虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

何をするのもグズグズのろのろ〜子どもを手伝いすぎたら何もできない子に育ちますか?

2021-05-18 23:13:12 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

「とにかく何をするのもグズグズのろのろ〜

学校の用意に他の子の何倍もかかります。

でも手伝いすぎたら何もできない子になりますよね?」

そんな相談を受けることがよくあります。

私もこの答えに自信がなくて、いつも迷い迷いお返事していたところがありました。

そんな時、

『問題行動がぐんぐん解決できる』 千谷史子  日東書院

の中で次のような話を読んで少し安心しました。

 

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子どもに手助けしすぎ?と悩む必要はありません。

ASDの特徴を持つ子を育てていると、「どこまで親が手助けするか」の

線引きで思い悩むことがあるかと思います。

時間がない時ときに、学校に遅刻させまいとつい、着替えを手伝ってしまったとき。

(省略)

ASDの特徴を持つ子が抱えるいろいろな問題の中で、

見過ごされているのが、「スピード」の問題です。

同年代の子がさまざまな課題をこなす平均スピードにくらべると、

ASDの子はいろいろなことに時間がかかります。

このことは、ASDの子どもの持つ「機能の問題」です。

一つのことが人の3倍以上時間をかけてできたところで、その子に

1日72時間あるかというとそうではありません。

もしすべてのことをこなそうとしていたら、すぐに時間が足りなくなって、

どうしても身に付けさせたいことが後回しになってしまします。

毎日の生活の中で「どうしても追いつかない!時間がない!」という

場面であれば、その時は親が手助けしていい場面です。

どんどん手伝ってあげてください。

それはいわゆる「甘やかす」ということとは、全くちがう問題です。

人間としての大事なルール「人を傷つけない」「人の物を取らない」などの

絶対やってはいけないルールをクリアーしていれば、

家庭で「いつまでに、ここまでしつけをしなければならない」という

ノルマはないと思います。

(省略)

たくさんのことを手伝ってあげても、それで子供がダメになることは、

まずありません。それどころか、人に手助けできる人間に育つのです。

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何をするのも遅い、忘れる、コツコツがんばれない、反抗的ではないのに

大人に従えない、聞いていない、極端な気まま、体がぐにゃぐにゃするなど‥‥‥

発達障がいがあるのかどうかわからないけれど、気になる子というのはいます。

他の子はきちんとできているのを見ると、

親も教師もつい声を荒げて叱ってばかりになることがあります。

ただそうした集団のペースに乗れない子は、

わがままや怠けでそうしているのではなく

機能上の問題で、そうならずにおれない場合がよくあります。

ですから叱るのではなく、手伝ってあげることで心が安定し、

さまざまなことにチャレンジしようという思いも育ってくるのです。

 

私は自分がADD(注意欠陥)傾向を持っているので、

機能上の問題ということがよくわかります。

ワーキングメモリーの働きが悪かったり、

集中したい対象が背景から際立たず、刺激が一度に流れ込んできがちで、

何をするのも他の人の何倍も時間がかかるのです。

おまけに繰り返しチェックしても

苦手な作業の時は必ずミスします。

ですから、私はADHDやADDの傾向を持って生まれたら、

他人の何倍も真面目に挫けず努力し続ける性質と

他の人より時間をかけてもミスをたくさんするのですから、

自分が助けられる部分では快く助けてあげること、

失敗しても気にかけず何度も挑戦する楽天性が大事だなと感じています。

 

私にADD傾向がありますから、うちの子も(特に息子)は

苦手なことと得意なことに極端な開きがあります。

そのため小学生時代の子育てでは、ASDの子ども同様に

「どこまで親が手助けするか」の悩みをたくさん抱えていました。

おまけに、手伝う私が同じ部分が苦手とあって

手伝ってもなお、忘れ物の多い、困った子でした。

そんなわけで欠点についてはあまり叱らず甘すぎる親できましたが、

そのおかげで、成長するにつれて、最初から得意であった部分はさらに伸び、

欠点は時間がゆっくり克服させてくれたな〜と感じています。

 

それと、小学生時代、たとえ他の子よりミスが多くても

それゆえに息子に身についた

「他の人より真面目に挫けず努力し続ける」性質と

それでもミスをたくさんするので、自分が助けられる部分では快く助けてあげる点や、

失敗しても気にせず何度も挑戦する楽天性は

この子の人生を良い方向に導いてくれると信じています。

 

 ASDにしてもADHDやADDにしても、脳の機能の問題なので、

周囲が「甘え」と取り違えて、自分の信念で厳しくしつけようとすると、

結局は子どもをダメにしてしまうのではないでしょうか?

特に診断を受けていない、何とかがんばれば周囲についていける発達障がいの子は

自分自身が壊れてしまうまでがんばってしまいます。

また、親も何とか子どもを他の子に追いつかせようとして、

必要以上に自分も子どもも追い詰めてしまいがちです。

そんなとき、「『子どもに手助けしすぎ?』と悩む必要はありません」

という言葉を心にとめておくと、ブレーキがきいていいですね。

次回に続きます。→ 何をするにもグズグズのろのろ〜(続きです)

 



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