虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

一緒に活動することが難しい自閉症の子とする工作

2021-06-28 10:48:21 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

会話がほとんど成り立たなかったり、

多動が激しかったりする自閉症の子と工作を楽しむためのアイデアを紹介します。

 

会話が成り立たず、忙しく動き回り、ひたすらおもちゃを散らかしていく状態にある

自閉症の子に、物作りの魅力を教えていくのは大事なことです。

能動的に考えながら行動することを学ぶ機会になりますし、

他者の模倣をしたり、習ったりするのも上手になっていきます。

 

とはいえ、少しの間、椅子に座っているのも難しい子と

工作を楽しむのは簡単ではありません。

虹色教室でどんな工夫をしているのか、書かせていただきますね。

 

<自閉症の子と工作を楽しむ際のポイント>

① 子どもがこだわるもの。しつこく遊んでいたもの。触っていたもの。好きなもの。

好きな感触、好きな動き、好きな展開などを工作に盛り込む。

  

3歳の自閉症の★くんは、線路が二股に分かれているところや道路の信号があるところ、

ふみきりなどが好きな子です。

電車や車が分かれ道やふみきりや信号などで一時的に止まった状態になり、

それからどうしようかと判断するシーンで、じっと覗きこむような仕草をする姿が

何度もありました。

 

まだ関わることが難しい子ですが、

こちらからそうしたシーンを作って遊びに盛り込むと、かわいい笑みを浮かべます。

工作をする際も、★くんが好きな「乗り物が一時的にストップするもの」を

作って遊ぶことにしました。

 

コミュニケーションを取ることが困難な4歳の☆くんは、

ビー玉をペットボトルに入れていく遊びをしているときに、

でこぼこしたサイズの大きなものを入れようとしては、

軽くパニックを起こして、こちらに助けを求め、

何とかそれを押し込むことができると、とてもうれしそうにしていました。

ほかの場面でも、力を入れて何かを押し込むときに集中し、

うまくいくと大喜びしていました。

そこで、かなり集中して取り組まないと成功しないようなレベルの

穴に何かを入れる作業を工作のテーマにしました。

 

② の子がすでにできるレベルの見本を見せる。

できたものが、本人にとって魅力的であることが大事。

最初は、「貼る」「切る」などの1手順でできる工作にする。

 

★くんに見せた工作見本は、「紙に曲がるストローの一部を貼っただけ」という

「ふみきり」です。

「カンカンカン~」と言いながらストローのふみきりを上げ下げすると、

そわそわして椅子に腰かけるのを嫌がっていた★くんが関心を示しました。

 

 

もう一本のストローも貼るところを見せると、★くんも自分でテープでその上から

貼って、近くにあったスパンコールも貼っていました。

 

 

ミニカーが好きな自閉症の子と工作するときは、このように台紙となるものに、

「テープで何かを貼るだけ」でいろいろな作品作りが楽しめます。

 

モールも貼ると面白い素材です。簡単にトンネル等ができます。

 

モールを与えるときは、端の針金部分で目などをひっ掻いてしまう事故を防ぐために、

あらかじめ先の部分を少しだけ折って渡してください。

 

★くんは、モールを貼ったあとで、磁石でそれを吸い寄せて遊ぶのも

喜んでいました。

 

口に物を入れることが多い自閉症の子と磁石を扱うときは

絶対に口に入れることがないよう注意してください。

飲み込むことができない大きいサイズの磁石を購入することをお勧めします。

 

紙を貼ると、ビー玉を転がすコースターなどもできます。 

☆くんとは、太めのストローを台紙に貼ってから、

小さな発泡スチロールの玉をストローの中に入れて行く作業をしました。

小さな玉を扱うのは集中力がいります。

 

 

☆くんは少し負荷がかかる作業をさせた方が

注意の転動を防げるようで、お母さんが驚くほど根気よく、

この遊びに熱中していました。 

 

 

③  感触が気持ちいい素材を用意する。 

 

上の写真のような、さくさく切るときの感触が気持ちいい「カラフルダンボール」は

切りたい気持ちを誘います。

貼ってから折り目をつけるのが楽なので、ビー玉コースターとして遊べました。



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