くんはその日、それまでなら「ダメ!いや!怖い!」と強い抵抗をしめしていた

活動に対して、

「先生がするくらいならいいか」「ちょっと触るくらいならいいか」「怖そうだけど、怖くないかもしれない」

という許容範囲を広げていきました。

 

●くんの知覚の仕方や身体の感覚は、ある面で過敏すぎるほど敏感なのですが、

知能や心の発達はしっかり成長しているので、

無理のない課題を設定して、少しずつ慣れさせていけば、

ほんの数十分の間にも、怖がらずにできる活動を、ひとつひとつ増やしていけるのです。

 

 

 

 

 


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1 コメント

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Unknown (まろん)
2012-02-26 10:40:30
HSPなのかもしれないですね。HSPとは、"Highly Sensitive Person "の略で、「非常にセンシティブな人」という意味だそうです。精神的、体質的なことにも刺激に対して反応しやすい人のことだとか・・・。2ちゃんのまとめサイトからの受け売りで申し訳ないのですが・・・。
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