
小学校3年生ごろに、それまでできていたことが急速にできなくなって
積み上げてきたものがガラガラとなだれを起すような現象を
よく見聞きします。
私立小の先生、9歳の壁をとなえる方々、英語教室の先生、私立に子どもさんを通わす親御さんなど……
口をそろえて、その話をなさいます。
この小3のガラガラ~現象は
幼児期から優秀で、暗唱や暗記に優れていた子、ごく普通の子、発達障害を持っている子のいずれにもみられる子どもの姿です。
このように小学校3年生ごろに、さまざまなことができなくなる子がいる一方、
小学校3年生ごろを転機に急速にさまざまなことができるようになる子がいます。
うちの息子も、3年生ころ、それまでの脳の使い方と一変するように
論理的で深い思考が可能となったように感じました。
虹色教室の子どもたちを見ていても、
ある子たちは、この時期からできなくなることが増え始め
ある子たちは、この時期から急速に伸び始めます。
小3の時期にできなくなっていく子と、でき始める子の違いを
観察していると、
それは、幼児期と小3までの生活の中で、
意味記憶が多かったか、エピソード記憶が多かったかで
分かれるように思われます。
記憶にはいくつかの種類があり、エピソード記憶と意味記憶に大きく分けることが出来ます。エピソード記憶は、特定の日時や場所と関連した個人的な経験に関する記憶です。意味記憶は、感情や経験と関係なく習って覚える知識に相当するものです。
この習って覚える意味記憶が多い子(受験をした子にも多いのですが)は、
この小3時期の脳の中で刈り込みやなんかが起こる時期に
何もかもすっかり忘れていくという恐ろしい現象をおこしがちです。
しかし、経験にもとずくエピソード記憶の多い子は
この時期からたちまち、それまでの経験からくる感覚で、
難しい課題を急に理解しはじめるのです。
昨日は、小2、3年生の女の子たちのグループレッスンでした。
そこで、小3のMちゃんに
2と4の間の数で、分母が12である分数のうち、これ以上約分できないものは何個ありますか。
という、今までしたことの問題にチャレンジしてもらいました。Mちゃんは、家庭でのさまざまな経験の多い子、エピソード記憶の多い子です。
そこで、「2っていうのは、親戚のおばちゃんがくれた大きなカステラ2本!だよ。食べるときは、12にスライス!
12分の1個を、あと1個だけちょうだい~っていうよね。」と説明すると、
「そうよ。いっくらなんでも、大きい1本さして、1個ちょうだいはありえないありえない~」とMちゃん。
「だから2は12切れに切った24個分わかる?」
「わかるわかる、うすいやつが、12で1本だかえら、それが2本ってことでしょ」
「なら4だとどう?」
「12分の48」
「そしたらその12分の24と12分の48の間には、
12分の25とか、12分の26とか……ずっとあるよね。
あと1個だけ食べさせて!だめ、もう食べすぎ!って言いあいになるだろうけど」
このように、かなり抽象的な難しい問題が、エピソード記憶に照らし合わせて
解けるようになるのが、3年生でもあるのです。
小学校での文字学習と、幼児期の膨大な体験が出会う
接点ともいえる時期なんですね。
でも、そこで、文字学習オンリー、意味記憶オンリーで、エピソード記憶が乏しい子たちは、たちまち難しい概念を易しくする手立てがなく、
丸暗記したものをどんどん捨てだして
とても困ったことになるのです。
幼児期に何が必要か……というと、大人がしきらず、
子どもなりに、もう1個ほしいな、交渉してみようかな、○ちゃんと交換しよう、○ちゃんばっかり勝ってずるいな、分けたけど、○ちゃんのが多いみたい……など
いろんな感情体験をするのに勝るものはないと感じています。
喧嘩の仲裁をしすぎたり、大人が正しさを押し付けすぎるのも、(ぽけ~っと幼児期に大人にたよりきって考えてしまうので)
子どもが+、-,×、÷、分数などを、くやしい~という感情で記憶するのを
さまたげます。


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積み上げてきたものがガラガラとなだれを起すような現象を
よく見聞きします。
私立小の先生、9歳の壁をとなえる方々、英語教室の先生、私立に子どもさんを通わす親御さんなど……
口をそろえて、その話をなさいます。
この小3のガラガラ~現象は
幼児期から優秀で、暗唱や暗記に優れていた子、ごく普通の子、発達障害を持っている子のいずれにもみられる子どもの姿です。
このように小学校3年生ごろに、さまざまなことができなくなる子がいる一方、
小学校3年生ごろを転機に急速にさまざまなことができるようになる子がいます。
うちの息子も、3年生ころ、それまでの脳の使い方と一変するように
論理的で深い思考が可能となったように感じました。
虹色教室の子どもたちを見ていても、
ある子たちは、この時期からできなくなることが増え始め
ある子たちは、この時期から急速に伸び始めます。
小3の時期にできなくなっていく子と、でき始める子の違いを
観察していると、
それは、幼児期と小3までの生活の中で、
意味記憶が多かったか、エピソード記憶が多かったかで
分かれるように思われます。
記憶にはいくつかの種類があり、エピソード記憶と意味記憶に大きく分けることが出来ます。エピソード記憶は、特定の日時や場所と関連した個人的な経験に関する記憶です。意味記憶は、感情や経験と関係なく習って覚える知識に相当するものです。
この習って覚える意味記憶が多い子(受験をした子にも多いのですが)は、
この小3時期の脳の中で刈り込みやなんかが起こる時期に
何もかもすっかり忘れていくという恐ろしい現象をおこしがちです。
しかし、経験にもとずくエピソード記憶の多い子は
この時期からたちまち、それまでの経験からくる感覚で、
難しい課題を急に理解しはじめるのです。
昨日は、小2、3年生の女の子たちのグループレッスンでした。
そこで、小3のMちゃんに
2と4の間の数で、分母が12である分数のうち、これ以上約分できないものは何個ありますか。
という、今までしたことの問題にチャレンジしてもらいました。Mちゃんは、家庭でのさまざまな経験の多い子、エピソード記憶の多い子です。
そこで、「2っていうのは、親戚のおばちゃんがくれた大きなカステラ2本!だよ。食べるときは、12にスライス!
12分の1個を、あと1個だけちょうだい~っていうよね。」と説明すると、
「そうよ。いっくらなんでも、大きい1本さして、1個ちょうだいはありえないありえない~」とMちゃん。
「だから2は12切れに切った24個分わかる?」
「わかるわかる、うすいやつが、12で1本だかえら、それが2本ってことでしょ」
「なら4だとどう?」
「12分の48」
「そしたらその12分の24と12分の48の間には、
12分の25とか、12分の26とか……ずっとあるよね。
あと1個だけ食べさせて!だめ、もう食べすぎ!って言いあいになるだろうけど」
このように、かなり抽象的な難しい問題が、エピソード記憶に照らし合わせて
解けるようになるのが、3年生でもあるのです。
小学校での文字学習と、幼児期の膨大な体験が出会う
接点ともいえる時期なんですね。
でも、そこで、文字学習オンリー、意味記憶オンリーで、エピソード記憶が乏しい子たちは、たちまち難しい概念を易しくする手立てがなく、
丸暗記したものをどんどん捨てだして
とても困ったことになるのです。
幼児期に何が必要か……というと、大人がしきらず、
子どもなりに、もう1個ほしいな、交渉してみようかな、○ちゃんと交換しよう、○ちゃんばっかり勝ってずるいな、分けたけど、○ちゃんのが多いみたい……など
いろんな感情体験をするのに勝るものはないと感じています。
喧嘩の仲裁をしすぎたり、大人が正しさを押し付けすぎるのも、(ぽけ~っと幼児期に大人にたよりきって考えてしまうので)
子どもが+、-,×、÷、分数などを、くやしい~という感情で記憶するのを
さまたげます。




わが子は来年3年生になりますので、今回の記事にちょっとドキドキしてしまいました(笑)
エピソード記憶、うちの子は多く体験してきたのかなあ、と。
子供に何かを教えるというスタンスではなく、一緒に楽しむ、驚く、感動する、考える・・・そういったことが、子供の心に何かを残していけるのでしょうね。
3年生まであと少し・・ていねいに子供の目線を大事にしつつ、一緒にていねいに過ごしていきたいなと思いました。
そんな私に大変勉強になる内容でした。
たくさん遊び、体験し、その中から多くを得てもらいたいと思いながらも、今から着実に積み上げなければ困る(と母が思う決して先取りではない)計算や漢字ですら時間のかかる息子を見ると
時間の使い方に悩んでしまいます。
習い事は本人の希望でゼロですが・・・
今日も晩ご飯の用意を一緒にしようと楽しみにしていたのに、宿題に時間がかかってタイムアウト・・・なかなか難しいです。
我が家もkaimaさんと全く同じです。
小2男子です。
もともとスローで、最低限の事のみで1日が終わる毎日。
外側からの働きかけに弱く、それはいいのですが、
内側から湧き上がるものを、親は待ちくたびれる毎日です(笑)
押し付けたり無理強いは何の意味もないので、大丈夫かなぁと思いつつも、ある程度見守るようにしています。
しかし下手に積み上げた分がないのは幸いかも~^^
とても興味深い記事でした。
ありがとうございました。
うろうろしているうちに、すぐそんな年齢になります。
これこそ体験がキーポイントになる怖い話という感じです。
多少の体験や、遊び、手伝いがどのくらい役立たせられるか不明ですが、がんばってみます。