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虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

ワーキングメモリが極端に弱い子、相手の話を理解することが難しい子 の 学習支援 2

2013-09-20 14:02:57 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

前回の記事で、こんなことを書きました。

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実際には、ワーキングメモリの弱さがかなり深刻に思われる子であっても、

家庭での学習は計算や文字のプリントをこなすことだけに

終始していることが多いようです・

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ワーキングメモリは訓練したらすぐに高められるというものでもありません。

遊びや生活の中で、ワーキングメモリを鍛えていく工夫は大事ですが、

それだけでは足りないと感じています。

 

文章を読んでいても、読んでいる先から何が書いてあったのか忘れてしまうような子の場合、

先にも書いたように、

課題となっている大事な言葉に線を引いておいて

何をしていたのか忘れそうになっても

それを参照して解いていくことができるように教える必要があるのですが、

簡単なことではありません。

 

大事なところに線を引いていくように指示しても、

手当たり次第に大事でない文字にまで線を引いてしまいがちです。

どれが大事な部分なのか気づく力と、

その部分に適切に線を引く力と

自分の引いた線にそって、順番に考えていく力が身につくまで

根気よく見守っていかなくてはなりません。

 

でも時間はかかってもそうした方法をきちんと身につければ、

文章が長くなって考えなくてはならない課題が3つ4つと増えても

対応できるはずです。

ワーキングメモリを鍛えるだけだと

どんなにがんばっても2つの内容まで記憶できるようになったら精一杯でしょうから。

 

「課題となっている大事な言葉に線を引く」といっても、

どの子にとってもいい方法というわけではなくて、

それぞれの子どもの能力や特性や性質をよく見極めて

困り感に対応していくことが大切だと感じています。

 

特に自閉症スペクトラムの子で、

自分の心に浮かんだものは考えていけても、相手の話を理解することに苦手がある場合、

「問われている問題を理解して、考えていく」ということがピンとこない子がけっこういるのです。

問いを読みながら、自分の思いつきで解いていくのです。

 

また、「何のためにそういう作業をしているのか」を察する力が弱い子もいます。

やっていることの細部に目がいって、全体を捉えることが難しい子もいます。

そうした困難さとワーキングメモリの問題が重なると

教えるのは一筋縄ではいきません。

 

 

たとえば、「たかしくんとけんじくんは同じ数のお菓子を食べました。

ゆうとくんはけんじくんより2つ多くお菓子を食べました。

たかしくんが食べたお菓子は3個です。けんじくんとゆうとくんはいくつずつお菓子を食べたでしょう」

といった問題を考える時、

問題で説明されている条件を理解しようとせずに、

「ぼくがそう思うから」とか「いつもおやつの時間にお菓子を食べる時は○個ずつだから」といった

問題と関係のないところから答えを導き出そうとする子がいます。

 

また、わからない時に、解いていた問題とは別の問題の数値を見て

答えを出そうとする子もいます。

 

自閉症スペクトラムの子たちがそうした間違いをする時は、

問題の解き方や答えを教える前に、

 

「問題を解く時は、自分の考えで解くのではなくて、

問題の中にある条件を正確に読みとっていく必要がある」ことや

 

「ひとつの問題を解いている時は、他の問題まで読んで

いっしょくたにして問題を解いてはいけない」

 

ことを身体で覚えるまで

教え続けていく必要があるのです。

 

教える時は、具体的にその子が理解できる言葉で説明し、

どんなに時間がかかっても

できるようになるまで支え続けなくてはなりません。

 

というのも、親御さんによっては、子どもがミスする原因が、

ひとつの問題を解いている間に、あちこち関係のない問題に目をやって

そこから解答のヒントを得ようとすることにあるのに、

 

ミスをするから、易しい計算問題をたくさん解かせたらできるようになるとか

100マス計算をさせたらできるようになると信じておられることがあって、

子どもはうんざりするほど努力をしているにも関わらず、

学習の基本の部分でつまずいたままになっていることがあるのです。

 

もしミスの原因があるなら、

ミスの原因を言葉で具体的に説明し、

本当にわかったことを確認するまで

繰り返し説明していかないと、いつまでたっても基本中の基本のように思えることに

気づかないままでいる子があることを

知っていただきたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
19日ありがとうございました。 (たかくんママ)
2013-09-20 21:20:54
ワーキングメモリが乏しいということは本当に深刻なんですね。
たかくんは、今年の初めくらいは、こどもちゃれんじのワークでも、
全然問題を読まずに雰囲気でしてしまっていましたが、
最近はちゃんと自分で問題を読んで、指示にそって解いているようで、
成長を感じます。前は音読で精一杯だったのが、意味をとりながら読む力がついたのかなと思っていましたが、ちゃれんじのワークに慣れただけで、
数字の扱いなど本当には分かっていないのだなと気づかされました。
前という言い回しもピンときてないので、家でも練習します。
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ワーキングメモリ (青空)
2013-09-21 01:27:38
現在小学4年の長男は、小さいころからワーキングメモリが弱いと感じる場面が多々ありました。幼稚園の先生から「人の話を聞いてるようなのに実は分かっていない」と言われたり、二つ指示をしても一つしかしていなかったり、忘れ物、落し物も非常に多いです。いまだに話すのも苦手で、頭の中で出来事を整理して文章を組み立てるという作業がうまくできてないように感じます。学習面で特に困っていることは国語の読解です。読んでも内容は頭に入っておらず、字だけ追っています。登場人物の名前も憶えていません。線を引きながら読むといった作業は極端に嫌がり、親子バトルの毎日です。何よりの悩みはこのことを誰に相談しても解決策がみえてこない、ということです。長年、幼児教室、幼稚園、学校、塾、の先生方、教育家、発達支援センターの方など、実際に長男を見てもらい相談してみるものの具体的なトレーニング方法にまでたどりつきません。学校も塾も、国語の時間はただ座っているだけの様に思え、その時間があれば何かしてやれるのではないか、、と考えてしまいます。
なおみ先生のブログはその長男が幼稚園のころから読ませていただいでいます。またワーキングメモリの弱い子について書いていただけるといいな、なんて思っています。ちなみに算数では、図形、消去算、植木算、などは得意で、規則性、単位換算、時間、が大の苦手です。
長文、失礼しました。
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Unknown (かろーら)
2013-09-21 09:09:07
青空さんの「国語の読解」についてのコメント、痛いほどわかります。周囲の反応もそっくりです。
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Unknown (だふぃめい)
2013-09-23 22:19:02
本当に必要なところを丁寧にフォローし辛抱強く見守りたいと思いますが、そこを見極める力がなかなかつかめないです

観察力が足りないのでしょうね

むずかしいです
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